瞑想とは何か。やり方は、
椅子に座って3分から始める
瞑想とは、注意を1つの対象に向けておく練習のことです。頭を空っぽにする作業でも、何かを感じ取る作業でもありません。注意が逸れたことに気づいて、もう一度戻す。その往復を繰り返すところまでが1回分になります。
やり方は、椅子に座って目を閉じ、自分の感覚のどれか1つに注意を向けて、逸れたら戻すだけです。道具も、あぐらも、静かな部屋もいりません。まずは1日3分から始めてください。
手順は4つです。
- 椅子に座って姿勢を正し、手を楽な位置に置く
- 目を閉じて、自分の感覚に注意を向ける
- いま自分の注意がどこへ持っていかれるかを確かめる(呼吸や思考といった内側か、音や匂いといった外側か)
- 引きつけられるほうに注意を置き、逸れたら戻す
4つ目が本体です。1つの対象に集中し続けられたかどうかで出来を測りたくなりますが、実際にやることは注意が逸れたことに気づいて、もう一度戻すという往復のほうです。この往復を動画では「リフォーカス」と呼んでいます。
元の動画は『瞑想を1000日続けた効果が半端なかった…(やり方も解説します)』(2026年9月時点で37.1万回再生)です。姿勢や、注意を戻すときの感覚は動画のほうが分かりやすいので、あとで見てみてください。効果の話と、脳で何が起きているのかの話は、この手順のすぐ後ろに置いています。
この記事は動画『【脳が大きくなる!?】瞑想を1000日続けた効果が半端なかった…(やり方も解説します)』をもとに構成しています。全編は16分です。
瞑想を1000日続けて、僕に起きた変化
僕は2019年から4年以上、日数にして1000日から1500日ぐらい瞑想を続けてきました。動画では、瞑想で期待できることとして6つ挙げています。集中力の向上、気分の改善、不安やストレスの減少、睡眠の質の向上、幸福感の向上、自己管理能力の向上です。
正直に言うと、人生を変えたという言葉ほどうさん臭いものはないと思っています。それでも僕はその言葉を使わずにはいられないくらい、瞑想の効果を実感してきました。
この感覚を説明するのに、僕はいつもワンピースの話をします。僕はあの漫画を読んだことがないのですが、その話をすると6割くらいの確率で「ワンピース読んだことないの、人生半分損してる」と言われます。瞑想に対して僕が抱いているのは、これと全く同じ感情です。友達に瞑想していると言ったら、確かにちょっと怪しい人扱いをされるかもしれません。それでも1回だけ生活に取り入れてみてほしい、と思っています。
このうち僕が続けていていちばん実感があるのは、自己管理能力のところです。雑念に囚われている、いま携帯を見てしまっている。そういう事実に気づける回数が増えました。気合いで我慢するのとは逆の方向で、気づける状態のほうが先に来る、という感覚です。
ここから先、研究として何がどこまで言えているのかは、次の章で原典を開いて確かめた範囲だけ書きます。効果の話と、脳の話は分けて読んでください。
脳に何が起きるのか。
原典を確認できた研究だけ書きます
動画では、瞑想によって脳に3つの変化が起きると話しています。扁桃体、前頭前野、島皮質の3つです。ここは健康に関わる話なので、論文の原典を1本ずつ開いて、そこに書いてある範囲だけを書きます。
動画では、不安を感じやすい仕組みを説明するため、原始時代に獲物に襲われる恐怖や食料不足への不安を例に出しました。ここは研究結果ではなく、扁桃体の話に入るためのたとえです。
なんか瞑想いいらしいよ、というのは弱いと思っています。どうせやるなら背景を自分の頭で納得してから始めたほうが続きます。ただし、納得する材料が実際より大きく書かれていたら意味がないので、確認できなかったものはこの記事では落としました。
| 脳の部位 | 報告されていること | その研究で言えないこと |
|---|---|---|
| 扁桃体(不安や恐怖に関わる) | 8週間のプログラムの前後で、ストレスが下がった人ほど、右扁桃体の一部の灰白質密度も下がっていたという相関が報告されています1 | 論文自身が「訓練そのものによる全体的な変化は見られなかった」と書いています。瞑想をすれば扁桃体が小さくなる、という言い方はできません |
| 前頭前野と島皮質(注意や、自分の内側の感覚に関わる) | 長期の実践者は、右の前島と前頭前野にあたる領域の皮質が、条件をそろえた対照群より厚かったと報告されています2 | ある時点で比べた研究なので、著者が「因果関係は推定できない」と明記しています。もともと厚い人が瞑想を続けていた可能性を否定できません |
| 海馬(記憶に関わる) | 未経験者が8週間のプログラムを受けたところ、何もしない対照群と比べて左海馬の灰白質濃度が増えたと報告されています3 | 著者が「グループでの交流やストレッチなど、瞑想に固有でない要素の影響を分けられていない」と書いています |
動画では扁桃体の神経細胞が減ると話していますが、原典に当たると、はっきり言えるのはストレスの下がり方と灰白質の減り方が相関していた、というところまででした。
研究を読むときの注意
3本ともサンプルは16人から26人程度で、対照群のない研究も含まれます。アメリカ国立衛生研究所の一部門に、国立補完統合衛生センターという機関があります。そこは瞑想と脳について、こう書いています。機能や構造に影響する可能性を示す研究はあるが、結果の解釈は難しく、実用的な意味合いははっきりしていない4。
気合いで我慢するといった根性論とは真逆の方向で、脳の側から自己管理を楽にしていく。その方向性に期待が持てる研究がある、という受け止め方がちょうどいいと思います。
なお、時間の目安について調べたところ、1日13分の瞑想を8週間続けた群で注意や作業記憶や気分の改善が見られ、4週間の時点では差が出なかったという報告がありました5。この研究は脳を撮影していないので、脳の形の話とは分けて読んでください。
出典
- Hölzel BK, et al. "Stress reduction correlates with structural changes in the amygdala." Social Cognitive and Affective Neuroscience. 2010;5(1):11-17. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19776221/
- Lazar SW, et al. "Meditation experience is associated with increased cortical thickness." NeuroReport. 2005;16(17):1893-1897. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16272874/
- Hölzel BK, et al. "Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density." Psychiatry Research: Neuroimaging. 2011;191(1):36-43. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21071182/
- National Center for Complementary and Integrative Health. "Meditation and Mindfulness: Effectiveness and Safety." https://www.nccih.nih.gov/health/meditation-and-mindfulness-what-you-need-to-know
- Basso JC, et al. "Brief, daily meditation enhances attention, memory, mood, and emotional regulation in non-experienced meditators." Behavioural Brain Research. 2019;356:208-220. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30153464/
始める前に、1つだけ
メンタル疾患を抱えている方は、かかりつけの先生に相談してから実践してください。これは動画でも同じことを言っています。
この記事は、治療の話ではありません。日々の疲れや集中の切れやすさを自分で整えたい人に向けて、僕がやっている手順を書いています。座っていてつらくなったり、不安が強くなったりしたときは、続けずにやめて大丈夫です。
3つ目。注意が内と外の
どちらに向くかを測る
椅子に座って目を閉じたら、最初にやるのは呼吸を数えることではありません。いま自分の注意がどこへ持っていかれるかを、主観で測ってください。
行き先は2つに分かれます。
| 行き先 | 具体的に飛び込んでくるもの |
|---|---|
| 内側 | 自分の呼吸、湧き上がってくる思考 |
| 外側 | 聞こえてくる音、匂い、お尻が椅子に当たる感覚 |
これはどっちがいい悪いという話ではなく、ただの診断テストです。主観で大丈夫なので、どちらが先に自分の感覚へ飛び込んできたかを見てください。
僕の場合はだいたい内側で、思考や呼吸に注意を持っていかれることが多いです。ただし電車に乗っているときに同じことをやると、車内の雑音や、場合によっては匂いといった外部の刺激に意識を持っていかれやすくなります。人によって決まっているというより、どこで瞑想するのかという環境にも左右されます。
4つ目。評価せずに観察して、
逸れたら戻す
行き先が分かったら、最初のうちは自分が引きつけられるほうに注意を置いて始めます。思考に意識が向くなら思考に、音に引きつけられるなら音に置いてください。まずは何か1つの対象に意識を向ける感覚をつかみます。
ポイントは、評価をせずに、ただただ観察することです。いま自分はこういう思考を持っているんだな、こんな音が聞こえているな。それをいいとか悪いとかで判断せずに、事実として認識します。
そして、ここからが本体です。
- 1つの対象に注意を置く
- しばらくすると、雑念に持っていかれる
- 持っていかれたことに気づく
- 元の対象に注意を戻す
この3と4がリフォーカスです。この気づく力を、僕は「自覚力」と呼んでいます。雑念が湧くこと自体は失敗ではなく、戻した回数がそのまま練習量になります。うまくできているかどうかを判定したいなら、雑念が湧かなかった長さではなく、気づいて戻せた回数で見てください。
慣れてきたら、あえて逆に集中する
1つの対象に意識を向ける感覚をつかめた人は、レベルアップができます。最近の僕が取り入れてよかったやり方です。
3つ目で測った自分の傾向の、あえて逆に集中してみてください。外の音に意識を持っていかれやすい環境にいるなら、あえて自分の内側の呼吸や思考に意識を向ける。そうすると難易度が1段上がります。
難しくなるのがポイントです。注意が逸れる回数が増えるぶん、そのたびにリフォーカスする回数も増えるからです。集中し続けることではなく、戻すことを鍛えている、と考えると分かりやすいと思います。
なお、瞑想には呼吸に集中するもの以外にもいろいろな種類があります。全部紹介すると情報過多になるので、この記事では僕が続けられているやり方に絞りました。気が散りやすい状態そのものを整えたい方は、疲れてるのに休めない人の休み方で書いた、呼吸に戻す実践もあわせて読んでみてください。
1日3分から。
6週間から8週間を目安に
どれくらいやればいいのかについては、前提としていろんな意見があります。そのうえで僕がおすすめするのは、1日最低3分です。3分なら誰でも時間を作れますよね。習慣にする観点からも、最初は小さく始めるほうが望ましいので、欲張らずにここから始めてください。
できる人はもちろん、5分、10分、20分と増やしていきましょう。
| 項目 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 1回の長さ | まず3分。慣れたら5分、10分、20分 | 3分なら時間を作れない日がない。小さく始めるほうが習慣として残る |
| 続ける期間 | 6週間から8週間 | 1回でも感じるものはあるが、脳の話として報告されているのは長期で続けた場合が中心 |
| 記録 | やった日に印をつけるだけ | 続いているかどうかが目で見えると、途切れた日に戻りやすい |
記録の付け方そのもので迷う場合は、習慣トラッカーの作り方に書いた方法をそのまま使えます。誰かに宣言して毎日記録を取る、というやり方もありだと思います。
瞑想が続いたのは、
欲張らなかったからです
大事なのは欲張らずに続けることです。焦ったり欲が出たときって、だいたい失敗します。
短い期間でも感じるものはありますが、僕の場合、本当の効果は後で遅れてやってきました。慣れてくると瞑想は至福の一時に変わって、整う感覚が多分やめられなくなります。日々忙しい人や、慢性的な疲労感を抱えている人ほど、そう感じやすいのではないかと思います。
僕は高校生までは人生の8割以上を野球に費やして、ずっと野球のことばかり考えていました。そこから瞑想と出会って大学に入り、公認会計士試験、海外での留学、YouTube事業、そして就職と、野球以外の経験をするようになりました。
いまも自分のキャパを超えて仕事を引き受けたり、人から言われたことを過度に気にしたり、未来に不安になったりと、いろんな煩悩を抱えて生きています。完璧ではありません。それでも瞑想やマインドフルネスに出会って、今を生きることの清々しさを知ることができました。
どんなに未来が不安でも、どんなに過去を後悔していても、人生は今この瞬間しかありません。今この瞬間に没頭している状態は、フローやゾーンという言葉で知られています。そちらを先に整えたい方は、フロー状態の入り方と、僕が実践する3つの条件を読んでみてください。
よくある質問
目を閉じるのが怖い、落ち着かないときはどうすればいいですか。
閉じなくて大丈夫です。視線を少し先の床に落として、まぶたを半分だけ下ろした状態でも同じ手順ができます。閉じることが目的ではなく、注意の行き先を1つに決めることが目的だからです。
寝る前にやってもいいですか。
問題ありません。時間帯そのものに決まりはありません。ただ、寝る前にやると途中で眠ってしまうことがあるので、続けられているかを確かめたい最初の数週間は、起きている時間帯のほうが分かりやすいと思います。
やってみましたが、落ち着くどころか嫌な考えばかり出てきます。
その日はやめて大丈夫です。静かに座ると、普段は流していた考えのほうが前に出てくることがあります。無理に続けず、体を動かす時間に置き換えてください。この状態が何度も続くなら、瞑想が合わない時期だと考えて、いったん離れるほうがいいと思います。気分の落ち込みが強いときは、専門の方に相談してください。
アプリや音楽を使ってもいいですか。
使ってかまいません。この記事の手順は道具なしで完結するように書いていますが、時間を測るためにタイマーを使うのはおすすめです。3分経ったかどうかを気にし続けると、そこに注意が向いてしまいます。
毎日やる時間が取れない日は、飛ばしてもいいですか。
飛ばして大丈夫です。ただ、飛ばす日が続くときは、やる場面を決めていないことのほうが原因かもしれません。座る椅子と、その直前にやること(歯を磨いたあと、など)を1つ決めておくと、探さずに始められます。
まとめ
瞑想のやり方でやることは、多くありません。
- 椅子に座って目を閉じ、注意の行き先を1つ決める
- 評価せずに観察して、逸れたら戻す。この戻す回数が練習量になる
- 1日3分から。6週間から8週間を目安に続ける
- 欲張らない。本当の効果は後で遅れてやってくる
もちろん全員に当てはまるわけではありませんし、科学が全てでもありません。僕自身も完璧ではなく、煩悩を抱えたままやっています。それでも、ここまで読んで思い当たるところがあった方には、試してみる価値があると思います。
実際の姿勢や、注意を戻すときの感覚は、動画で話しているほうが伝わります。手順を目で見てから始めたい方は、全編を見てみてください。