英語の勉強も筋トレも、続けたいのに続かない。習慣化のコツは、やる気ではなく仕組みで続けることです。僕自身、もともと学習習慣がまったくなく、高校野球を引退したあとは毎日友達と遊んでいました。それでも習慣を作ってからは、やるべきことをやるのが全然苦ではなくなりました。この記事は、YouTube『Ryuの自己管理室』の動画(3.6万回再生)を読みものにしたものです。僕が「成長システム」と名付けた5つの仕組みと、作る順番まで書きます。
習慣化のコツは、
自動で続く「成長システム」を作ること
習慣化のコツは、やる気に頼らず、やるべきことが自動で続く仕組みを作ることです。今まったく習慣がなかったとしても、0から作れます。習慣は作るまでが大変ですが、1回作ってしまえばもうこっちのもんです。
特に僕は会社を辞めてから、誰からも何も強制されなくなりました。自己管理能力こそが収入に直結すると、毎日ひしひしと感じています。それでも習慣化の力を知っていたおかげで、もともと怠け者の僕でも、モチベーションという概念が消えました。朝起きたら今日もやる、というのが当たり前になりました。
手元のスマホを思い浮かべてください。毎日めちゃくちゃいじっていますよね。それは立派な習慣で、しかも毎日自動でやっています。いつスマホを習慣にしたのか、たぶん覚えていないと思います。スマホには、いじるという行為に膨大な時間を自動で注ぎ込ませる仕掛けがあるからです。
この仕掛けは、良い習慣を作るときにも使えます。勉強や副業や筋トレが、スマホをいじるように自動でできたら、めちゃくちゃ幸せだと思いませんか。僕らの行動はシステムで決まります。どんな仕掛けや仕組みを持った環境を作るかで、習慣が変わり、行動が変わり、結果が変わります。このシステムを、僕は「成長システム」と名付けました。中身は次の5つです。
| コツ | やること | 動画で出てくる例 |
|---|---|---|
| 1. トリガーをセットする | いつ・どこで・何を・どれぐらいやるかを決め、すでにある習慣を引き金にする | 朝7時半、通勤の電車に乗ったら英単語帳を開く |
| 2. とにかく始めやすくする | 始めるまでの手間を減らす(20秒ルール) | 机のいちばん目につくところに英単語帳を置く |
| 3. 記録と進捗の見える化 | やったか、何分やったか、どれだけやったかを残す | Studyplus、Toggl、ストップウォッチとノート |
| 4. アカウンタビリティを確保する | 記録を毎日、信頼できる人に見せる | 同じ目標を持つ人と記録を送り合う |
| 5. 50%の確率で報酬が得られる仕組み | ご褒美を毎回ではなく、50%の確率でもらえるようにする | ポイントが10個貯まったらコインフリップ |
動画では、5つの要素と振り返りで書き出す3つを画面に出しながら話しています。記事では、動画で出てきた例を場面ごとの表にまとめ、ご褒美の話には研究の出典を添えました。
この記事は動画『【1日で変わる】やるべきことが自動で続く「成長システム」の作り方』(3.6万回)をもとに構成しています。全編は21分です。
習慣化のコツ1。
トリガーをセットする
トリガーは、日本語で言うと引き金です。習慣には、その手前に行動を引き起こすトリガーがあります。SNSの見すぎなら、関係ないアプリの通知がトリガーの人もいれば、勉強に行き詰まったときの不安がトリガーの人もいるでしょう。トリガーが分かったら、良い習慣にも応用します。
具体的には、いつ・どこで・何を・どれぐらいやるかを決めます。たとえば「朝7時半、通勤の電車に乗ったら英単語帳を開いて20分。目標は50単語」です。ポイントは、時間や場所をはっきりさせたうえで、すでにある習慣を活用することです。くっつけ方の型と例は、既存の習慣に新しい習慣をつなげる方法にまとめています。
習慣化のコツ2。
20秒ルールで、とにかく始めやすくする
2つ目のコツは、とにかく始めやすくすることです。一瞬で行動を始められる仕組みを作ります。
これもスマホで考えると分かります。スマホは超絶手軽です。ポケットからすぐ取り出せて、一瞬でアプリが開き、次から次へと面白いコンテンツが流れてきます。1つ目で書いたトリガーに、めちゃくちゃ入りやすいのがスマホです。この手軽さを、理想の習慣のほうにも持ち込みます。たとえば次のような工夫です。
- 机の上のいちばん目につくところに、英単語帳を置いておく
- 棚を整理して、必要な参考書が一瞬で手に取れるようにする
- 電車でスマホを開いたら、真っ先に単語アプリが開けるようにする
正解は1人1人の状況で違うので、自分で工夫してください。そのときのキーフレーズは「今よりもっと簡単にできる方法はないか」です。
20秒ルールとは
20秒ルールとは、行動にかかる手間を20秒ぶん減らしたり増やしたりするやり方です。やりたい行動は今より20秒早くできるように、やりたくない行動は今より20秒余計に手間がかかるように、環境を設計します。具体的な秒数が欲しい人の目安になります。
僕らは単純なので、行動に向かうまでの手間が多くなるほど、その行動をやらなくなります。逆に、行動しやすくなるほど、その行動をやる時間が増えます。高級ブランドのバッグを扱うお店では、たいてい手に取りやすいところに高価な商品が置いてあります。前に本で読んだ例だったと思います。人の行動は、それぐらい環境で変わります。動画で出した例を、場面ごとに表にまとめました。
| 場面 | やりたい行動を20秒早くする | やりたくない行動に手間を足す |
|---|---|---|
| 勉強 | 英単語帳を、毎日目につくところに置く | デスクに関係ないものを置かず、スマホは部屋から離れたところに置く |
| 運動 | ジムの近くに住むか、通勤の通り道にあるジムと契約する。着替えは5秒で取れる位置に置き、ジムの鍵は毎朝見るところに置く | — |
| 食事 | 食べたい食品は目に入る位置に置く | 食べたくない食品は、手の届かない位置に置くか家から捨てる |
| テレビ | — | 見終わったら毎回電源を抜くか、家から撤去する |
当たり前に聞こえるかもしれないし、めんどくさく感じるかもしれません。でも、1番最初はそれぐらいやるのが大事です。僕らの最大の敵は何かを始める前に訪れます。「今日は英語の勉強、めんどくさいな」「ジムに行くの、ちょっとだるいな。疲れてるし」。やるべきことを頑張ってやろうとすると、頭の中にこういう考えが浮かびます。
でもこれにはバイアスがかかっています。行動のきつい部分にしか目を向けていないからです。英語や筋トレは、誰のため、何のためにやるのか。理想の自分のためですよね。きつい瞬間はあるでしょう。でもそれは、タスク全体で見ればごく一部です。終わったあとに達成感を感じたり、行動している自分を好きになれたりします。それは始めてみないと分かりません。
だから、きついなと思ったら、その瞬間に始めます。脳筋すぎるアドバイスに聞こえるかもしれません。でも、始めないとやる気は出てきません。
習慣化のコツ3。
記録を取って、進捗を見える化する
3つ目のコツは、記録と進捗の見える化です。習慣にしたい行動をやったら、ログを取ります。最低限分かればいいのは、やったかやっていないか、どれくらいの時間、どれくらいの量をやったかです。突き詰めたい人は、やった時間がグラフで見えるツールを使うともっといいです。
英語学習なら、有名なところではStudyplusのようなアプリがあります。教材を登録して、始めるときにスタート、終わったらストップを押せば記録は終わりです。紙のノートやGoogleスプレッドシートでも構いません。動画を撮った当時、僕はTogglというアプリで記録をつけていました。
記録ツールは手段でしかないので、ここで迷わないでください。迷うくらいなら、アナログのストップウォッチかiPhoneのタイマーで測ります。それをノートに「英語学習50分」と書くだけで十分です。
ツールはあとからいくらでも変えられます。まずは50%の完成度で走り出すことを大事にしてください。完璧にこだわっていたら、いつまでたっても行動を起こせません。紙で記録を続ける仕掛けは、習慣トラッカーの作り方に書きました。
目標を達成するには、計画して、実行して、振り返って改善する、という一連のサイクルが欠かせません。ところが多くの人は、振り返りと改善を軽視します。いい感じの計画を立てて、よし今日やろうとやって、はい終わり。これではなかなか続きません。
今日できたのか、どうやったらもっと良くなるのかを振り返る仕組みが必要です。そうしないと改善もできず、たいてい習慣になる前に失敗します。振り返りのやり方は、この記事の最後に書きます。
さらに言うと、人は進捗が見えないと、やる気がなかなか出てきません。動画を撮る少し前、僕は長野県にある標高2000m弱の山に登りに行きました。携帯を家に置いていったので、途中で道が合っているのか分からなくなりました。あとどれぐらいで着くのか、今どこまで来たのかも分かりません。歩いても歩いても、前に進んでる感覚が得られないんです。
でも10分か15分ほどテクテク歩いていたら、「今ここは標高何メートル」「あと何分で着きます」という看板が出てきました。それで一気に生き返りました。ここまで来たならあとこれぐらい登るか、と思えたんです。習慣も同じで、進捗の可視化は、前に進んでる感覚を与えてくれます。
習慣化のコツ4。
アカウンタビリティを確保して、記録を人に見せる
4つ目のコツは、アカウンタビリティを確保することです。ここからの2つはめちゃめちゃ大事で、正直、僕の中ではいちばん強力だと思っています。
アカウンタビリティパートナーは、直訳すると責任共有パートナーのような意味です。日本ではあまり聞き馴染みのない言葉ですが、自己管理にはめちゃくちゃ大事です。やることはシンプルで、3つ目で取った記録を、毎日誰かに見てもらいます。見せる相手は、次の順で探してください。
- 自分と同じような目標を持っている人と送り合うか、専属のコーチをつける。これが最高です
- 仲間もいないし、コーチにお金も払いたくないなら、親しい人に「お願い」と頼む
- それも無理なら、SNSで匿名のアカウントを作り、毎日の記録を上げる。インスタでもXでも構いません
ここでのポイントは、自分との約束を人との約束に変えることです。見られている、やらざるを得ない、という環境を作ります。結局、人は自分との約束なんて破ってしまいます。強制力がない限り、だいたい破ります。僕も例外ではありません。でも、人との約束はそう簡単には破りませんよね。
もっとできる人は、積み上げた成果そのものを見せ合う機会を作ってください。たとえば、同じTOEICの目標を目指す同僚と、毎週末カフェで単語テストをし合う。相手がある程度英語を話せるなら、毎週末お互いに英語で話して、1週間の進歩を確かめ合う。毎日誰かにシャドーイングの録音を送る。勉強に限らず、何でも構いません。
アカウンタビリティを高めるとは、自分がやったことを人に報告し、人から見られている感覚を持てる環境を作ることです。シンプルで誰でも思いつきそうですが、意外とやっている人は少ないので、おすすめです。
習慣化のコツ5。
ご褒美は50%の確率でもらえるようにする
最後のコツは、50%の確率で報酬が得られる仕組み作りです。好きな服を買う、ずっと行きたかった旅行に行く、見たかった映画を見る。こういうご褒美は、うまく使うと習慣化を助けてくれます。ただし使い方にポイントがあって、報酬は50%の確率で得られるようにします。動画で話したやり方はこうです。
- ポイントカードを作る
- ポイントが10個貯まったら、コインをトスする(コインフリップ)
- 表なら、用意しておいたご褒美をもらう。好きな服を買う、アカウンタビリティパートナーにランチをおごってもらう、などです
- 裏なら報酬は0。せっかく貯めたポイントも、また1からやり直し
表ならもらえて、裏ならもらえない。この報酬のランダム性を作るのが狙いです。コイントスは結構楽しいと思います。とはいえこの辺りは正直アイデアなので、自分が「これおもろいな」と思う方法でやってください。
なぜ50%なのか。報酬には、ランダム性が大事だからです。パチンコなどのギャンブルやゲームのガチャに、人はなぜこれほど熱狂するのでしょうか。勝てると決まっているからでも、レアキャラが当たると決まっているからでもありません。そこにランダム性がある、ただそれだけです。
動画では、報酬をもらえるかもしれないときに、人のドーパミンの分泌量がいちばん多くなると話しました。
近い研究として、サルのドーパミン神経を調べたものがあります。報酬が出るかもしれない時刻に向けて、じわじわ高まる反応が見つかりました。反応の大きさは、「出るか出ないか分からない度合い」に沿って変わっていました(Fiorillo et al., 2003)。この度合いがいちばん大きいのは、確率が50%のときです。
ただしこれはサルの脳の反応を測った研究で、50%のご褒美で習慣が続くかを確かめたものではありません。動画でも、比率は参考程度で大丈夫だと話しています。それでも、毎回ご褒美を出すのはちょっともったいないです。ゲームの仕組みを勉強や仕事に持ち込む話は、努力が続かない人へ。ゲームの仕組みで楽しく続ける8つの方法にまとめました。
習慣化のコツ5つを、
今日から作る順番
5つを並べて「はい、やってください」で終わるのは、解説する側として若干無責任だと思います。なので動画では最後に、作る順番をロードマップとしてまとめました。
- トリガーをセットし、始めやすくする工夫を凝らす。英語学習なら、いつ・どこで・何を・どれぐらいやるかのスケジュールを組みます。トリガーには既存の習慣を使うのが鍵でした。そのうえで、トリガーと、そのあとにやる行動のハードルをめちゃめちゃに下げます
- 記録を取る。記録は進捗の可視化に欠かせません。できれば、過去の積み上げがグラフで見られるアプリがおすすめです。僕は公認会計士の受験生時代、Studyplusを毎日使っていました
- 記録を、なるべくそのまま人に見せる。相手は誰でもいいわけではなく、自分の目標達成にしっかりコミットしてくれる人を選びます。同じ熱量と目標を共有できる仲間か、コーチです。それが無理なら、オンラインで相手を見つけるか、目標を宣言してSNSのアカウントを作ります
- ランダム報酬を取り入れる。おすすめは、ポイントカードを作って、貯まったらコインをトスすることです
そこまでやるのか、めんどくさい、と思う人もいるかもしれません。でも、そのめんどくさい作業は1回構築したら終わりです。最初に面倒だと思って環境を作り切るか、毎回自分の不安定なモチベーションに左右されるか。どちらが面倒かは、過去の経験から判断してください。
始めやすくする工夫と同じで、ご褒美の決め方もアイデアが大事です。僕は動画で、一人ひとりの好みや状況が分からないまま、1対Nという多数向けに話しています。でも、あなたの状況をいちばんよく理解しているのは、あなたのはずです。
振り返りは、
ファクトチェック・今日のWin・モアの3つ
動画の最後には、本編では話しきれなかったけれど欠かせない話として、振り返りを加えました。できる人は、1日の終わり、週の終わり、1ヶ月の終わりに振り返りの時間を取ってください。そのときは記録を見ながら、次の3つをはっきりさせます。
| 3つ | 書き出すこと |
|---|---|
| ファクトチェック | 実際に何分やったか。目標の時間や分量はできたか。理想の自分の姿を保てたか |
| 今日のWin | 今日積み上げたことは何か。やってみて気分が良くなるところはどこか。今日(または1週間、1ヶ月)の積み上げは、自分の未来にどうプラスになったか |
| モア | 改善できる点はどこか。明日、または次の1週間・1ヶ月で、どうしたらもっと良くなるか |
今日のWinには、「勝ったな、自分」と思えるポイントを書き出します。記録は人に見せて終わりにせず、自分でも振り返って内省してください。そこで得た気づきを、次の行動につなげます。振り返りは、もはやジャーナリングという新しい習慣です。僕はジャーナリングを1500日続けていて、書き分け方はジャーナリングのやり方にまとめました。
動画の締めで伝えたのは、システムが命だということです。環境を作るだけで、自己管理能力が上がったと実感できる人もいると思います。それでも、自制心は全く変わっていません。変わったのは、自制心を使わなくても淡々とやるべきことができる環境を作る力です。5つを元に、毎日小さなWinを積み重ねてください。うまくいかないことがあったら、いつでも動画に戻ってきてください。
よくある質問
新しい習慣を一度にいくつも始めてもいいですか
1回で欲張って全部やろうとすると、大体失敗します。動画でも、それはやらないでほしいと話しました。
1回が短くても、続ける意味はありますか
習慣化がうまい人は、1回あたりの量よりも頻度を大事にしています。同じ週2時間の筋トレなら、1時間を2回やるより、30分を週4回やるほうが、一般的に見て習慣になる確率は上がりやすいです。
記録をつけても、効果を感じられません
記録は1日取るだけでも効果があります。さらに1週間、1ヶ月、半年、1年、2年と貯めていくと、こんなに自分はやったのかと思えるようになります。後から効果が出てくることもあるので、今日からつけ始めてください。
出典
- Fiorillo, C. D., Tobler, P. N., & Schultz, W. (2003). Discrete coding of reward probability and uncertainty by dopamine neurons. Science, 299(5614), 1898–1902. https://doi.org/10.1126/science.1077349