ハビットスタッキングとは、
既存の習慣に新しい習慣をくっつけること
ハビットスタッキングとは、歯を磨く・電車に乗るといった毎日すでにやっている行動のすぐ後に新しい習慣をくっつけて、前の行動を合図に次の行動が始まるようにする習慣化のやり方です。
呼び名は、ジェームズ・クリアさんが著書『Atomic Habits』で紹介しているものです。動画では、この呼び名は使わずに「既存の習慣の上に新しい習慣を載せる」「既存と新習慣をくっつけて考える」と話しています。ポイントは、新しい習慣は既存の習慣をトリガーにするというところです。
動画では、2分46秒からの「トリガーをセットする」の章でこの話をしています。
この記事は動画『【1日で変わる】やるべきことが自動で続く「成長システム」の作り方』(3.6万回再生・2026年10月1日時点)をもとに構成しています。全編は21分です。
習慣の手前には、
行動を起こすトリガーがある
トリガーは日本語でいう引き金です。習慣には、その行動の前にトリガーとなるものがあります。
たとえばSNSを見すぎてしまう人は、全然関係ないアプリの通知がトリガーになって、そこからネットサーフィンが始まります。勉強や仕事で行き詰まって不安になり、その不安の感情がトリガーになって、つい携帯に手が伸びる人もいます。
別の動画でも話しましたが、僕らの行動は、何かをきっかけとして引き起こされることがすごく多いんです。スマホを見てしまうのも、家に帰ってソファーに座ったとき、ベッドに入ったとき、朝起きたとき、通勤電車に乗ったとき、仕事が行き詰まったとき、通知が鳴ったとき。たいてい何かきっかけがあります。
トリガーが分かれば、あとはそれを良い習慣にも応用するだけです。たとえば英語学習を習慣にしたいなら、〇〇というトリガーが来たら英語学習をする、と決めればいいんです。
ハビットスタッキングのやり方は、
いつ・どこで・何を・どれぐらいやるかを決めること
ハビットスタッキングのやり方は、新しい習慣をいつ・どこで・何を・どれぐらいやるのかまで決めて、すでに習慣になっている行動の後ろにくっつけることです。手順は3つです。
- 新しい習慣を、いつ・どこで・何を・どれぐらいやるかまで決める。「英単語帳を開いて20分、目標は50単語」くらいまで具体的にします。
- すでに習慣になっている行動を探す。朝、通勤のために外に出る。歯を磨く。お風呂に入る。オフィスに着く。考えなくても毎日やっていることが候補です。
- 「〇〇したら、△△する」の形でつなぐ。既存の習慣が終わった直後に、新しい習慣が来るようにします。
ポイントは、時間や場所を明確にした上で既存習慣を活用することです。朝、通勤のために外に出ることがすでに習慣になっているなら、これを活用しないのはもったいない。外に出たら英語のリスニングをする、電車に乗ったら英単語帳アプリを開く、という具合です。
動画で挙げた例を表にしました。
| きっかけ(既存の習慣・時間・場所) | くっつける習慣 | どれぐらい |
|---|---|---|
| 朝7時半、通勤の電車に乗ったら | 英単語帳を開いて、そのまま勉強する | 20分。目標は50単語 |
| 30分の集中作業が終わったら | その場で瞑想する | 5分間 |
| 朝起きたら | まずその場でベッドメイキングする | ― |
| 朝、歯を磨いたら | そのまま英単語の学習をする | ― |
| お風呂に入ったら | 携帯で単語を進める | 20個 |
| オフィスに着いたら | 同僚に笑顔で挨拶する | ― |
こうすると、さっきのトリガーが自動で起動するようになります。トリガーになっているのは既存の習慣で、これもすでに自動でできる習慣化した行為です。だから、その後の行動をやるのは全然難しくなさそうですよね。
既存の習慣に紐付けるやり方は、三日坊主を直す仕掛けの1つとして三日坊主を直す7つの方法でも書きました。
ハビットスタッキングは、
連鎖のように後ろへつなげていける
ハビットスタッキングは、1つくっつけたら、その後ろにもう1つつなげられます。朝、歯を磨いたらそのまま英単語の学習をして、英単語の学習が終わったらその場で5分間瞑想する。こんなふうに、どんどん後ろに繋げていくこともできます。次々と連鎖のように新しい習慣が身につけられそうなイメージが湧くと思います。
別の動画では、こうも話しました。習慣は鎖のように繋がっているので、AしたらBする、BしたらCする、CしたらDする、と1つ1つ直列でつなげていくことが大事です。1つ前の行動がすでに習慣化しているとか、絶対にやることであれば、その後ろも行う確率がすごく高くなります。
ただ、1回で欲張って全部やろうとしたら大体失敗するので、それはやらないでください。
朝の例。
ベッドメイキングから朝ごはんまでの30分
2022年に公開した僕のVlogでは、朝のルーティンをベッドメイキングから始めています。火曜日の朝を画面に出ている時計と並べると、こうなります。
| 画面の時計 | やっていること |
|---|---|
| 8:10 | ベッドメイキング |
| 8:15 | 朝のストレッチ |
| 8:25 | HIIT(ジャンピングバーピーを8セット) |
| 8:30 | 瞑想 |
| 8:40 | 朝ごはん |
この日は「ストレッチをしたら、HIITです」「それが終わったら」と、1つ終わったら次に入る言い方で話しています。瞑想で心を整えてから、朝ごはんに入る順番です。先頭のベッドメイキングは、さっきの表にある「朝起きたらまずその場でベッドメイキングする」と同じ形です。
いつもと違う日の例。
出張先のホテルに着いたら
出張は移動があったり、いつもと違う働き方をしたりするので、疲れがたまりやすいと思います。2025年に公開した出張のVlogでも、まだその日の仕事が残っているのに、どうしてもスマホをいじりたくなったり、ベッドにダイブしたくなったりしやすい、と話しています。
そこで僕がやって良かったのは、ホテルに着いたら即鞄を置いて瞑想して、その後に仕事をするという、自分の中で1つ切り替えとなるルーティンを持つことです。この日も「まず今日は瞑想から始めていこう」と話しています。
瞑想でなくても、何でも構いません。ホテルに着いたらこれをやって、これをやって、これをやる、と事前に順番で決めておいて、その順番通りに行動するイメージをしておく。それをルーティン化するのも、結構いいんじゃないかなと思います。
if thenプランニングと同じ形で、
自分の環境を設計する
if thenプランニングは、「もし〇〇したら、△△する」と先に決めておく計画の立て方です。ハビットスタッキングの「〇〇したら、△△する」も同じ形です。動画では、この形は「イフゼンルールとかと一緒」だと話しました。
知っている方も多いと思います。でも、それを環境にしっかり落とし込めてるかと言われたら、多くの方はノーだと思います。知っているだけで終わらせず、このタイミングで設計してみてください。
「状況xになったら、行動yをする」と前もって決めておく計画は、心理学では実行意図(implementation intentions)と呼ばれています。目標に向かう行動の「いつ・どこで・どうやって」を決めておく計画で、目標の達成を後押しするという研究があります(Gollwitzer, 1999)。
1回あたりの量よりも、
頻度を大事にする
設計のときのワンポイントとして、頻度もめちゃくちゃ大事です。習慣化がうまい人は、1回あたりの量よりも頻度を大事にしています。
| 1回あたり | 回数 | 1週間の合計 | |
|---|---|---|---|
| Aさん | 1時間 | 週2回 | 2時間 |
| Bさん | 30分 | 週4回 | 2時間 |
どちらも週に2時間の筋トレです。それでも、一般的に見て習慣化しやすいのはBさんのほうです。習慣化においては、1回あたりの量よりも頻度のほうが非常に重要だからです。
よくある質問
悪い習慣をやめたいときは、どうすればいいですか。
トリガーを見つけて、その後ろの行動を別の行動に置き換えます。やめ方は悪習慣をやめる方法の記事にまとめました。
つないだ習慣は、どうすれば考えなくてもできるようになりますか。
繰り返すことです。別の動画では、既存の習慣の中でも必ず行われるものが実行されたら半自動的に次の行動が引き起こされて、繰り返せば繰り返すほど、もう自動的に体が動くようになっていく、と話しています。
まとめ
ハビットスタッキングは、既存の習慣の上に新しい習慣を載せるやり方です。動画の後半のまとめでは、「トリガーには既存の習慣を使うっていうのが鍵」と話しています。
- 習慣の手前にはトリガーがある。それを良い習慣にも応用する
- 新しい習慣は、いつ・どこで・何を・どれぐらいやるかまで決める
- 「〇〇したら、△△する」の形で、既存の習慣の直後につなぐ
- 連鎖のように後ろへつなげられる。ただし1回で欲張らない
- 1回あたりの量よりも頻度を大事にする
まずは毎日もうやっている行動を1つ選んで、その後ろに新しい習慣を1つだけくっつけてみてください。くっつける習慣の候補は、人生が変わる習慣20選にまとめています。
成長システムのトリガー以外の4つ、始めやすくする・記録・アカウンタビリティ・報酬は、習慣化のコツをまとめた記事にも書きました。動画では6分6秒から話しています。
出典
- Gollwitzer, P. M. (1999). Implementation intentions: Strong effects of simple plans. American Psychologist, 54(7), 493–503. https://doi.org/10.1037/0003-066X.54.7.493