人生の棚卸しとは、目の前の仕事から一度離れて、自分の現在地と本音とこれからの方向を1枚に書き出す作業です。思い立ったときにやるものではなく、時間をブロックして定期的にやります。
この記事ではThink Dayを、月2時間から始められる3ステップにまとめました。ルールの決め方、書き出す問い、KPT、決断の考え方まで、動画『【月1回でOK】たった2時間で人生が大きく変わる習慣|Think Dayメソッド』の順番で書いています。
人生の棚卸しは、
月2時間の「Think Day」でやる
人生の棚卸しとは、目の前の仕事から一度離れて、自分の現在地と本音と、これからの方向を1枚に書き出す作業のことです。思い立ったときにやるものではなく、時間をブロックして定期的にやります。動画では、Think Weekの7日間を1日に凝縮したThink Dayとして、最短2時間から始められる形にしました。
この記事は、僕のYouTube動画『【月1回でOK】たった2時間で人生が大きく変わる習慣|Think Dayメソッド』を記事にしたものです。動画で話した順番のまま、3ステップで書いていきます。
最短は2時間です。しっかり向き合う日は4〜8時間を取りますが、忙しい月は30〜60分のKPTだけでも構いません。長さを固定するのではなく、時間を先にブロックして、終わりに次のレビュー日まで決めます。
やることは3ステップです。ルールを決める。問いと向き合って現在地と本音を言葉にする。最後に、やることとやらないことを決めます。考えて終わりではなく、明日からの行動まで落とすのがThink Dayです。
この記事は動画『【月1回でOK】たった2時間で人生が大きく変わる習慣|Think Dayメソッド』(7.5万回再生)をもとに構成しています。全編は27分です。
動画では実際に非日常の場所へ行って、その場で書きながら進めています。記事には、ライフホイールの採点と、もしもボックスの問いを一覧にした表を足してあります。
視点、決断、行動が
変わる
1 視点が変わる
忙しい日々を過ごしていると、メールの返信、締め切りのある仕事、家事、育児と、目の前のタスクに追われて地上1階の視点になります。この状態だと、人生で本当に大切なことは何か、このままでいいのか、転職すべきか独立すべきか、といった長期的で本質的な問いを考える余白がほぼゼロになります。
そうなると、周りの意見に流されたり、お金や承認といった薄い欲望を追いかけたり、目の前の行動をただ繰り返すだけになったりします。そうやってなあなあにしたことは、あとで後悔が残りやすい。だからThink Dayでは、地上1階ではなく鳥の目で自分の人生を俯瞰する時間を取ります。
もう1つ大きいのが、点と点が線になる瞬間が来ることです。過去のノートやメモ、記憶、読んできた本を振り返りながら深く考えていくと、バラバラだった経験と知識と違和感が1本につながります。これとこれは同じ問題だったのか、だから最近ずっとモヤモヤしていたのか、と。
2 決断が変わる
なんとなく流される人生から、自分で選ぶ人生に変わります。
ここが大事なのですが、決断なき努力は自分を苦しめます。会社をやめる、住む場所を変える。そういう決断をすれば人生は大きく変わりますが、よく考えたうえで「このまま進む」と決めるのも立派な決断です。大事なのは、いまの進路に納得感を持っていることです。
納得感がないと、自分の馬力を100%出しきれません。仮にその目標を達成しても、心から満たされないということが起こります。逆に腹落ちする目標を持っている人は、勝手に馬力が出てきます。
3 行動が変わる
Think Dayでは行動プランまで落とし込みます。だから、やることとやらないことがはっきりして、より少ない時間でより多くを達成できるようになります。あわせて、人生を振り返る起点ができるので、同じ失敗を何度も繰り返さなくなります。
この3つは順番につながっています。視点が上がるから本音が見え、本音が見えるから決断できて、決断があるから行動が変わる。逆に言うと、視点を上げる時間を取らないまま行動だけ変えようとしても続きません。納得していないことは、どんなテクニックを使っても夢中にはなれないからです。
ステップ1。
ルールを先に決める
Think Dayの目的は深く考えることなので、そのための条件を先に固めます。
- 連絡を封印する SNS、メール、チャットは開かない
- 仕事も作業もしない 考えることだけに全部の時間を使う
- 1人でいく 人に会わない。自分の気持ちと向き合う時間にするため
- 前日にたっぷり寝る 深く考えるには心と体が整っている必要があります
- 非日常の場所へ行く 行ったことのない場所、自然の中、落ち着いたカフェ
- 書く前に心を整える 深呼吸、散歩、瞑想のどれかを5分行う
1番と2番は、同じことを言っています。いつも忙殺されているもの、忙しくさせている仕事や勉強を、この時間だけ全部手放すということです。考えること以外を全部やめるのが条件です。
4番の睡眠は、地味ですが僕が絶対に外さない条件です。深く考えるには、心と体が整っている必要があります。僕は前日にたっぷり眠ることを、個人的に外せない条件にしています。
5番に補足します。いつもと同じ場所だと、いつもの思考パターンに入りやすくなります。環境を変えると、普段と違う考え方がしやすくなる。1泊しなくても、土日のうち1日あれば十分です。紙とペンだけ持って出るのがいちばんいいと思います。
6番目は、僕が個人的に足しているルールです。書き出す前に心を整える時間を5分だけ設けてください。深呼吸でも、散歩でもかまいません。僕は瞑想にしています。座って目を閉じて深呼吸をすると、それまで聞こえていなかった鳥の声や風の音が聞こえてきます。内面を静かにしてから、自分の本音と向き合える状態にするためのステップです。
ステップ2。
ライフホイールで現在地を測る
ここから本題です。まず現在地を丁寧に測ります。おすすめはライフホイールです。
人生をいくつかの領域に分けて、それぞれを重要度と満足度の2軸で採点します。領域はこのあたりを土台にして、自分に合わせて足したり減らしたりしてください。
| 領域 | 重要度(10段階) | 満足度(10段階) |
|---|---|---|
| 健康 | 7 | 5 |
| 家族・パートナー | 10 | 4 |
| その他の人間関係 | 8 | 10 |
| 仕事・キャリア | 9 | 7 |
| お金 | — | — |
| 自己成長 | — | — |
| 趣味・遊び | — | — |
| 環境(住む場所・職場) | — | — |
領域は人それぞれなので、アレンジして大丈夫です。自己成長と仕事が同じなら1つにまとめてもいいですし、価値観や心のような領域を足してもいい。地域やコミュニティを入れてもかまいません。大事なのは網羅性ではなく、自分の実感に合っていることです。
数字は直感でかまいません。全部つけ終わったら、2つを見比べます。すると重要度が高いのに満足度が低い領域がいくつか出てきます。そこが危険信号なので、赤でマークしておいてください。ステップ3で使います。
逆に、重要で満足度も高いところは青。それ以外は黄色くらいの扱いで大丈夫です。全部を変えようとしても手が回らないので、重要なところに絞るための作業だと思ってください。
もしもボックスで本音を引き出す
次に、別の角度から本音に向き合います。使うのはもしもボックスです。
- もしも80歳の自分が隣に現れて「若い頃に◯◯をしなかったことを深く後悔している」と言うとしたら、何を後悔している?
- もしも人生があと3年しかないと言われたら、何をして、何をやめる?
- もしもどんな失敗をしても誰からも完全に認められる環境だとしたら、何に挑戦する?
- もしもお金がいくらでも手に入り、どんな失敗をしても失うものがないとしたら、何をする?
- もしも何の制約もなく理想の1週間をデザインできるなら、朝起きてから寝るまで、どこで誰と何をする?
- もしもライフホイールの各領域が完全に理想的な状態だとしたら、それぞれどんな状態?
これらの問いは、死と向き合うか、一切の制約を外すかという思考実験です。ここまで極端な状態を想像しないと、価値観のような深いところにあるものは見えてきません。普段は考えないけれど人生において重要なことを、2段も3段も深く考えるのが目的です。
やっておくと、日々の意思決定で迷いが減ります。本当に大事なことが分かっている人は、薄い欲望に惑わされずに深い欲望で生きられるからです。長続きしない欲求や誘惑に振り回されにくくなります。
一度きちんと答えを出しておくと、人生の羅針盤ができます。簡単ではありませんが、自分はこのためにやっているんだと強く信じられている状態は、そのまま馬力になります。逆にここが空白のままだと、習慣化のテクニックをいくら足しても、根っこで腹落ちしていないので夢中になれません。
ここまでで現在地と理想が浮かび上がったら、最後に理想と現実のギャップを洗い出します。いま心に引っかかっていること、時間を取って考えられていない重要なことを、箇条書きで出してください。
ここまでのワークをやっていれば、必ず1つは出てきます。会社をやめるのか残るのか。転職先はどうするか。独立するか。事業のボトルネックはどこか。いまの人付き合いのままでいいのか。環境を思いきり変える必要があるのか。大事なのに、忙しさのなかで惰性のままにしてしまっていることと向き合います。たくさん出てきたら、全部吐き出したあとに番号を振って、重要なものから順に書いていってください。
ここを適当にしても、明日の自分は困りません。1か月後の自分もそれほど困りません。でも1年後、3年後、5年後、10年後にじわじわとしわ寄せが来ます。そして後悔という感情で返ってきます。僕の倍近く生きているクライアントさんが「もっと早くから自分と向き合えばよかった」と話してくれたことがあって、そのとき何とも言えない気持ちになりました。今日が人生でいちばん若い日なので、そうなる前に時間を取ります。
ステップ3。
決断とアクションプランを決める
最後に、棚卸ししたものを行動に変えます。
ライフホイールで赤をつけた領域を1つから3つに絞ってください。そして各領域に対して、アクションプランを1つから3つ設定します。人間関係が赤なら、来月やることを具体的に1つ決める。悩みについて書き出したなら、そのギャップを埋めるために明日から何をするかまで落とします。
絞り方にもコツがあります。赤が5つ6つ出てきても、全部に手をつけないでください。重要な領域を1つから3つに絞り、各領域のアクションも1つから3つにします。残りは次のThink Dayで見直せます。
ここで必ず挟んでほしい問いが1つあります。「より少ない労力でより多くを達成するにはどうすればいいか」です。
こういうワークをやると、ワクワクしてきて何でもできる気がしてきます。そうすると計画に詰め込みすぎる。でも日常に戻れば忙しいので、結局その計画は倒れます。だから絞ります。いま自分は、小さい獲物を追いかけるために莫大なエネルギーを使っていないか。そうであれば、もっと大きな獲物が取れるところに労力を移します。
全部を平等に扱うのをやめ、成果につながる行動へ集中します。
成果につながらないことに時間と労力を使っていないか。それをThink Dayで見直して、明日からは成果に直結するほうへ振り直す。決めた行動を記録に落とす方法は、習慣トラッカーの記事にまとめてあります。書き出す型そのものは、ジャーナリングのテンプレートの記事が使えます。
レビュー日と、やらないことまで決める
行動計画を立てたら、次にいつ見直すかをその場で決めます。1週間後でも、2週間後でも、1か月後でも、3か月後でも構いません。行動した結果を見て、合っていれば続け、違っていれば軌道修正します。
やることだけでなく、やらないことを決めるのも同じくらい大事です。何かを選ぶことは、別の何かを選ばないことです。捨てるからこそ、本当に大切なものへ時間と労力を渡せます。僕が物や予定を実際に何から捨てたかは、捨ててよかったもの50選に並べました。
2時間版は、
KPTを軸に3パターンから選ぶ
8時間を確保できないときは、KPTで直近の1か月を振り返ることを軸にします。KPTは、Keep(できたこと・続けたいこと)、Problem(できなかったこと・問題)、Try(次に試すこと)の3つです。
| パターン | やること | 向いている月 |
|---|---|---|
| 1 | ライフホイール+もしもボックス1問+KPT | 人生全体を見直したい |
| 2 | 今向き合いたい課題1つ+KPT | 考えたい課題が決まっている |
| 3 | 30〜60分のKPTだけ | 今月は時間が取れない |
ライフホイールやもしもボックスは、別の日に回しても構いません。毎月KPTだけでも止まって振り返れば、得た気づきをこぼさず、同じ失敗を繰り返しにくくなります。2時間を一律の時間割に分けるのではなく、その月に必要なパターンを選んでください。
決断できないときに、
僕が意識している3つ
自分と向き合っても答えが出ないことはあります。僕も人生の分岐点では、病みそうになるほど考え、決断力のない自分が嫌で仕方がない時期がありました。最近でも、なかなか決められないことはあります。
1. 仮で決めて、レビューする
絶対の正解を探すのではなく、いま納得できる方向へ仮で進みます。行動すれば結果がフィードバックとして返ってくるので、合っていれば続け、違っていれば戻って軌道修正できます。
僕は会社を辞める前に、2週間だけ辞めたつもりで過ごす実験をしました。2週間後に振り返り、やはりこの道だと確信できたので辞めました。最初から一生分を決めようとせず、レビュー日まで仮で決める。この方法なら進みながら考えられます。
2. 自分で決めて、直感を磨く
僕は公認会計士試験、留学、YouTube、起業と選択するたびに内省を繰り返してきました。自分で決め、行動し、結果を受け取るサイクルを回すことで、少しずつ本音が見えるようになりました。
人の意見だけで決めると、その結果を自分の判断の材料にできません。行って帰ってこられる選択なら、いま直感でこちらだと思う方向にピンを立てて進む。違えば変えればいい、というのが僕の感覚です。
3. 決めた道を正解にする
迷う選択肢は、どちらにも魅力と不安があります。選ばなかった道の結果は見られません。だから最後は、この道で駄目なら仕方ないと思えるほうを選び、その道を正解にする行動を続けます。
僕はこの3つを意識してから、覚悟を持って決められるようになりました。Think Dayは正解を当てる時間ではなく、仮で決めて行動し、次のレビューで修正するための起点です。
よくある質問
Think Dayに本を読んでもいいですか
読書はして構いません。仕事と作業は手放しますが、読書は深く考えるためのインプットになるので例外にしています。
なぜ1人でやる必要がありますか
人と一緒だと、相手に見せるための答えが出やすいからです。誰にも聞かせない前提を作り、自分の気持ちと向き合います。
もしもボックスの6問すべてに答える必要がありますか
ありません。深掘りしたら面白そうだと思う問いを1つだけ選んでください。数を埋めることより、1つの問いを2段、3段と深く考えることを優先します。
次のThink Dayはいつに設定すればいいですか
月1回を基本にしつつ、忙しい場合は3か月に1回でも構いません。1週間後、2週間後、1か月後、3か月後など、自分が納得できる次のレビュー日を決めてください。
まとめ
人生の棚卸しをするThink Dayの中心は、3ステップです。
- 先にルールを決める。連絡を封印し、仕事をせず、1人で、非日常の場所へ。始める前に5分だけ心を整える
- ライフホイールで重要度と満足度を採点し、重要なのに満足度が低い領域を赤でマークする。もしもボックスで本音を引き出す
- 赤の領域を1〜3つに絞ってアクションプランへ。必ず「より少ない労力でより多くを」と問い直す
8時間取れない月は、ライフホイールともしもボックス1問とKPT、向き合いたい課題1つとKPT、または30〜60分のKPTだけ、のどれかを選べます。2時間を同じ時間割で埋めるのではなく、その月に必要な振り返りを選んでください。
決断に迷うときは、仮で決めてレビューする、自分で決めて直感を磨く、決めた道を正解にする、の3つを思い出してください。Think Dayは、正解を一度で当てる日ではなく、進む方向を決めて次のレビューへつなぐ日です。
惰性で生きないために、立ち止まる日を先にカレンダーへ入れてください。今日が人生でいちばん若い日です。まずは自分が確保できる日へ2時間、難しければ30分だけ予定として置いてみてください。