朝からやる気が出ないのは、怠け者だからではありません。朝60分の使い方を知らないだけです。僕の人生が変わった1年間は、朝60分の使い方にこだわっていました。結論から言うと、モーニングルーティンは水・光・運動の3つから始めるのがおすすめです。名著2冊と科学者の朝、僕の朝の4つを並べたうえで、僕が科学的なビッグ3だと考えている3つです。2025年に出した本で「管理オタク」と書かれた僕の朝は、大学2年生で公認会計士試験に合格したときのルーティンが土台です。この記事は、その使い方を話した僕の動画(30.8万回再生)を記事にしたものです。早起きが大事という話は、半分正しくて半分間違いです。
モーニングルーティンとは、朝の理想の行動を自動化する習慣
モーニングルーティンとは、起きてからやることと順番を毎朝同じに決めておき、意思の力に頼らずに体が勝手に動く状態を作る習慣です。続けるうちに、やらないと気持ち悪いと感じるところまで自動化できます。
朝やるべきことは、ある程度はっきりしてきています。それを自動化できれば、考えなくても体が動く朝になります。では、なぜ朝なのか。早起きが人生を変えると言われる理由は、一言で言うとセルフイメージが変わるからです。
セルフイメージは、自分に対する印象や思い込みのことです。僕らが将来に出す結果は、行動から生まれます。その行動を生んでいるのが、自分とはこういう人間だというセルフイメージです。
たとえば、自分は健康的なタイプの人間だと思っている人は、ランチで自然と健康的な食事を選び、運動もします。逆に、ついだらけてしまうタイプだと思っている人は、日々の行動でもだらけることが多くなります。
内向的で人前で話すのが苦手だと思っている人は、人前に立つ自分を自分らしくないと感じて、その行動をなかなか取りません。いつも1番に手をあげるタイプだと思っている人は、前に出ることが心地いいので、前に出る行動が増えます。
ここで早起きが関わってきます。早起きの人は生産的で規律正しい、という思い込みは社会的にもあります。だから朝早く起きているだけで、自分はできるやつなんだという思い込みが強化されていきます。
人生をリードしている感覚、自分ならできそうという感覚が育ちます。これが自己効力感で、挑戦したり物事を続けたりするのに欠かせません。自己効力感が高まるとセルフイメージが強化され、早起きや規律正しい生活が自分らしく感じられます。逆に、だらけた行動を取ると違和感が出るので、すぐに戻せるようになります。この良い循環は、勝利者効果とも呼ばれます。
もちろん、朝は静かで誰にも邪魔されません。疲れている夜より、スマホの誘惑も断ちやすいです。起きてすぐに集中力のゴールデンタイムが来る人も多いと思います。それでも、いちばん大事なのはセルフイメージです。
そして、早く起きるだけでなくルーティンにするのにも理由があります。朝起きて「今から何をしようか」と考えるだけで疲れてしまうからです。何を食べるか、どんな服を着るか。休日に服を選ぶのは大事なことだと思いますが、それは趣味の範囲です。僕は普段だいたい真っ黒の服しか着ていません。朝に本当に大事なことがあるのに、そこに意識を持っていかれている場合ではないので、自動化してしまいます。
毎日やることが安定すると、パフォーマンスも安定します。スポーツ選手がルーティンを作るのと同じです。結果を出すのは、アスリートのように自己管理していく人だと僕は考えています。セルフイメージから行動を変える方法は、モチベーションが続かない人が行動を続ける7つの方法にも書きました。
この記事は動画『【科学的根拠あり】朝60分で人生が変わる最強モーニングルーティン』(30.8万回再生)をもとに構成しています。全編は26分です。
動画では、4つの型のスライドを画面に出しながら話しています。この記事では、その4つを1つの表に並べて、時間配分まで比べられるようにしました。
早起きのコツは1つだけ。起きたらすぐ光を浴びて体内時計を整える
早起きの方法として、目覚ましをベッドから遠ざける、朝何をするかを決めてから寝る、人との予定を入れる、起きた瞬間にベッドから飛び降りる、などがよく言われます。有名な本にも出てくる方法です。
はっきり言うと、これらは意味がありません。正確に言うと意味はあるのですが、効き目は短期的です。目覚ましをベッドから遠ざけるだけで5年10年と早起きが続いた人を、僕は見たことがありません。テクニックはプラスアルファのおまけと考えて、本質的に大事なことは1つだけ、体内時計です。具体的な工夫を知りたい方は、早起きのコツTOP20にまとめています。
体内時計を、自分が起きたい時間に合わせて調整すれば、朝は勝手に目が覚めるようになる、というのが僕の実感です。僕は基本的に目覚ましを使わずに起きています。体内時計が起きたい時間に合っているので、パッと目が覚めるんです。
やることは、朝起きたらなるべく早く、太陽の光を浴びることです。理想は、起きて5分から10分以内に外に出て、強い光を浴びること。晴れの日なら5分、曇りの日なら雲の厚さにもよりますが10分から15分が目安です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」にも、起床後に朝日の強い光を浴びると体内時計がリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整うことが書かれています1。
睡眠では、QQRTが重要です。Quantity(量)、Quality(質)、Regularity(規則性)、Timing(タイミング)の4つです。朝の光はこのうちタイミングに関わります。毎日同じ時刻に寝て同じ時刻に起きる、という規則性もとても重要です。最初のQの量については、あとで「早起きは必須ではない」の章で話します。
真似するだけでいいモーニングルーティン4つ
ここからは、そのまま真似できる朝60分のモーニングルーティンを4つ紹介します。自分がこれだと思ったものをそのまま取り入れるか、4つを参考に自分に合うようカスタマイズしてください。先に4つを並べておきます。
| 型 | 朝の使い方 | 入っているもの |
|---|---|---|
| 1. The 5AM Clubの20分×3 | 運動20分、内省と計画20分、学習20分 | 運動、内省、学習 |
| 2. ミラクルモーニング | 瞑想5分、アファメーション5分、イメージ5分、読書20分、日記5分、運動20分 | 瞑想、アファメーション、イメージ、学習(読書)、内省(日記)、運動 |
| 3. ヒューバーマン博士の朝 | スマホを見ない、外で朝日を浴びて運動10〜15分、水と塩、90分の集中作業、ワークアウト、冷水シャワー | 水、光、運動 |
| 4. 僕の朝60分 | 水と塩と洗面5分、外で光を浴びて運動30分、水シャワー10分、デスクで内省15分 | 水、光、運動、内省 |
並べると、運動はすべての型に入っています。内省も、4つのうち3つに入っています。水と光が入っているのは、科学者と僕の型です。
1. The 5AM Clubの20分×3。運動、内省と計画、学習
1つ目は、『The 5AM Club』という本で紹介されている、朝の1時間を20分ずつ3つに分ける方法です。
最初の20分は運動です。朝一は迷わず体を動かします。
次の20分は内省と計画です。自分は何のために今日の作業や仕事、勉強をやるのか。それは自分の人生にとってどんな意味があり、どんなビジョンにつながっているのか。それを内省してから、今日やることを計画します。この20分を取ると、今日やることへの納得感が段違いに上がり、自分の大切にしたいことを大切にして生きられる、と僕は考えています。ミッションステートメントを作る話とも重なる部分です。
この20分を、モーニングページに使ってもいいと思います。ジュリア・キャメロンさんの本で紹介されている書く習慣です。僕はジャーナリングを1500日続けていて、書く習慣の効果を実感しています。書き方の選び方はジャーナリングのやり方5つにまとめました。
最後の20分は学習です。読書でもオーディオブックでも、今の自分に必要なインプットなら何でもかまいません。毎朝20分の学習でも、1年で約120時間、10年で1200時間になります。積み上げている人とそうでない人の差は、知識や考える力、キャリアにも影響してくる可能性があると思います。
2. ミラクルモーニング。瞑想から運動までの6つで60分
2つ目は、ハル・エルロッドさんの『The Miracle Morning』のルーティンです。彼は交通事故で6分間の心肺停止を経験し、奇跡的に回復したあと、今度は4000万円以上の借金を背負ってうつ状態になりました。そんな人生のどん底から立て直したときに大事だったのが、朝60分の使い方だったと語っています。
中身は、瞑想5分、アファメーション5分、イメージ5分、読書20分、日記5分、運動20分です。前の3つを詳しく見ていきます。
まず瞑想です。僕は瞑想を1000日続けていて、個人的にも非常に効果的なものだと感じています。始め方は瞑想のやり方に書きました。
次がアファメーションです。僕も最初は疑いながらやってみて、効果を感じました。最初に話したセルフイメージを強化してくれるからです。セルフイメージは、セルフトーク、つまり頭の中の独り言から生まれます。独り言が何回も繰り返されて、自分はこういう人間だというイメージが固まっていきます。
だから、自分はこんな人間として生きるんだという文章を、自分の頭にすり込んでいきます。たとえば「僕は自分との約束を守る人間である」「今日1日を最高の1日にする」といった前向きな言葉です。めちゃくちゃ怪しく聞こえると思いますが、僕は実際に効果を感じています。
3つ目がイメージです。ハルさんは、自分の理想の1日を映像としてイメージしていたそうです。朝起きて、外で運動して、水シャワーを浴びて、学習して、瞑想して、仕事をして、人と関わる。そんな1日を鮮明に思い浮かべます。
僕も最初は「そんなの効果あるの?」と思っていました。ただ、ヒューバーマン博士がポッドキャストで、行動をイメージすることを勧めているのを聞いて、試してみることにしたんです。夜寝る前に、明日の朝起きて理想的に行動している自分を想像しながら寝ると、朝の行動が起こしやすくなりました。これは体感の話です。歯を磨いている3〜4分の間にイメージする、という形で習慣に乗せたのも良かったです。
残りは、読書20分、日記5分、運動20分です。気づいた方もいると思いますが、1つ目の20分×3とほぼ同じ内容です。僕は、何百本、何千本という論文を統合した知識や、いろいろな人の習慣を見てきました。偉人や有名人の習慣も、片っ端から1つずつ試してきました。AIもそんなに発達していなかった頃なので、膨大な時間がかかっています。いろいろな情報源に当たっていくと、共通点があることに気づきます。そして、この共通点が、だいたい自分のルーティンとして残っています。皆さんには遠回りをしてほしくないので、まずは共通しているところから始めるのがいいと思います。
3. ヒューバーマン博士の朝。科学的根拠を大事にしたい方向け
3つ目は、世界的な科学者アンドリュー・ヒューバーマン博士の朝です。厳密には60分を超えてしまいますが、科学的根拠をいちばん大事にしたい方におすすめです。
- 6時から6時半ごろに起きる。起きてからはスマホを遠ざけて見ない
- 10分から15分、朝日を浴びに外へ出て運動する
- 水を飲む。そこにピンクソルトのような天然の塩を入れて、水分と塩分を補う
- 90分間の集中作業に入る。この間はコーヒーも飲まず、ご飯も食べない
- 集中作業のあとにワークアウトをして、冷水を浴びる
博士は、このあと11時ごろまで何も食べないそうです。そして、起きてから90分から120分はカフェインを我慢するといいます。僕も、起きてから2時間はカフェインを我慢する、をずっと続けています。こだわりたい方は取り入れてみてください。カフェインを何時に入れているかは、1日のスケジュールの立て方にも書きました。
4. 僕の結論。水・光・運動のビッグ3から始める
最後の4つ目は、僕の結論です。ここまで見て、結局どれをやればいいのかと思った方もいると思うので、大事なことをまとめます。
- 起きてすぐ、洗面を済ませて水と塩をとる。ここはヒューバーマン博士と同じです(5分)
- 5分たったら、すぐ外へ出る。光を浴びながら運動する(30分)
- 帰ってきたら水シャワーを浴びる(10分)
- デスクに座って内省する(15分)
- 終わり次第、仕事に入る
水、光、運動の3つが、朝のルーティンの科学的なビッグ3だというのが僕の結論です。3つとも、ヒューバーマン博士の朝に入っています。僕はいろいろ調べましたが、この3つを押さえておけば大丈夫だと思っています。だから、まずは水・光・運動から始めてください。
当然、自分に合ったルーティンは人によって違います。こだわり抜けば、自分だけのルーティンができあがります。水シャワーの入り方は冷水シャワーを真冬に7日間試した記録に書きました。
モーニングルーティンは、まず1ヶ月続ける。66日は目安にならない
決めたルーティンは、まず1ヶ月やってみてください。
よく「66日やると習慣になる」と言われますが、これは正確ではありません。元になっているのはロンドン大学(UCL)の研究で、習慣になるまでの日数は平均66日でした2。ただ、早い人は18日、遅い人は254日かかると見込まれていて、幅がとても大きい中での平均です3。UCLの同じ研究部門のブログでも、66日はいちばん良い推定値だとしたうえで、1つの数字を当てはめるのは賢明ではないと書かれています3。だから僕は、66日という数字は当てにならないと考えています。
30日で身につくのか、60日なのか、90日なのか、120日なのか。それは習慣の中身と、その人の特性によります。ただ、続ければ続けるほど、やらないと気持ち悪い、気づいたらやっている、という状態に近づいていきます。
だから、まずは1ヶ月、信じてやってみてください。少なくともその1ヶ月で、何かしらの変化は感じられるはずです。
早起きは必須ではない。睡眠の量を削ってまでやらない
ここまで読むと、朝は早起きしなければいけないと思うかもしれません。でも、そんなことはありません。むしろ人によっては、早起きが逆効果になることもあります。
さきほどのQQRTを思い出してください。最初のQは量でした。睡眠の量を削ってまで早起きするメリットは、そこまで大きくありません。むしろデメリットのほうが大きいと僕は考えています。
朝早く起きられないから眠くても頑張る、日中の眠気は目をこすって気合いで乗り切る、という人がいます。僕はこれには完全に反対です。それで1日の生産性が落ちるくらいなら、しっかり寝たほうがいいです。
もちろん、僕にも睡眠を削らないといけなかった時期があります。働きながらだと、どうしてもそこしか時間が作れないこともあります。子育て中や夜勤など、睡眠を削らざるを得ないときもあると思います。そういうときに朝起きられなくても、自分を責めないでほしいです。それは当然のことです。
僕は、朝の光をすぐに浴びられるようにして、睡眠の量を確保し、質も高めた結果、目覚ましなしで起きられるようになりました。そうでなければ、基本的に気合いでは続かないと思います。夜の過ごし方は夜のルーティンの作り方にまとめています。
モーニングルーティンを作ること自体を目的にしない
最後に、これはいちばん伝えたいことです。朝のルーティンを作るぞと張り切った人ほど、だいたいうまくいきません。ルーティンを作ること自体が目的化してしまうからです。
朝のルーティンは本来、何かの目的のための手段です。仕事で結果を出したい、アスリートとして日々のパフォーマンスを上げたい、生活の質(QOL)を上げたい。そうした目的から逆算して、習慣を作っていくはずです。
ところが、なんとなく朝運動しよう、なんとなく朝瞑想しよう、なんとなく水シャワーを浴びよう、となる。そうして本来の目的からずれた、本質的でないルーティンを作っている人も少なくありません。それなら、朝の1時間をやるべき勉強や仕事に当てたほうが、本来の目的を達成できるかもしれません。
何のためにルーティンをやるのか。その目的を、上段から考えていきましょう。順番はこうです。
- 自分がどうなりたいのか、人生の目的や目標、理想の姿を鮮明にイメージして言葉にする
- それを実際に達成するための戦略やロードマップに落とし込む
- さらに、日々の行動計画や習慣にする項目まで落とし込む
これを上から下まで一貫して作ることで、初めて朝のルーティンが意味を持ちます。ただ、これを1人でやるのは非常に難しく、僕もすごく苦戦しました。1人で始めるなら、1から3を自分で整理する時間の取り方を人生の棚卸しを月2時間でやる方法に書いています。
よくある質問
雨の日や、外が暗い時間に起きる日はどうしますか
雨の日でも、室内のライトよりは外のほうが明るいので、なるべく外に出てください。3時や4時に起きてまだ外が暗い場合は、室内で強い光を出すセラピーライトのようなものを使う方法もあります。
朝の運動は、どのくらいの強さが必要ですか
『The 5AM Club』では、激しい運動でなくてもいいとされています。軽いジョギングや腕立て伏せ、散歩でもよく、大事なのは心拍数を上げることだという考え方です。
モーニングページは、何にどう書けばいいですか
A4の紙を3枚用意して、頭に浮かんだことをひたすら書きなぐります。きれいに書く必要はなく、頭の中にあるものを外に出すのが目的です。
休日も平日と同じ時間に起きたほうがいいですか
厚生労働省の睡眠ガイドには、休日に寝だめをして起床時刻が大きく遅れると、体内時計が混乱して時差ボケのような状態になると書かれています。休日に長く寝ないと持たない場合は、平日の睡眠が足りていないサインだともされていて、その場合は平日の睡眠時間を確保できるよう、睡眠習慣を見直す必要があるとしています(出典1)。睡眠の量が足りている前提で、起きる時刻と朝の光は休日もなるべくそろえるのがおすすめです。
まとめ
- モーニングルーティンとは、朝の理想の行動を自動化する習慣です。早起きを続けると、セルフイメージも変わっていきます
- 早起きのコツは、起きてすぐ光を浴びて体内時計を整えることです
- 4つの型すべてに入っていたのは運動でした。まずは運動に水と光を足した、科学的なビッグ3から始めてください
- まず1ヶ月続けてください。ただし早起きは必須ではなく、睡眠の量を削ってまでやる必要はありません
- ルーティンは手段です。何のためにやるのかを、上段から決めてください
まずは上段から棚卸しをして、そのうえで水・光・運動から朝のルーティンを作ってみてください。4つの型の表を画面で見ながら聞きたい方は、上の動画で全編を確認できます。
出典
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」令和6年2月(起床後の光と体内時計、休日の寝だめ)
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009. https://doi.org/10.1002/ejsp.674
- UCL Health Behaviour Research Centre (2012). Busting the 21 days habit formation myth