ジャーナリングとは何か。
やり方は目的ごとに5つある
ジャーナリングとは、頭の中にあることを紙に書き出して、自分を外から見られるようにする習慣です。出来事を残すことより、その出来事を自分がどう捉えたかのほうを見にいきます。整った文章にする必要も、毎日同じ形式で書く必要もありません。
そのうえで、ジャーナリングのやり方は1つではありません。何のために書くのかで、書き方を変えます。僕は1500日続けていますが、毎日同じことを書いているわけではなく、そのときの目的で使い分けています。
| やり方 | こんなときに使う | かかる時間 |
|---|---|---|
| 1. なりたい自分の証拠を書く | 自分に自信が持てないとき | 寝る前に5分 |
| 2. 今日1日を物語にする | できていないところばかり目につくとき | 5分 |
| 3. 朝、手を止めずに書き出す | 頭の中が散らかっているとき | 朝に1ページ |
| 4. 揺さぶられた出来事を書く | 特定の出来事が引っかかって離れないとき | その場で手が止まるまで |
| 5. 自分に問いを投げる | 考えても同じところをぐるぐるするとき | 答えが出るまで |
この5つは、書くだけから始めた習慣です。大学2年生で公認会計士試験に合格し、英会話が壊滅の状態から海外へ長期留学して、帰国後に監査法人を退職して起業する。その全部の場面で、僕はこのノートを開いていました。
元の動画は『「書くだけで人生が変わる」と話題のジャーナリングを徹底解説します』です。実際のノートを見せながら話しているので、書式が気になる方は動画のほうが早いと思います。
この記事は動画『【完全版】「書くだけで人生が変わる」と話題のジャーナリングを徹底解説します』をもとに構成しています。全編は27分です。
紙に書くと、
同じ出来事の見え方が変わる
紙に書くだけで何かが変わるって、怪しいじゃないですか。僕も結構疑ってました。それでも変わるのは、紙に書き出すことで世界の見え方が変わるからです。
壺の絵を知っているでしょうか。同じ絵を見て、壺に見える人もいれば、向かい合った2つの顔に見える人もいます。同じものを見ていても捉え方は違う。僕らはみんな、自分なりのレンズを通してこの世界を見ています。
具体例で考えてみます。英語の勉強を今日は30分進めた、という事実があったとします。
- また三日坊主だ。自分には長時間の勉強なんて続けられない
- 30分でも0ではない。先週は全くできなかったところから3日続いている
同じ状況でも、感じ方によって次の行動は変わります。前者なら今日でやめますし、後者なら明日は1時間やろうと思えます。ジャーナリングは、このレンズを付け替える作業です。
だから、ノートに1億円当たれって書いたら宝くじが当たる確率が上がるとか、毎日目標を書き出せば叶うとか、そういう単純な話ではありません。捉え方が変わって、行動が変わって、その結果が変わる。順番はこちらです。
やり方1と2. なりたい自分の証拠を書く。
今日を1〜2行の物語にする
最初の2つは、どちらも自分のできているところに気づくための書き方です。
1つ目は、なりたい自分像を先に書いて、それを信じるに値する証拠となる行動を集めていく書き方です。「僕は継続力の高いタイプの人間だ」と書いたら、毎晩5分だけ時間を取って、今日その人物像と一致していた行動を書き出します。朝1時間の英語ができた、朝の運動が続いた、日記を書けた。ここでは、なりたい自分を信じるための材料を、今日の行動から1つずつ集めます。手順の詳しい中身は習慣トラッカーの記事に書きました。
2つ目は、今日1日を物語にするストーリー日記です。最初は1から2行でいいです。今日は夜に大事な人とディナーに行った。互いに思い出を語り合って、とても良い気分になった。これからも定期的に会いたい。そのくらいで十分です。
これを書くと、日常のポジティブな面に目が行きやすくなります。こういう記事を読んでくださる方ほど、自分のできていないところに目が向きやすい。目の前の仕事が終わればまた次が降ってきて、達成感を味わう暇もありません。ちゃんと観察すれば幸せは足元にたくさん落ちているのに、遠い未来や過去ばかり見て気づかない。そこに気づく力を育てる書き方です。
物語を書くのが難しければ、感謝できることを3つ書き出すところから始めても大丈夫です。こちらの手順は三日坊主が直るのは、やる気が高いうちに動いた日に書いています。
やり方3. 朝、手を止めずに書き出す
3つ目はモーニングページです。朝、起きてすぐに、思いつくままを手を止めずに書き出します。アイデアでも不安でも、何でもかまいません。
効果はイメージで説明したほうが早いと思います。散らかった机の上のものを、別の棚に移す感じです。頭が僕らの机で、紙が棚です。紙に吐き出して机の上を片付けると、ぐちゃぐちゃになっていた思考がシンプルな形で見えるようになり、そこから距離を取れるようになります。
本家では3ページ書きましょうと書いてありますが、最初は1ページで全然大丈夫です。そもそも忙しくて毎朝3ページも書いていられない、という方のほうが多いと思います。綺麗に書こうとする必要もありません。むしろ適当で大丈夫です。朝に固定するのは、いつやるかが決まっていて、誰にも邪魔されない時間帯だからです。書く順番そのものを決めておきたい方は、ジャーナリングのテンプレートのほうを見てください。
やり方4. 揺さぶられた出来事を、
誰にも見せずに書く
4つ目がエクスプレッシブライティングです。僕はこれを6年から7年ぐらい続けています。最近や過去に強く心を揺さぶられた出来事を1つ選んで、それについて自由に書いていきます。重たいテーマの場合は、同じことについて3、4日連続で書いてもかまいません。
補足
一点だけ。トラウマがある方は、この書き方は避けてください。取り入れる場合でも、専門家と相談のうえでやってみていただくのがいいと思います。
ルールは3つだけです。
- 誰にも見せない
- 推敲しない。より良い文章にしようという努力はしない
- 手を止めずに書き続ける
たとえば、今日上司に自分の企画を否定された、という出来事があったとします。この案じゃダメだと言われて会議が終わってしまった。悔しい。自分は評価されていないんじゃないか。認めてもらえないなら何をやっても無駄な気がしてきた。そこまで一気に書き出します。
そのうえで書き続けていると、だいたい途中で角度が変わります。でも冷静に考えると、上司はダメ出しじゃなくて、もっと良くするためのアドバイスをくれたのかもしれない。完全に否定されたわけではない。明日もう一度話を聞いて、どこを改善すればいいのか具体的に聞いてみよう。同じ出来事を、違うレンズで見られるようになります。
書き方は4つに分けると迷わない
自由に書いていいと言われると、かえって書きづらい方もいると思います。その場合は4つに分けてください。
| 分ける項目 | さっきの例で書くと |
|---|---|
| 事実 | 会議で企画を否定され、この案じゃダメだと言われて終わった |
| 感情 | 悔しい。評価されていないのではと思った |
| 意味づけ | 全否定ではなく、良くするための指摘だった可能性がある |
| 次の一手 | 明日もう一度、どこを直せばいいか具体的に聞く |
試験本番で、問題用紙の空きに書いた
この書き方が一番効いたのは、公認会計士試験の本番でした。いちばん最初の科目、企業法で、手が震えてしまったんです。頭が真っ白になって、時間配分も間違えて、もうだめだという状態になりました。
そのときに、どうしよう、このままじゃ落ちる、1年間の努力が無駄になる、どうしよう、どうしよう。頭に浮かんでいた言葉をそのまま、問題用紙の空いているところに2、3分書きました。そうしたら気持ちがすっと落ち着いてきたんです。緊張はしていましたが、頭の中がいっぱいで詰まっていた状態が元に戻りました。
本番や、緊張する場面で頭が真っ白になりやすい方は、無理のない範囲で試してみてください。僕の場合は、2、3分書いたあとに気持ちがすっと落ち着きました。
やり方5. 80歳の自分なら
何と答えるかを聞く
5つ目は、自分に問いを投げる書き方です。僕らは必ずと言っていいほど思考の癖を持っていて、知らないうちにできあがった枠の中でしか物事を考えられなくなります。良質な問いは、この枠を取り払ってくれます。
優秀なコーチは、相手の思考の癖をつかんだうえで、その人が1人では考えられない場所に問いを投げます。1人で同じことをやるのは簡単ではありませんが、次の2つはそのまま使えます。
- 80歳の自分なら、何て答える?
- 親友が悩んでたらなんて答える?
どちらも、自分を今の立ち位置から一度外す問いです。同じ悩みでも、答える人が変わると出てくる言葉が変わります。今まで暗がりになっていた部分に、思考のスポットライトが当たります。
僕が起業するかどうか悩んでいたとき、ノートにひたすら内省を書き出していました。そのときに、もし80歳の自分が隣にいて、いま悩んでいる自分に声をかけるとしたら何て言うかな、という問いを立てて、80歳の自分になりきって書いてみたんです。出てきたのはこういう言葉でした。
おいおい、何悩んでんじゃと。お前が本当にやりたいのはどっちじゃ。後悔しないのはどっちか。失敗したって別に死ぬわけじゃないし。若いうちに挑戦しなかったこと、俺は80歳になって後悔してるよ。お前には時間があるんだから、やってみろよ。
これを書いた瞬間に、僕が本当に恐れていたのは失敗することじゃなくて、挑戦しないまま後悔することだったんだと気づきました。自分の視点のままだと、いろんな不安や恐怖で本当の気持ちが見えなくなります。第三者の視点を入れると、そこが外れます。
80歳が遠すぎると感じる方は、時間を少しずつ伸ばして聞いてもかまいません。この決断をしたら10分後にどう感じるか、10時間後はどう感じるか、10日後は、10ヶ月後は、10年後は。そうやって伸ばしていくと、短期的な不安と長期的な後悔のどちらが大きいのかが見えてきます。
1ヶ月続けると、
記録が自分のデータになる
ここまでの5つは、1日で完結する書き方でした。最後に、その記録を1ヶ月ためると何が見えるかを書いておきます。1日の終わりに3つだけ足してください。
- 今日、自分のエネルギーを増やしたこと
- 今日、自分のエネルギーが奪われたこと
- そこからの学び
できる人は、今日の満足度を100点満点で採点して、数字も残しておいてください。1ヶ月分たまると、共通点が浮かび上がってきます。
| 僕の場合 | 浮かび上がってきた共通点 |
|---|---|
| 満足度が高い日 | 睡眠をたっぷり取り、運動して、本当に好きな人と交流して、やるべきことを終わらせて、人に左右されずにノーと言えた日 |
| 満足度が低い日 | 断りたい予定を断れなかった日、生活が乱れている日、余裕がなくて焦っている日 |
これを続けたことで、僕は自分が社会的ステータスの高い仕事にそこまで興味がないこと、自分の裁量を持って働けるかどうかが何より大事であることに気づきました。気づいただけでなく、心の底から納得できた。だから慎重でビビリな性格でも、23歳で起業して、3500時間以上かけて合格した公認会計士のキャリアを手放して、進みたい道を選べました。
まとまった時間が取れない方は、僕が留学中に毎日やっていたスキマメモから始めてください。感情が動くたびに、その場で携帯にメモするだけです。友達に誘われてパーティーに参加して、楽しい時間を過ごしたし自分はこういうのが好きだと思っていた。でも記録を見返すと、二日酔いで翌日の気分が悪く、やるべきことの進みも遅れて、そこに後悔を覚えていました。だから月に1回くらいがちょうどよくて、毎週は多いんだと分かりました。本で読んだ知識ではなく、自分の体験として腑に落ちます。
よくある質問
書いた紙は残すのですか、捨てるのですか。
残すか捨てるかは、何のために書いたかで分けてください。やり方1・2・5のように読み返して使うものは残したほうが役に立ちます。感情を吐き出すために書いたもの(やり方4)は、読み返すために書いたものではないので、破って捨ててもかまいません。
手書きとスマホ、どちらがいいですか。
紙とペンをおすすめしますが、続けやすいほうで大丈夫です。僕も出先ではスキマメモとして携帯を使っています。ただし手を止めずに書く書き方(やり方3と4)は、変換の候補が出てくるぶん、紙のほうが向いていると思います。
書いていて、逆につらくなってきたときは。
やめて大丈夫です。特に重たい出来事を扱っているときは、書くことで一度しんどくなることがあります。その日は閉じて、時間をおいてから戻ってください。気持ちが強く落ち込む状態が続くようなら、書くことで解決しようとせず、専門の方に相談してください。
何日か空いてしまいました。どこから戻せばいいですか。
空いた日を埋めようとせず、今日の分から書いてください。空白を埋める作業から始めると、それ自体が重くなって戻れなくなります。書けた日を数えるほうに目を向けてください。
家族に見られるのが不安で、本音が書けません。
見られない前提を先に作るのがおすすめです。持ち歩くノートを分ける、鍵のかかる場所にしまう。感情を吐き出すやり方4だけは、書いたその場で処分してもかまいません。それ以外は、あとで読み返せるように残してください。
まとめ
5つのやり方でおさえるところを、最後にまとめます。
- 目的で書き方を変える。自信、気づき、整理、感情、問いの5つ
- 変わるのは出来事ではなく、出来事の見え方のほう
- 感情を書くときは、誰にも見せない、推敲しない、手を止めない
- 1ヶ月ためると、自分の満足度の傾向がデータとして見える
動画では最後に、3年から5年後の理想の未来を書き出すワークも紹介しています。近すぎず遠すぎない距離が、いちばん本音を出しやすいからです。そこまで腰を据えてやってみたい方は、人生の棚卸しを月2時間のThink Dayでやるのほうに手順を書きました。
まずは今日の分を1行だけ書いてみてください。実際のノートと書き込みは、動画で見られます。