習慣・自己管理

意志力を鍛える方法。脳の「頑張る筋肉」を育てる3つの習慣

2026年10月13日更新 約13分で読めます 文・福井龍介(Ryu)/POTEX株式会社 代表取締役

「意志力を鍛える 3つの習慣」の文字。本・走る人・グラフのアイコンを載せた3段の階段
意志力を鍛える方法は、ちょっときつい行動を日常で繰り返すことです。この記事は、YouTube『Ryuの自己管理室』で公開した動画『【努力中毒】脳を変えて、継続できる自分に変わる3つの科学的習慣』(8.5万回再生)を読みものにしたものです。僕が脳の「頑張る筋肉」と呼んでいるaMCCという部位の話から、鍛えるための3つの習慣、鍛えても無駄になる2つの行動まで、動画の順番のまま書きます。研究は、原典を確かめられた範囲だけを載せています。

意志力は、
継続力を支える要素の1つ

意志力は、継続力を支える要素の1つです。継続力のすべてを意志力でまかなうわけではありませんが、後から鍛えられる可能性があります。

継続って本当に難しいんですよ。目標を立てても、つい言い訳に負けてサボってしまう。僕もかつては継続できない自分に落ち込んで、周りのできる人たちに憧れていました。鋼のメンタルと体力を備えて、どんな困難もやりきる人たちです。

そういう人を見ると、生まれつきの天才だ、自分にはとても無理だと諦めがちです。僕は10代の頃から動画や文献に触れまくってきた自己管理オタクで、簿記の知識ゼロから1年ちょっとで公認会計士試験に合格しました。それでも、最初から続けられる人間だったわけではありません。

継続しやすい環境構築、意志力に頼らない習慣化スキル、意志力と自制心、正しい休養戦略など、継続力を支える要素を並べたスライドと、話しているRyuの動画の画面
図1. 継続力を支えている要素の一覧。この記事はこのうち「意志力と自制心」を扱う(動画『【努力中毒】脳を変えて、継続できる自分に変わる3つの科学的習慣』より)

僕の経験を整理すると、継続力を支えている要素は8つあります。継続しやすい環境構築や、意志力に頼らない習慣化スキル、正しい休養戦略などと並んで、その1つが「意志力と自制心」です。

この記事では、8つの中でもとっつきやすいこの要素だけを扱います。意志力は、継続力という大きなシステムの一部だと捉えてください。意志力に頼らずに済む環境の作り方は、三日坊主を直す7つの方法にまとめています。

この記事は動画『【努力中毒】脳を変えて、継続できる自分に変わる3つの科学的習慣』(8.5万回再生)をもとに構成しています。全編は27分です。

意志力に関わる脳の部位、
aMCCとは

aMCC(前部中帯状皮質)は、脳の中心近くにある小さな部位です。面倒なことや先延ばしにしがちなタスクに向き合ったとき、投げ出したい気持ちを越えて頑張り続けられるかどうかに関わると考えられています。

日本ではあまり聞き馴染みのない名前ですが、名前は正直どうでもいいです。大事なのは、つらいことや困難に立ち向かうときに、この小さな部位が働いているらしいという点です。

それを示した研究の1つが、スタンフォード大学のチームが行った実験です1。てんかんの検査のために脳に電極を入れていた患者2人のaMCCを、電気で直接刺激しました。すると2人とも、困難に立ち向かおうとする気持ちが湧いたと話しています。

1人はその感覚をこう表現しました。嵐に向かって車で走っていて、丘を越えなければならない。どうやって越えようか、と。要は、aMCCを刺激したら「困難を乗り越えよう」という決意の感覚が生じた、ということです。

ただ、この研究は患者2人の記録です。aMCCを粘り強さに関わる脳のネットワークの中心とみる考え方は、レビュー論文で仮説として示されている段階です2。

そのうえで、僕はaMCCを、言うなれば脳の中の頑張る筋肉だと捉えています。筋肉と同じで、適切なトレーニングや習慣によって強くできる可能性がある。そう考えると、鍛え方を知りたくなりませんか。

意志力を鍛える方法は、
ちょっときつい行動を
日常で繰り返すこと

意志力を鍛える方法は、ずばり、ちょっときつい行動を日常で繰り返すことです。やりたくないという衝動を抑えて動く練習を、生活の中に小さく入れていきます。

たとえば、こういう行動です。

  • ランニングできついと思ったときに、あと50m走る
  • 筋トレで、もう1回だけ腕立てをする
  • あと15分だけ、勉強や仕事を続けてみる
「あと15分だけ勉強や仕事を続けてみる」というテロップとともに、Ryuが話している動画の画面
図2. ちょっときつい行動の例。あと15分だけ勉強や仕事を続けてみる(動画『【努力中毒】脳を変えて、継続できる自分に変わる3つの科学的習慣』より)

無理のない範囲で、こうした小さな挑戦を積み重ねていきます。日々少しずつ自分をコントロールする筋トレをするイメージです。

研究もあります。92人の大人を対象に、2週間、甘いものを控える、または握力トレーニングを続けてもらった実験です3。自制心を使わない課題をしたグループと比べて、その後の自制心を測るテストの成績が上がっていました。

ただし、過大に期待しないほうがいいです。同じような訓練を扱った33本の研究をまとめた分析では、効果は小〜中程度でした4。研究の偏りを補正すると、さらに小さく見積もられています。なぜ効果が出るのかの仕組みも、まだよく分かっていません。

そして、やり方には1つ大事な条件があります。ポイントは、自分が主観的に嫌だなとか、心理的負荷がかかるなと感じることをやることです。ここは僕の考えですが、客観的にきつそうに見えることでも、本人が楽しんでやっているなら、aMCCのトレーニングにはなりません。

僕の場合は水シャワーがそうでした。最初は結構きつく感じていたのに、毎日続けたらきつくなくなって、むしろ喜んで飛び込んでいくように変わっていました。こうなると、周りから「真冬の水シャワーはきついでしょ」と言われても、自分には嫌だという感覚がありません。

真冬に水シャワーを浴びた記録は、冷水シャワーを真冬に7日間試した記事に書いています。

同じ勉強や仕事でも、主観的に心理的負荷を感じる場合と、本人が楽しんでいる場合を並べた対比図

意志力を鍛える3つの習慣

ちょっときつい行動を毎日に入れる習慣として、僕が紹介するのは、有酸素運動、マインドフルネス瞑想、Nバック課題などの認知トレーニングの3つです。研究の話だけでなく、僕自身とコーチングのクライアントさんが実際に試してきた経験を交えて書きます。

1. 有酸素運動

僕は16年間野球をやっていました。日々の厳しい練習や試合のプレッシャーの中で、弱音を吐かずにやるべきことをやりきる。理不尽に耐える。体育会系の部活は、aMCCが自然と鍛えられやすい環境だと推測しています。ただ、慢性的なストレスは良くないので、そこはどうかなとも思っています。

部活ほどきつくない運動を調べた研究もあります。12〜14歳の中学生が、週4回・30分のランニングを12週間続けた実験です5。運動したグループでは、ACC(aMCCを含む、より広い部位)の前側で、灰白質の体積と厚みが増えていました。

ただし、後ろ側には差がありませんでした。厳密に言うと、aMCCとこの実験の関係は定かではありません。対象も、気分の不調の兆しがある中学生に限られています。

年齢が上の人を対象にした研究もあります。運動の習慣がない60〜79歳の59人が、6か月間、有酸素運動をするグループと、ストレッチなどをするグループに分かれました6。脳の灰白質と白質の体積が増えたのは、有酸素運動のグループだけでした。

だからといって、めちゃくちゃきつい運動をやらなきゃいけないわけではありません。ウォーキングや軽いジョギングのように、会話ができる程度の運動で大丈夫です。短期で無理をせず、「ちょっときついな、負荷かかってるな」ぐらいの運動を習慣にすることを優先してください。

僕は幼稚園からずっと野球をやってきたのに、18〜19歳で野球を一時的に辞めていた時期に、自己管理にめちゃくちゃ悩みました。そこから会計士試験の受験期間中に、家での筋トレ、朝散歩、軽いランニング、HIITを習慣にして、勉強の成果を出せました。

動画を撮った頃も、週1のオフ日を除いて毎日、HIITやランニング、ジムでの筋トレのどれかを結構きつめに入れる生活でした。旅行や人との予定で運動が減ると、仕事のパフォーマンスが落ちる感覚がありました。本当の脳トレは、脳じゃなくて体を動かすことです。

2. マインドフルネス瞑想

瞑想とかマインドフルネスって、ちょっと怪しいなと思うかもしれません。ただ、合計11時間の瞑想訓練で、ACCとほかの部位をつなぐ白質の通り道の指標が上がったという研究があります7。

僕自身の体験でいうと、瞑想のあとは頭がすごくすっきりします。だから大事な仕事やテストの直前の5分、10分は瞑想するようにしていて、疲れたときの休憩にもやっています。始め方は次の4つです。

  1. 普段僕が紹介している集中瞑想を、まず1分でもいいから毎日やる
  2. お風呂に入った最初の1分、朝起きて水を飲んだ後の1分など、すでに習慣になっている行動の直後に置く
  3. できる人は、やったかどうかを毎日誰かに報告するか、自分のノートやLINEに記録する
  4. 最初の2〜3週間で毎日やること自体が当たり前になったら、3分、5分、10分と伸ばす

1分だと正直、効果は限定的です。その代わり、毎日です。集中瞑想の手順そのものは、瞑想を1000日続けた僕が毎回やっている4つの手順で詳しく書いています。

年間3000時間以上勉強していた公認会計士試験の時期は、毎日5分の瞑想を4セットぐらい、あるいは10分を2セット、合計20分ぐらい確保していました。集中力と記憶の定着、ストレス管理に役立った感覚があります。コーチングのクライアントさんからも、こんな声を聞いています。衝動に強くなった、俯瞰できている感覚がある、怒りにくくなった、集中力が上がった。

運動と組み合わせるのもおすすめです。動画を撮った頃は週4〜5回ランニングをしていて、そのときは必ず無心で走ることを意識していました。音楽を聴きながら走るのも、気分が上がるのでそれはそれでとてもいいと思います。そのうえで、ほかにマインドフルネスの時間がなかなか取れない人は、試しに走りながら無になるのをやってみてください。

そこに自然が加わると、さらにいいです。僕も、緑豊かな公園と海が近い場所に引っ越してから、生産性が上がった感覚があります。

3. Nバック課題などの認知トレーニング

3つ目は、集中力や問題解決力など、仕事や生活で使う認知機能を鍛えるトレーニングです。代表的なものにNバック課題があります。画面に次々と出てくる数字や図形を覚えて、n回前の情報と照らし合わせる課題で、デュアルNバックというゲームもあります。

僕は公認会計士の受験中に、自分で実験しようと思ってアプリを入れました。毎日、特に昼寝から起きた後にやっていたと思います。短期記憶が良くなったな、とは感覚的に思いますし、あの時期の自己管理能力は本当に高かったので、効果があったのかもしれません。

ただ、個人的には運動や瞑想のほうが、ほかの効果も期待できておすすめです。ゲームはやりたいけれど時間がもったいない、という人は、どうせならNバック課題のようなゲームをやってみるのもありだと思います。

意志力を鍛えても
無駄になる2つの行動

意志力を鍛えようと実践しても、うまくいかない人はいます。陥りがちなのは、きつすぎる負荷を休みなく続けることと、トレーニングを完全にやめてしまうことの2つです。

1. きつすぎる負荷を休みなく続ける

「そもそもaMCCって、ストレスで育つんじゃないの?」と思ったかもしれません。ポイントは、慢性的で過度なストレスがよくない、というところです。あと50m走る、もう1回だけ筋トレを頑張るといった、日常で小さな負荷を足していくのはいいんです。

でも、自分にとってきつすぎる運動を毎日毎日やりすぎたり、休みなく働き続けたりすると、それはaMCCにとって悪影響となる慢性的なストレスになりかねません。適度な負荷にとどめて、休養と睡眠を削らないことが前提です。

寝不足の日に限って、寝なきゃいけないのに夜更かししてしまう。そんな経験はありませんか。僕はそれも、寝不足で意志力が落ちているからだと考えています。休み方に迷ったら、疲れてるのに休めない人の休み方を読んでみてください。

もう1つ大事な注意があります。ちょっときつい行動を足す話は、精神的に健康な人がさらに上を目指すためのものです。いま精神的に大きな負荷がかかっている人に、すすめられるものではありません。別の動画『【たった1つ】脳を変えて"努力できる人"になるための科学的な習慣』でも、ここは念を押しました。

2. トレーニングを完全にやめる

一度頑張って鍛えたとしても、そのトレーニングを完全にやめてしまえば、元の状態に戻っていくと僕は考えています。筋トレと同じで、Use it or Lose it です。

たとえば、朝4時起きでランニングや筋トレ、勉強と、厳格なルーティンを守っていた人がいたとします。一度その習慣が崩れると、かつて余裕でできたことが急にハードルが高く感じられたり、頑張る意欲を失ったりすることは全然あります。

だからこそ、日々の小さな積み上げと、適切なストレスマネジメントが何よりも大切です。自己管理の難しいところは、1回やったら終わりではなく、前に進みたいと願う限り、やり続ける習慣を作り続けるところにあります。

休みなく続ける負荷とトレーニングの中断を両端に置き、日々の小さな積み上げと適切なストレスマネジメントを中央に示した図

きついことは
全部aMCCトレーニングと考える

aMCCを鍛えれば全部解決して人生が全部変わる、という能天気な話をしたいわけではありません。継続力を支えるものはほかにもたくさんあって、この記事はそのうちの1つ、意志力について書いたにすぎません。行動を続けるほかの工夫はモチベーションが続かない人のための7つの方法に、ほかの習慣は人生が変わる習慣20選にまとめています。

そのうえで、最後に伝えたいのは、人生どうせつらいことがあるんだから、それは全部aMCCトレーニングだと考えようというマインドセットです。

僕も、これまで自分でやってきたことを信頼できる仲間に任せたり、やったことのない挑戦を続けたりしている最中でした。楽しんでいるつもりでも、ふとした瞬間に、ストレスかもなと心が弱くなることが正直ありました。

撮影した日も、5kmのランニングで自己ベストを更新しています。走っている途中は足が張りすぎて、やめたいと何回も思いました。でも、それも全部aMCCトレーニングです。そう考えると、きついことにも前向きに取り組めます。

どうせきついことをやらなきゃいけないなら、その負荷を気持ちのいいトレーニングだと割り切って置き換えてしまいましょう。もちろん、休養はしっかり取ってください。慢性的なストレスを避けることとセットです。

「もちろん休養はしっかり取ってくださいね」というテロップとともに、Ryuが話している動画の画面
図3. きついことはトレーニングと割り切る。ただし休養はしっかり取る(動画『【努力中毒】脳を変えて、継続できる自分に変わる3つの科学的習慣』より)

よくある質問

筋トレでも意志力は鍛えられますか

筋トレのような無酸素運動でも構いません。大事なのは、ちょっときつい運動や勉強、仕事に取り組み続けることなので、最初は種目にそこまでこだわらなくても大丈夫です。

瞑想の時間が取れない日はどうすればいいですか

通勤中に聞こえてくる音や、家事で水が手に当たる感覚、ご飯の味や匂いに全神経を向けてみてください。日常マインドフルネスと呼ばれるやり方で、誰でもできます。

効果を感じなくても続けたほうがいいですか

僕はクライアントさんにも、最初は効果を感じなくてもいいから、ただただ続けてくださいと伝えています。運動もそうですが、効果が出るまで少し時間がかかることもあって、だからこそやる価値があります。

まとめ

意志力は、継続力を支える要素の1つで、ちょっときつい行動を日常で繰り返すことで、鍛えられる可能性があります。大事なのは、自分が主観的に嫌だなと感じる小さな負荷を、休養を削らない範囲で足すことです。

  • あと50m、もう1回、あと15分のような小さな負荷から始める
  • 楽しくなった行動は、もうトレーニングになっていないかもしれない
  • 習慣にするなら有酸素運動と集中瞑想(1分から)。Nバック課題は、ゲームをする時間があるならその代わりに
  • 過度な慢性的なストレスは避け、積み上げを続ける

動画では、継続力を支える要素の一覧や、aMCCの研究の画像を見せながら、ここに書いた話を27分かけて話しています。気になったところだけでも、見てみてください。

出典

  1. Parvizi J, et al. "The will to persevere induced by electrical stimulation of the human cingulate gyrus." Neuron. 2013;80(6):1359-1367. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24316296/
  2. Touroutoglou A, et al. "The tenacious brain: How the anterior mid-cingulate contributes to achieving goals." Cortex. 2020;123:12-29. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31733343/
  3. Muraven M. "Building Self-Control Strength: Practicing Self-Control Leads to Improved Self-Control Performance." Journal of Experimental Social Psychology. 2010;46(2):465-468. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20401323/
  4. Friese M, et al. "Does Self-Control Training Improve Self-Control? A Meta-Analysis." Perspectives on Psychological Science. 2017;12(6):1077-1099. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28846503/
  5. Lin K, et al. "Aerobic exercise impacts the anterior cingulate cortex in adolescents with subthreshold mood syndromes: a randomized controlled trial study." Translational Psychiatry. 2020;10(1):155. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32424169/
  6. Colcombe SJ, et al. "Aerobic exercise training increases brain volume in aging humans." The Journals of Gerontology Series A. 2006;61(11):1166-1170. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17167157/
  7. Tang YY, et al. "Short-term meditation induces white matter changes in the anterior cingulate." Proceedings of the National Academy of Sciences. 2010;107(35):15649-15652. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20713717/

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【努力中毒】脳を変えて、継続できる自分に変わる3つの科学的習慣

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