習慣・自己管理

コミットメントデバイスとは?例7つと、損する仕組みの注意点

2026年10月16日更新 約8分で読めます 文・福井龍介(Ryu)/POTEX株式会社 代表取締役

「コミットメントデバイス 例7つ」の文字。電源を切って置いたスマホと、1マスだけ赤い予定表
コミットメントデバイスは、やる気や意思力に頼らなくても行動が続くように、先に自分を縛っておく仕組みです。最初に作るなら1回やれば後の自分が楽になるもので、中でもコミットメントパートナーがいちばんのおすすめです。罰金のような損する仕組みは、短期の必殺技として使うのがいいと思っています。例は7つ、一覧の表は最初の章にあります。この記事は、僕の動画『【やる気を出す】この5つを知れば「続かない」自分とお別れできます。』(2.6万回再生)を記事にしたものです。

コミットメントデバイスとは、
やる気に頼らず行動が続く仕組みのこと

コミットメントデバイスとは、やる気や意思力が落ちた日の自分でも決めた行動を取れるように、先に自分の選択肢を狭めたり、やらなかったときに損をする形にしたりしておく仕組みのことです。

経済学の総説では、自制心が足りないといった理由で果たしにくい将来の行動計画を、果たしやすくするために自分で結ぶ取り決め、と説明されています。そのうえで、失敗するとお金など実際の損が出るものをハード、主に心の負担だけのものをソフトと分けています(Bryan, Karlan & Nelson, 2010)。

僕は動画で、この言葉は使わずに「仕組み」と呼びました。努力が続かない人は、目標だけ作って仕組みを作れていない。ここで言う仕組みは、勝手に行動が続くシステムのことです。

Ryuが話す画面に「目標だけ作って 仕組みを作れていない人」のテロップ
図1. 努力が続かない人は、目標だけ作って仕組みを作れていない人だと結論を話している場面(動画『【やる気を出す】この5つを知れば「続かない」自分とお別れできます。』より)

たとえば、英語が話せるようになりたいから毎日3時間勉強しよう、と決める。これは現状から理想へ続く階段を、必死にダッシュしようとしている状態です。でも、階段をずっと同じペースで全速力で走り続けられる人はいません。続く人は階段ダッシュをせず、理想へと続く登りエスカレーターを作るところから始めます。

やる気や意思力が自分の内側にある気持ちなのに対して、登りエスカレーターは自分の外側にある環境です。コミットメントデバイスは、この外側の環境を自分で先に作っておくことにあたります。ただ、厳密に言うと足を止めていいわけではありません。エスカレーターの上を走るイメージです。

例1回やること
1. コミットメントパートナーを作る同じ目標の人と、毎週進捗を報告し合う約束をする
2. 関わる集団を変える周りにいる人を選び直す
3. 自習室やコワーキングを契約する集中できる場所に月額で払う
4. スマホの電源を切る手の届かないところに置く
5. 達成できなかったら払う契約3ヶ月後までに5kg痩せなかったら5万円払う、と決める
6. 罰金のあるアプリ決めた時間に起きて決めた場所に行かなければ課金される設定にする
7. 報酬を先に受け取る欲しい物を先に買い、達成できなければ人にあげると決める

1〜4が「1回やれば済む行動」、5〜7が「ケツに火をつける」方法です。動画では2分46秒から前者、8分20秒から後者を話しています。動画の後半では、始めることをゴールにする、前に進んでいる自分を褒める、といった続け方の話もしています。続きは動画で見てください。

この記事は動画『【やる気を出す】この5つを知れば「続かない」自分とお別れできます。』(2.6万回再生・2026年10月2日時点)をもとに構成しています。全編は20分です。

1回やれば済む
コミットメントデバイスの例4つ

最初に作るなら、1回だけ実行すれば、後の自分がより楽に行動できるものがおすすめです。僕はこれをワンタイムアクションと呼んでいて、動画では5つ挙げました。この記事では、そのうち4つを取り上げます。

1. コミットメントパートナーを作り、自分との約束を他人との約束に変える

1つ目のコミットメントパートナーは、いちばんのおすすめです。自分と同じ目標を持っている人がいたら、パートナーを組んで、お互いに毎週進捗を報告し合います。公認会計士の勉強なら、受験仲間と目標を共有し、毎週ミーティングを組みます。

これは、自分との約束を他人との約束に変えているのです。会社で9時に出社すると約束したら、前の日の夜が遅くなっても、目覚ましをかけて起きようと思いますよね。遅刻したら信頼を失うからです。でも、休日の朝9時から家で英語の勉強をすると自分で決めた日に、夜中の3時まで飲み会だったらどうでしょう。翌朝起きるには、相当な意思力が要ります。

パートナーと約束していれば、それはもう自分だけの戦いではありません。外部の力を使うので、意思力をそこまで使わなくても、自然とやる方向に向かえます。理想はアスリートのようにコーチをつけることですが、まず自分の周りでできることとして、コミットメントパートナーを作ってみてください。

2. 関わる集団を変える。予備校の約10人は全員が一発合格だった

2つ目も人です。よく周りの5人の平均が自分だと言います。いい環境にいると理想的な考え方や行動を取りやすくなり、環境がある限りずっと続きます。

僕が公認会計士の受験をしていたとき、予備校の中にコミュニティがありました。その中の1人が僕の高校時代の親友で、彼が仲良くしていた約10人は、全員が公認会計士試験に一発で受かっていました。合格率が1割以下の試験です。10人全員が受かっているのは、明らかに普通ではありません。

Ryuの横に「公認会計士の合格率」のグラフと「合格率1割以下」のテロップ
図2. 予備校の約10人が全員一発で合格した話の途中で、公認会計士試験の合格率が1割以下であることを示している場面(動画『【やる気を出す】この5つを知れば「続かない」自分とお別れできます。』より)

これは、環境の基準値が自分の基準になっている1つの例だと思っています。関わる場所の選び方は、やる気が出ない日に動く方法の「やる気は環境で決まる」でも5つに分けて書きました。

3. 自習室やコワーキングを契約する。お金を払うのは決意表明

家でやるのはやめましょう。

とはいえ、僕自身は公認会計士や英語の勉強中、家でやっていました。家の中でスタンディングデスクやステッパー、ウォーキングパッドを使いたかったし、すぐに自重で筋トレをしたり、声に出して勉強したりしていたからです。コロナもありました。これは合う合わないがあります。

どうしても家でできないタイプの人は、自習室やコワーキング、図書館のような場所を、1回契約してしまいましょう。お金を払うのも1つのポイントで、それは自分の決意表明になります。その場所に行ったら勉強する、という環境的なスイッチが入り、繰り返すほど条件付けで集中しやすくなります。避けたほうがいい場所は、勉強で集中できる場所を探す前に、避けたい5つの環境にまとめました。

4. スマホの電源を切って、手の届かないところに置く

僕も、目の前にスマホがあったら、意思力で戦うのは無理です。だから基本的には手の届かないところに置いたり、家に帰ってきたらポストにぶち込んだりして、先に環境を作ります。

スマホとの距離の取り方は、ドーパミンデトックスのやり方で4つのステップにしています。

ケツに火をつける
コミットメントデバイスの例3つ

もう1つのやり方は、ケツに火をつけることです。自分が行動しなかったら損する仕組みを作ります。これは麻薬です。短期的にはめちゃくちゃ効果があるけれど、使い方には注意が必要です。

5. 達成できなかったらお金を払う契約を結ぶ

たとえば、3ヶ月後までに5kg痩せなかったら5万円払う、という契約です。失敗したら実際にお金を払うので、最初の章で紹介した分け方ではハードにあたります。

6. 罰金を払わされるアプリを使う

クライアントから教えてもらって、面白いなと思ったアプリがあります。指定した時間に起きて、指定の場所に行かなかったら、自分が設定した罰金をそのアプリに課金させられる、というものです。

7. 報酬を先に受け取ってしまう

今欲しい物を思い浮かべてみてください。体験ではなく、物です。普通は何かを達成したらご褒美に買おうと考えますが、予算の範囲なら先に買ってしまいます。

そのうえで、3ヶ月後までに5kg痩せる目標なら、達成できなかったら、それをどこかに寄付するか、誰かにあげると決めます。いちばんいいのは、あげたくないなと思う人がもしいるなら、その人にあげると決めてしまうことです。

達成したらご褒美をもらうのは、0からプラスに変わりたいというモチベーションです。先に買って、ダメだったら失うとなると、0からマイナスのモチベーションになります。損を避けたい気持ちと、それだけに頼らないほうがいい理由は、努力が続かない人への8つの方法の「損失回避は使いすぎない」に書きました。

損する仕組みのコミットメントデバイスは、
長続きする人が少ない

長続きする人は少ないです。追いかけるのではなく、追われることはつらいからです。

猛獣に追いかけられたら、本気で走りますよね。でも、ずっと猛獣に追いかけられている状態は長続きしません。それが幸せなのか、という話でもあります。

だから僕は、短期的に必殺技として使うのがいいんじゃないかなと思っています。行動の量を増やすという意味では使えます。

よくある質問

AIのコーチに進捗を報告するのでは、パートナーの代わりになりませんか。

AIコーチにも、知識をくれるといったメリットはあります。ただ、AIからの信用を失うことと、大事な人や信頼できる人からの信用を失うことでは、雲泥の差があります。ここはどこまで行っても人に価値がある、と僕は考えています。

お金をかけずに作れるコミットメントデバイスはありますか。

あります。コミットメントパートナーを作ることや、スマホを手の届かないところに置くことは、お金をかけずにできます。僕は、無料でできることは無料からやります。そのうえで、仕事や勉強がはかどることには投資する考え方も必要だと考えています。

自分で締め切りを決めるのも、コミットメントデバイスになりますか。

自分で先に決めて、自分を縛るための締め切りなら、定義の上では入ります。ただ、自分で決めた締め切りの効果を示したとしてよく紹介される2002年の論文(Ariely・Wertenbroch)は、2026年9月に撤回されています(撤回通知・2026年)。2026年の追試(Hyndman・Bisin, 2026)では、締め切りの置き方を変えたことによる成績などへの影響はごくわずかでした。

まとめ

  • 最初に作るなら、1回やれば後の自分が楽になるものがおすすめです。コミットメントパートナー、関わる集団、自習室(家で集中できない人の場合)、スマホの電源の4つです
  • ケツに火をつける方法は長続きする人が少ないので、短期の必殺技として使うのがいいと僕は思っています

この中から1回やれば済むものを1つ選んで、今日やってみてください。何を続けるかがまだ決まっていない人は、人生が変わる習慣20選から1つ選ぶところから始められます。

出典

  1. Bryan, G., Karlan, D., & Nelson, S. (2010). Commitment Devices. Annual Review of Economics, 2, 671–698. https://doi.org/10.1146/annurev.economics.102308.124324
  2. Retraction: Procrastination, Deadlines, and Performance: Self-Control by Precommitment. Psychological Science, 37(9), 665(2026年9月). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42684323/
  3. Hyndman, K., & Bisin, A. (2026). Replication of “Procrastination, Deadlines, and Performance: Self-Control by Precommitment”. Psychological Science, 37(8), 557–571. https://doi.org/10.1177/09567976261460772

動画で見る

【やる気を出す】この5つを知れば「続かない」自分とお別れできます。

全編を動画で見る

チャンネル『Ryuの自己管理室』(登録者16万人)で、自己管理と習慣化のメソッドを発信しています。

続けるところまで、
一人でやらなくていい。

現在地と目標をお聞きし、あなたに合う伴走の形をご提案します。
無理な勧誘は行いません。

LINEでお問い合わせ

友だち追加後、トークで「無料相談」とお送りください。

プログラムの内容を見る