体力をつけるというと、走り込みや筋トレを思い浮かべると思います。でも、運動だけが答えではありません。この記事では、YouTube『Ryuの自己管理室』で紹介した20個を、第20位から第1位まで動画と同じ順番でまとめました。最後に、20個を一度に始めず、今日の1つを選ぶところまで書きます。
体力は、
コップの大きさと穴と水で決まる
体力をつけるとは、①コップの大きさを大きくする ②コップの穴を塞ぐ ③水を補充する、の3つをやることです。動画では20個を紹介したあと、最後にこの3つへまとめました。記事では先に出します。どれから手をつけるか迷ったとき、足りていないのがどの要素かで選べるからです。
- コップを大きくする:筋トレ、HIIT、ゾーン2の有酸素運動で、使える体力の容量を増やす。
- 穴を塞ぐ:座りすぎ、予定の詰め込み、休憩不足など、体力を消耗する行動を減らす。
- 水を補充する:睡眠、昼寝、NSDR、入浴やストレッチで回復する。
どんなに大きなコップでも、穴が開いていれば注いだそばから出ていきます。逆にコップが小さいままだと、水を補充してもすぐに空になります。動画の最後でも、いまの自分に足りない要素から1つだけ選ぶと話しました。3つを一度に変える必要はありません。
この記事は動画『【1日5分でOK】体力お化けになる習慣 TOP20』をもとに構成しています。全編は46分です。
体力をつける習慣
第20位〜第16位
最初の5つは、立ち上がる、呼吸する、行動のきっかけを決める、休む、夜の刺激を減らす習慣です。どれも、特別な道具を用意せず始められます。
第20位 1時間に1回立ち上がる
「座りすぎは現代のタバコである」という言葉があります。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、座りすぎを避け、今よりも少しでも多く体を動かすことが基本だと書かれています。同じガイドは、座位行動を「座位や臥位の状態で行われる、エネルギー消費が1.5メッツ以下の全ての覚醒中の行動」と定義していて、デスクワークも移動中に座っていることもここに入ります。
やることは簡単で、1時間に1回立ち上がって少し歩くだけです。ふくらはぎは第2の心臓と呼ばれていて、ここを動かすと下半身に溜まりやすい血液を心臓へ戻す働きを助けてくれます。同僚のために水を取りに行く、トイレに立つ、それだけでいいんです。僕はスタンディングデスクを使い、座って仕事をした日も終わり次第かならず立ち上がるようにして習慣にしました。
第19位 IAP呼吸法
IAPは腹腔内圧、つまりお腹の中の圧力です。スタンフォード大学スポーツ医局でアスリートのケアに携わってきた山田知生さんが、著書『スタンフォード式 疲れない体』で紹介しています。僕も大学生のときにこの本を読んで実践しました。5秒かけて鼻から息を吸ってお腹を風船のように膨らませる。その膨らみをキープしたまま5〜7秒かけて口から吐く。これを5セットで1分ほど。普通の腹式呼吸と違うのは、吐くときもお腹を膨らませたままにするところです。
空っぽのペットボトルは横からちょっと押すだけでペコっと潰れますが、中身がパンパンに詰まっていると押してもビクともしません。お腹の圧力を高めると、同じように内側から体幹が支えられます。デスクワークの合間や寝る前に1分がおすすめです。
第18位 「もし〜したら」ルール
やる気を無駄遣いしないためのテクニックです。「もし◯◯したら、△△する」と、行動のスイッチをあらかじめ決めておきます。もし朝歯を磨いたら、そのままスクワットを10回する。僕は英語のスピーキング練習が続かなかったとき、「朝外に出たらイヤホンをつけて独り言を話す」というルールにして一発で習慣にできました。
毎朝やるかどうかで悩む隙がなくなり、歯磨きが自動的にスクワットを開始するトリガーになります。決断しないぶん、エネルギーが減りません。習慣を1つずつ積むやり方は習慣トラッカーの作り方にまとめています。
第17位 NSDR
NSDRはノン・スリープ・ディープ・レストの頭文字で、直訳すると「眠らない深い休息」です。横になるか座るかして目を閉じ、全身の力を抜いて、呼吸に意識を向けながら10〜20分ぼーっとするだけ。ガイド音声に沿ってやります。疲れているときの僕らは、アクセルを踏みっぱなしで日中を戦っています。
僕は監査法人で働きながらYouTubeを投稿していた1か月間、これを毎日やっていました。帰宅後に3〜5時間積み上げる必要があったのに、帰った時点でクタクタだったからです。午後にへたってきたとき、コーヒーや気合いで無理に頑張るかわりに試してみてください。
第16位
寝る前1時間のデジタルデトックス
明日の体力は明日決まるのではなく、前日の夜に決まります。7時間寝ているのに朝つらいときは、時間ではなく質のほうが崩れているかもしれません。本当の問題は画面の光より、脳の興奮のほうです。SNSやニュースや動画で新しい情報が次々に飛び込んでくると、寝つきや睡眠の質が下がります。
だから寝る1時間前には、スマホを手の届かない場所へ追放する。寝室には持ち込まない。照明はオレンジ寄りに落として、紙の本を読んだり軽くストレッチしたりするのがおすすめです。僕も夜のやり取りが増えた時期にこれができなくなり、明らかに回復力が落ちました。夜の組み立て方は夜のルーティンは90分で組むに時刻つきで書いています。
体力をつける習慣
第15位〜第11位
第15位 1時間にコップ1杯の水
動画で伝えた目安は、1時間にコップ1杯の水です。喉が乾いたと感じてる時点でもう遅いです。そうならないよう、喉が渇く前に先回りして飲みます。ジュースやコーヒーではなく水をデスクに置いておくと、飲むために立ち上がるきっかけにもなります。
第14位 ベジファースト。一口目は野菜
中身ではなく順番を変えるだけなので、いちばん始めやすい習慣です。空腹でおにぎりや麺類をかき込むと、血糖値がジェットコースターのように急上昇します。すると体は下げようとします。今度は急降下する。この乱高下が強烈な眠気とだるさの正体です。山が高ければ高いほど谷も深くなってしまいます。
防ぎ方は拍子抜けするほど簡単で、野菜から先に食べるだけ。食物繊維は、後から入ってくる糖の吸収をゆるやかにします。腹八分目にすれば、消化に取られるエネルギーも減ります。僕は19歳のころにこれを変えて、昼ご飯のあとの眠気が来なくなった日を今でも覚えています。
第13位 筋トレ
「ただでさえクタクタなのに、仕事終わりに筋トレなんて無理だろ」と思った方。その気持ちはよく分かります。でもここが分かれ目です。筋トレは、使えるエネルギーを節約する作業ではなく、スマホのバッテリーの容量そのものを大きくする作業です。器が大きくなれば、多少使っても1日もちます。
厚生労働省のガイドは、成人に対して筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。足・背中・胸といった大きな筋肉が中心です。ジムが大変なら自宅でスクワット10回からで十分。最初の数週間はしんどいですが、そこを越えたあたりから日常の疲れが減っていきます。
第12位 スモールウィン日記
1日の終わりに、良かったことを数行だけ書き留める習慣です。僕は毎日続けていて、うつや燃え尽きのような症状から抜け出す途中に、本当に助けられました。これは治療法という意味ではなく、自分に起きた小さな良いことを見落とさないために続けた記録です。
動画では、ネガティビティ・バイアスを狩猟採集の時代のサバンナにたとえました。危険を覚えておくことは生存に必要だった一方、いまは1日に良いことが10個あっても、嫌なこと1個だけが頭に残ることがあります。だから僕は、意識して「今日できたこと」に光を当てます。
朝ちゃんと起きられた、人に親切にできた。そのくらいで構いません。型はジャーナリングのテンプレートに5つ載せているので、そちらを使ってください。
第11位 朝散歩
夜眠れない、朝起きられない。その原因を夜に探す人が多いのですが、夜の不調の多くは朝が作っています。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」にも、起床後に朝日の強い光を浴びることで体内時計はリセットされ、睡眠・覚醒リズムが整い、脳の覚醒度が上昇すると書かれています。
朝外に出て光を浴びる散歩は、その日の睡眠への先行投資です。起きてから遅くとも1時間以内に、5〜20分ほど外を歩く。曇っていても室内の照明とは比べものにならないくらい明るいので、天気は言い訳になりません。僕は雨の日も帽子をかぶって走りに行きますし、難しい日はベランダで朝日を浴びています。朝の設計は早起きのコツTOP20にまとめました。
体力をつける習慣
第10位〜第6位
第10位 予定を詰め込まない
予定を詰め込むのをやめた人ほど、結果的に多くのことをこなせるようになります。カレンダーを隙間なく埋めるのは一見すばらしく見えますが、それこそが長期的なパフォーマンスを下げていることがあります。
僕は90分集中したら15分休む、50分なら10分休む、というサイクルを守っています。朝と夜もタイムブロックして、緊急対応がない限りは自分の時間にしています。休憩のあいだはスマホを見ず、情報をシャットアウトします。新しい情報を入れるのではなく、ぼーっとする・仮眠をとる・散歩する・書く、のどれかです。
休んでいるはずなのに疲れが抜けないときは、疲れてるのに休めない人の休み方で、試して残った3つに絞って書いています。
第9位 体重×1.5gのタンパク質
体力は気合いではなく、体の材料から作られます。どれだけ運動して寝ても、修復する材料が足りなければ回復しにくくなります。僕は体重×1.5gを1日の目安にしていて、体重60kgなら90gくらいです。1食でまとめて摂ると効率が悪いので、朝昼晩に分けます。卵、鶏肉、魚、納豆、豆腐、ギリシャヨーグルト。補いきれない日はプロテインを足すのもありです。
会社員や経営者ならビジネスアスリート、お母さんならママリート。自分のことをアスリートだと思って、睡眠と運動と食事にこだわるだけで、周りとの差はかなり開きます。ここまでこだわっている人が周りにほとんどいないからです。
第8位 昼寝
昼寝は怠け者がすることだという考え方は、もう古いと思っています。僕は会計士受験生のころから7年ほど続けていて、クライアント対応で夜が長引いた日や、翌日の大勝負に備えた日に助けられてきました。
守ってほしいのは、30分以内にすることです。これを超えると深い眠りに入りやすく、起きたときにぼんやりして逆効果になることがあります。寝る直前にコーヒーを1杯飲んでおくと、カフェインが効き始めるころに目が覚めます。カフェインナップと呼ばれる方法で、ここぞという日に使っています。
第7位 闇ストレッチ
これは僕がいちばん好きな習慣です。疲れの取れ方を左右するのが、寝る前の体温の動かし方。40〜42℃のお湯に10分ほど浸かると深部体温が一時的に上がり、そのあと元に戻ろうとして下がります。この下り坂のタイミングが入眠のスイッチです。
厚生労働省の睡眠ガイドにも、就寝の約1〜2時間前に入浴して体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる、と書かれています。熱すぎると目が冴えてしまうので、睡眠が目的なら41℃くらいがおすすめです。湯上がりは、吐く息を長くしながらストレッチをします。できる人は闇風呂、つまり真っ暗にして入る。体をオフにするときは、頭もオフにするためです。僕は洗面所の電気だけをつけて入っています。
第6位 シングルタスク
マルチタスクができる人は有能だという思い込みは、捨ててください。同時に向けているつもりの注意は、実際には高速で切り替えているだけです。タブを30個も開きっぱなしにすると、何をしてなくても動作が重くなります。脳も同じです。
今日1日めっちゃ頑張ったのに全然進んでいない、という日は、たいてい一度に2つ以上のことをやっています。1つのことに深く入る条件はフロー状態の入り方に書きました。
体力をつける習慣
第5位〜第2位
第5位 毎日同じ時間に起きる
睡眠を改善しようとすると、多くの人は寝る時間をいじります。でも先に手をつけるべきは起きる時間のほうです。普段7時に起きる人が10時に起きると、3時間の時差ボケみたいな状態になります。厚生労働省の睡眠ガイドも、寝だめのために休日の起床時刻が大きく遅れると体内時計が混乱し、時差地域への海外旅行と同様の時差ボケが生じる、と書いています。
僕もたっぷり寝ているはずなのに疲れが取れない時期があり、原因は起きる時間がバラバラだったことでした。休日も含めて起床時刻を一定にする。難しければプラスマイナス1時間以内に収めるだけでも変わります。
第4位 HIIT
ここからは疲れにくい体を本格的に作っていきます。HIITは、全力に近いきつい運動と短い休憩を数分間繰り返すトレーニングです。僕は20秒バーピージャンプ、10秒休憩を8セット。合計4分間です。2日に1回、きついなら週1〜2回でも構いません。
厚生労働省のガイドは、成人に対して息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上行うことを勧めています。これはHIITを4分やれば60分相当になる、という意味ではありません。僕自身はHIITを7年続け、本格的なマラソントレーニングをしていない状態で100kmマラソンを走り切りました。ただし、運動習慣がない方や持病がある方は、最初から全力で行わず、体調に合わせてください。
第3位 ゾーン2の有酸素運動
運動の強度にはゾーン1からゾーン5まであり、体力を作るうえで中心になるのがゾーン2です。ゾーン2は、ややきついけどなんとか会話はできるぐらいの強度を指します。ぜぇぜぇ息が切れる必要はありません。その手前の、会話ができるかどうかギリギリのラインです。
僕が動画で紹介した目安は、週2〜3回、1回20〜40分ほど、会話ができるペースで走ることです。きつければ早歩きやサイクリングでも構いません。きつくないというのがポイントです。厚生労働省のガイドは別の基準として、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上としています。僕は集中力が落ちる夕方にやっていますが、忙しい人は休日の20分から始めてください。
第2位 ラスト5分エクササイズ
20個の中で、時間がない人でも始めやすいのがこの習慣です。集中する時間の最後の5分を、運動に明け渡します。30分の空き時間があるなら25分集中して5分運動する。1時間なら50分と10分に分ける。運動の中身はゾーン2でもHIITでも、軽いストレッチやちょっとした散歩でも構いません。
ポイントは、疲れる前に運動を挟むことです。動きながら休むことをアクティブレストと言い、血流を良くして、座りすぎでこわばった体をゆるめてくれます。僕はこれを取り入れたことで、会計士試験と英語学習とSNS発信と起業を全部回せるようになりました。最高のオフを取ることで、最高のオンを生み出す。夕方になっても失速しない人たちは、この形で働いています。
第1位。
体力お化けは全員、没頭している
努力は夢中に勝てません。疲れたなという脳のブレーキを外してくれる、いちばん強いスイッチが没頭です。体力お化けと呼ばれる人は、第20位から第2位までの習慣で土台を整えたうえで、没頭できるものにエネルギーを注いでいます。
とはいえ、夢中になれるものなんてない、という声もよく聞きます。僕が試してたどり着いたのは、欲望・勝ち筋・進捗の3つを見える化することでした。
- 欲望:それができた先に、どんな未来を手にしたいのか。
- 勝ち筋:どういう道筋なら、その未来に手が届きそうか。
- 進捗:前に進んでいると分かる数字や出来事は何か。
大谷翔平さんになりたい、というのはワクワクしますが、勝ち筋が分からなすぎて夢中にはなれません。一方で僕はYouTubeを3年以上続けるうちに、100万回再生された動画と数千回だった動画の差が見えてきたので、毎回出すのが楽しくてしかたありません。続かないのは意志が弱いからではなく、欲望と勝ち筋を見える化していないだけです。自分の欲望を掘り起こす手順は人生の棚卸しを月2時間でに書きました。
体力をつける習慣は
1週間に1つずつ足す
20個を一度に始めるのは無理です。おすすめは、まず没頭できるものを見つける旅に出ることを大前提にして、第2位から第20位の中から1つだけ取り入れること。1週間続いたらもう1つ足す。1か月トータルで3つくらいに抑えておくと、効果を実感しやすいと思います。
どれを選ぶか迷ったら、最初の3要素に戻ってください。容量を増やす、消耗を減らす、回復する。その中から、いま足りないと思うものを1つ選びます。今日、この記事を閉じたあとに1回立ち上がるところからで十分です。
よくある質問
運動する時間がまったく取れません。どれか1つだけ選ぶなら?
まずは第2位のラスト5分エクササイズです。新しく時間を作らず、いま集中している時間の最後の5分を、散歩やストレッチに振り替えます。動画の最後では、没頭できるものを探すことを大前提に、第2位から第20位の中から1つだけ選ぶと話しました。
20個すべてを実践しないといけませんか?
いいえ。動画では、1週間に1つずつ追加し、1か月で3つくらいに抑えると話しています。最初から全部を変えようとせず、今日できる1つを選んでください。
運動と休息は、どちらから始めればいいですか?
最初の3要素で考えます。容量を増やしたいなら筋トレや有酸素運動、消耗を減らしたいなら座りすぎや予定の詰め込みを見直し、回復が足りないなら睡眠や昼寝、NSDRから選びます。自分に足りないと思うものを1つだけ試してください。
疲れが取れない状態が何週間も続いています。
習慣を変えれば治りますか?
この記事に書いたのは、健康な人が日々のパフォーマンスを上げるための習慣です。休んでも取れない強い疲れが長く続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、生活習慣の問題ではないこともあります。まずは医療機関にご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(令和6年1月)https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
- サンマーク出版「スタンフォード式 疲れない体」https://bookstore.sunmark.co.jp/products/9784763136879