デジタルデトックスとは。
なぜ携帯を捨てて山にこもったのか
デジタルデトックスとは、スマートフォンやパソコンから意識的に離れる時間を作ることをいいます。通知を切る、寝る前だけ触らない、休日だけ手放すなど、幅はいろいろあります。僕がやったのは、そのなかでも思い切り振り切ったほうで、1週間まるごと携帯の電源を切って、長野県の山の中で暮らしました。
1年ほど生産性の動画を出してきて、たどり着いた結論がありました。携帯捨てるのが1番なんじゃね、という身も蓋もない結論です。
チャンネルが伸びていた時期でもありました。5か月前は6000人ちょっとだったと思います。撮影したころには8万人になっていました。発信する側も依存するようにできていて、アナリティクスの画面は人を興奮させるように作られています。毎日のように1000人くらい登録者が増えたら、頭の中がぶっ壊れるだろうな、というのは簡単に想像がつくと思います。
そんな中で頭の中が引っ張られていくのは、自分でも分かりました。昔の人はこんなに多くの人と接していません。明らかに自然な状態ではないな、と思ったのが出発点です。
SNSをやめるだけなら、もっと軽い話で済みます。ただ、携帯はどうしても仕事と結びついています。皆さんも連絡や調べものに普通に使うはずです。だからスマホ依存は根が深くて、こんなにいじってはいけないと分かっていても、やめたくてもやめられない。面白い動画があるからというより、日常生活にこれでもかというくらい密着しているせいです。
スマホは現代のドラッグだと思っています。環境から変えないと自己管理ってなかなか難しいので、1回まるごと手放したらどうなるのかを確かめにいきました。
この記事は動画『退職後3ヶ月の23歳が"山で携帯なし"の生活をしてみた7日間【デジタルデトックス】』(1.8万回再生・2026年9月22日時点)をもとに構成しています。全編は30分です。
スマホがないと、
まず何に困ったか
出発の前に、携帯を置いていくために電源を切りました。困りごとは、そこから始まります。
いちばん困ったのは乗り換えでした。何時にどの路線の何番線に立てばいいのかが分からないので、出発前にノートへ手で書き写しました。移動中も、その紙を見ながら乗り継ぎます。調べられないというだけで、移動はめっちゃ不便になります。
耳も暇でした。いつもなら携帯をつないで集中できる音を流しながら本を読むのに、その日はノイズキャンセリングだけがかかっている無音です。結果として、移動の5時間弱で本が1冊読めてしまいました。
宿の人との待ち合わせも、事前に一手だけ打っておきました。改札を出たところで待っていること、そして髭が生えている人が迎えに来ること。連絡が取れない前提なら、目印を先に決めておくのがいちばん早いと思います。
| 困ったこと | やったこと |
|---|---|
| 乗り換えが調べられない | 出発前にノートへ手書きで写す |
| 移動中に音が聴けない | 本を持っていく |
| 現地で連絡が取れない | 待ち合わせ場所と目印を先に決めておく |
手放して8時間ほど経ったころ、スマホなくて大丈夫なのかな、という感覚が出てきました。何か困ったわけではありません。ポケットに入っていないこと自体が落ち着かないだけです。
せっかくなので、生活習慣のほうも極めようと決めて入りました。22時に寝て8時間ほど眠る。朝は散歩と水シャワーとジャーナリング。瞑想は普段からやっていますが、時間を増やして毎日最低30分、日によっては1時間にする。そういう組み立てです。
山の中で考えていたこと。
脳と環境のズレ
滞在中、コワーキングスペースの前で野生の猿に出くわしました。自然の中に身を置くと、都会とは明らかに違います。原始時代にタイムスリップしたような感覚になるんです。どこかに動物がいるのではないかと周りを探して、襲われるかもしれないという不安が少し出てくる。
そういう場所で、1万年前の人は暮らしていたわけです。そして1万年前の人の脳と、いまの僕らの脳みそって、なんか大して変わってないんですよね。構造はほとんど同じなのに、環境だけがこの数十年で別物になりました。
脳と環境のあいだにギャップ、というかミスマッチが生じている。よくそう言われることがあるのですが、それがいちばん本質だなと最近すごく感じています。やる気が出ないとか、集中力が上がらないとか、ストレスがたまるとか。人間の脳の作りから考えたら、当たり前じゃないかと思うわけです。
もう1つ、山に登った日に考えたことがあります。日曜日に入笠山へ向かいました。車がないので、本来なら車で20分の登山口まで、歩いて1時間かけて歩きます。
最初にペースを飛ばしすぎて、途中で座り込みました。スタート地点が一向に見えてこないので、この道で合っているのかも分からない。携帯がないので調べられず、山の中で1人、軽く絶望していました。
そのあと「入笠湿原まで60分」の道標が出てきて、あ、いいね、と声が出ました。いま自分がどこまで来ていて、あとどれくらいなのか。示してくれないと、人の気力はもたないのだと思います。 何事でも、ゴールまであとどれくらいかを先に持っておかないと、1回休もうかとなってしまう。あとこれくらいだと分かっていれば、同じ体力でも進めます。目標までの道のりを引くやり方は、三日坊主で終わる人の続け方に詳しく書きました。
デジタルデトックスの効果。
4日目の夜に出た結論
4日目の夜です。撮影のコメントをするのも忘れるくらいでした。そこで出た結論を先に書きます。スマホは全然なくても大丈夫です。
正確に言うと、完全なデトックスにはなりませんでした。仕事の連絡だけはパソコンで返していたからです。ただ、そういうのを差し引くと、スマホって本当になくていいですね。ちょっと極論かもしれませんが。
最初に違和感があったのは、隙間時間が空いたままになることでした。僕は電車の中、筋トレの休憩中、手続きの待ち時間に、携帯で仕事や勉強をするのが習慣になっていました。それが3日も4日もできない。はじめのうちは、この時間もったいないな、いまインプットできたじゃん、と思っていました。
冷静になって思うのは逆のほうです。空き時間や暇を持て余す時間って、めっちゃ大事でした。スマホは手軽に何でもできてしまう分、起きている時間ずっと仕事のことを考えることになる。いま自分がやっている活動から離れられなくなる、というデメリットがあると思っています。
あくまで僕の体験としてですが、離れる時間があると、オンとオフがいつも以上に明確になりました。戻ったときに、目の前のことへの活動への没頭が上がる。スマホから離れにくいのは、手軽なことと、生活に入り込んでいることが原因です。そこを取り除けたのが、この7日間でいちばん大きかったところです。
意図的に何もしない時間を作るやり方は、ドーパミンデトックスのやり方のほうに手順の形でまとめています。
東京に戻って、
最初に気づいたこと
翌日、秋葉原に出ました。山から都会に戻って最初に感じたのは、色がめっちゃ多いということです。
見渡すと、赤、黄色、オレンジ、蛍光色が目に飛び込んできます。店の看板や広告です。山の中は基本的に緑と茶色しかありませんでした。1回離れてみないと、普段は考えもしません。
携帯もまったく同じでした。画面を白黒にするグレースケールというやり方があります。以前は小手先だと思っていたのですが、実は本質かもしれない、と考えを改めました。白黒とカラフルでは、同じものでも魅力がまるで変わります。1回騙されたと思って試してみてください。
もう1つは通知です。久しぶりに携帯を手にして、集中の邪魔としてはこちらが厄介だと分かりました。自動的にいじるようになると止まらなくなります。通知で持っていかれる時間の話は集中できる場所の作り方にまとめました。
デジタルデトックスのやり方。
7日間で学んだ5つのこと
7日間の山ごもりで学んだことをまとめると、5つになりました。共通しているのは、通知が来たから見るのではなく、能動的に自分が見ると決めたときに、目的を持って触るという一点です。
| 学んだこと | いちばん小さく始めるなら | |
|---|---|---|
| 1 | スマホをオフにする時間を作る。作業中は手元に置かない | 作業する部屋から出す |
| 2 | 連絡を返す時間を1日3回から5回に決める | 朝と昼と夕方の3回から始める |
| 3 | 人と話すときは手元に置かない | 食事のあいだだけ鞄にしまう |
| 4 | SNSは消す。無理ならパソコンで見る | 1つだけアプリを消す |
| 5 | 寝る前は触らない | 寝る30分前に充電器へ置く |
1つ目は、スマホをオフにする時間を絶対に作ったほうがいいということです。パソコンでできる仕事は全部パソコンに移して、作業中は携帯を手元に置かない。手元にあるだけで集中力は落ちます。
2つ目は、連絡を返す時間を決めることです。すぐ返さないといけないものは例外として、それ以外は1日3回か5回にまとめたほうが、生産性は上がると思います。
3つ目は、人と話すときに手元へ置かないことです。7日間で出会った方、特に宿の方との会話には100%集中できました。携帯が手元にあると、頭のどこかで無意識に意識してしまっているのだと思います。友達と食事をするときも同じでした。
4つ目は、SNSです。消せる人は消してしまう。難しければ、パソコンからだけ見るようにする。それも1つありなんじゃないかと思います。
5つ目は、寝る前です。7日間で確信したのは、夜に寝る前に携帯をいじらないことは、やっぱり大事だということでした。僕の場合は光よりも、思考がオフになるかどうかのほうが大きいです。仕事のことを考えたまま布団に入ると、頭が覚醒したままになります。寝る前30分から1時間、できる人は2時間あけると、睡眠の質もかなり改善してくるんじゃないかと思います。夜の時間の作り方は夜のルーティンにまとめました。
デジタルデトックスの注意点。
全部を断つのが目的ではない
連絡が遅れて困る立場の方は、手放す時間を先に周りへ伝えてから始めてください。僕も今回、仕事の連絡だけはパソコンで返しています。全部を断つのが目的ではなくて、触る理由を減らすのが目的です。
もう1つ、手放した時間を別の忙しさで埋めないほうがいいと思います。この7日間でいちばん大きかったのは、予定のない時間のほうでした。
よくある質問
仕事の連絡があるので、丸ごと手放すのは無理です。
仕事のアカウントを携帯からログアウトしておくのがおすすめです。ブラウザからも入れないようにしておくと、見ようとするたびにパスワードが要るので、そこで一拍おけます。
グレースケールにすると、写真や地図が見づらくなりませんか。
見づらくなります。色が要るときだけ戻す設定にしておくと、戻す手間が一拍になるので、それ自体がブレーキになります。iPhoneならショートカットに割り当てておけます。
家族と同居していて、連絡が取れないと困ります。
何時から何時まで携帯を見ないか、急ぎのときはどうやって呼ぶか。この2つを先に決めておいてください。決まっていないまま始めると、相手のほうが落ち着かなくなります。
旅行に行かないと、意味がありませんか。
そんなことはありません。僕が山に行ったのは、仕事で使う携帯まで含めて手放せる場所が必要だったからです。記事の後半に書いた5つは、全部いつもの生活の中でできます。
やめたあと、すぐ元に戻ってしまいました。
戻るのが普通だと思ってください。戻ったときは、触る時間を減らそうとするより、置き場所を1つ変えてみてください。作業机の上から鞄の中へ、寝室から玄関へ、というくらいの移動で構いません。
まとめ。
7日間のデジタルデトックスで分かったこと
7日間で学んだ5つを、もう一度並べます。
- スマホをオフにする時間を作る。作業中は手元に置かない
- 連絡を見るのは1日3回か5回にまとめる
- 人と話すときは手元に置かない
- SNSは消す。無理ならパソコンからだけ見る
- 寝る前30分から1時間は触らない
1つだけ選ぶなら、1つ目です。作業する部屋から携帯を出すところから始めてください。
そのうえで、7日間やってみていちばんはっきりしたことを書きます。人の脳はスマホに適応していません。ただ、スマホを使うのが当たり前になった社会のほうは、もう変えられない。変えられるのは僕らの態度だけです。
スマホと適切な距離を取って、人間らしい生活を取り戻す。それによって、いままで失っていた時間を自分が価値を感じることに使えるようになる。このチャンネルで生産性と呼んでいるのは、そういう意味です。この記事は7日間で残ったものだけを書いています。乗り換えをノートに書いている場面も、山の中で絶望している場面も、動画のほうに全部映っています。