習慣・自己管理

誘惑に負ける自分を消そうとしない。僕が変えた1つのこと

2026年10月5日更新 約10分で読めます 文・福井龍介(Ryu)/POTEX株式会社 代表取締役

「誘惑は消さない 僕が変えた1つのこと」の文字。食べ物を手に笑うRyu
やると決めたことがやりきれない。次こそはと決意するのに、毎回そこで崩れる。そんな方に向けて書きました。僕は長いあいだ、自分の中の弱い欲求を消そうとしていました。やめた理由と、代わりにやっていることを書いています。この記事は、僕の動画『【20分だけください】誘惑に負けてしまう人へ。たった1つの解決策』(3.0万回再生)を記事にしたものです。

誘惑に負けるのは、
意志が弱いからではない

やるべきことをやりきれない。目標があるのに、関係ないことに時間を使ってしまう。SNSをだらだら見て、気づいたら時間が溶けている。思っている以上にゲームをやってしまう。ダイエットしたいのに、カロリー爆弾に手が伸びる。こうなりたいという思いがあるのに、まあいいかと言って誘惑に負けちゃう。

元になった動画を撮った日も、目の前にハンバーガーとポテトがありました。僕の脳をバグらせるような匂いを放ってきます。

僕は自己管理オタクと本の帯に書かれるくらい、変態的なルーティンを発信しています。チャンネルは登録者16万人、総視聴は1,313万回になりました。その中で、結局いちばん大事なテーマが欲求のコントロールです。

こういうとき、よく言われる言葉があります。自分を律しろ。我慢しろ。誘惑に負けるな。意志を強く持て。1回は聞いたことがあるはずですし、自分に言い聞かせたこともあると思います。

そこで質問があります。我慢して自分を変えようとした結果、うまくいった人はいますか。完全に意志の力で誘惑を断ち切れた人は、いないんじゃないかと僕は思っています。

僕らは欲求のコントロールが、どこまで行っても苦手です。だから誘惑や欲求に対する捉え方を、根本から180°変えないと治りません。

結論を先に書きます。あのハンバーガーは、正直めっちゃ食べたかったです。それでも食べたい気持ちは持ったまま、行動としては食べないほうを選びました。僕が変えた1つは、これだけです。気持ちを消そうとするのをやめて、行動のほうだけを選ぶ。このあとに出てくる実況中継も環境づくりも、全部その補助です。

昼の公園で、ハンバーガーとポテトを画面の手前に掲げて笑っている場面
図1. 食べたい気持ちは持ったまま、今日は食べないほうを選ぶと話している場面(動画『誘惑に負けてしまう人へ。たった1つの解決策』より)

この記事は動画『【20分だけください】誘惑に負けてしまう人へ。たった1つの解決策』(3.0万回再生・2026年9月22日時点)をもとに構成しています。全編は20分です。

原因は、僕らが生きている世界が
豊かすぎること

多くの人は、自分は意志力が弱いからだと言います。違います。原因は自分の側だけではありません。

いちばん大きいのは、僕らが生きている世界が豊かすぎることです。スマホを開けば、面白すぎる動画と、本能を刺激してくるショート動画が流れてきます。コンビニに行けば、美味しすぎるスイーツもジャンクフードもいくらでも手に入ります。お酒も、ギャンブルも、手軽に届きます。

本能にぶっ刺さるものほどビジネスとして伸びるので、世の中がそうなっていくのは当たり前です。欲望のままに生きていいですよ、と環境の側から許されている状態です。

ただ、人類の歴史から見れば当たり前のことではありません。僕らの先祖は狩をして生きていました。毎日が生きるか死ぬかで、野生動物と同じように暮らしていた時間のほうが、圧倒的に長い。その遺伝子を引き継いだまま、環境だけが変わりました。

昔の環境いまの環境
食べもの手に入るときに食べておく必要があったいつでも手に入る
情報身の回りの人から入るだけ開けば無限に流れてくる
快楽数が限られている選びきれないほどある
受け継いだ体狩をしていたころから、そう変わっていない

つまり理性と本能の戦いで、本能のほうが強すぎるがゆえに起きている問題だと思うんですよ。やると決めたことをやりきれず、変えたいのに変われない。自分の出来が悪いという話ではないはずです。

場面を挙げると、たぶん心当たりがあると思います。大事なことがあるのにショート動画を一気見する。ちゃんと寝ないといけないと分かっているのにNetflixを一気見して夜更かしする。目標があるのに、疲れたな、今日はいいや、と思ってサボる。ダイエット中にアイスが食べたくなってコンビニに寄る。受験中に勉強をサボってゲームをする。健康診断に引っかかってお酒をやめないといけないのに、やめられない。

やってはいけないのは、
欲求を消そうとすること

ここで僕らが必ずと言っていいほどやってしまって、けれど本当はやってはいけないことがあります。スマホを見たい、ゲームをしたい、お酒を飲みたい、お菓子を食べたい。そういう気持ちを、頭の中から消そうとすることです。

消した欲求は、我慢した分だけ大きくなって戻ってくる

僕は、そこにものすごくエネルギーを使ってきました。公認会計士試験は、1日10時間くらい勉強しないと1年では受かりません。最初に挑戦したとき、僕は3時間しかできませんでした。

小学校と中学校で野球をやっていたころも同じです。早起きして体力作りのために走る、と自分でルールを決めても続きません。すぐに甘えた自分が出てきて、やると決めたことをやりきれない。人に見えないところでサボってしまう自分が、本当に嫌でした。

そのたびに、次こそは変わると思って計画を立て直します。ルールも作り直します。それでも毎回崩れました。崩れるたびに自己嫌悪と罪悪感が残って、自分は意志が弱いのだという感覚だけが積み上がっていきます。

そこで僕がやったのが、欲求を全部敵にすることでした。サボりたい、楽したい、スマホを見たい。そういう気持ちは自分の中にあってはいけないものだから、消さなければいけないと思っていました。

結果どうなったか。最初は消せます。隠せます。でも時間の問題でした。1週間、2週間、3週間と続いて、1か月経つころには必ず戻ってきます。しかも我慢した分だけ、大きくなって帰ってきます。

ゲームをしたい自分も、本当の自分

あのころ僕がやっていたのは、自分の中にいる自分を認めずに、偽物の自分だと決めつけることでした。勉強したい自分が本物で、ゲームをしたい自分はあってはならないフェイク。目標を達成したい自分が本物で、サボりたい自分は偽物。

冷静に考えると、おかしな話です。痩せたいと思う自分も、甘いものをたくさん食べたいと思う自分も、どっちも本当の自分です。健康に生きたいと思う自分と、お酒をたくさん飲みたいと思う自分も同じです。

そもそも欲求に、いいも悪いも本来ありません。いま食べたら太るから悪い欲求だとされているだけで、昔なら目の前のカロリーは摂っておくべきものでした。環境が変わって分類が変わっただけです。

欲求を悪者扱いするのをやめて、
不完全な自分を受け入れる

その1つを、動画の言い方で書くとこうなります。欲求から生まれる行動をコントロールする唯一の方法は、こんな欲求を持ってはいけないと悪者扱いするのを、今後一切やめることです。

「今後一切やめること」という字幕が出ている、夜の公園で正面を向いて話している場面
図2. こんな欲求を持ってはいけないと悪者扱いするのを、今後一切やめると話している場面(動画『誘惑に負けてしまう人へ。たった1つの解決策』より)

理想の自分と、本能的な自分。両方が自分の中にいていい。その矛盾を許してあげられるだけの心の器を持つこと。言い方を変えると、汚い自分もうまくいかない自分も自分だと認めて、不完全な自分を受け入れることです。

そんなことで何が変わるのか、どこかで聞いた自己啓発だ、と思われるかもしれません。それでも、僕はこのことに気づいて、自分の弱さや未熟さや不誠実さを受け入れるようになってから、少しずつ変わってきました。1日3時間しかできなかった勉強が、1日10時間の日を積めるようになったのがいちばん分かりやすい例です。

1つ謝らせてください。僕はこれまで、マインドセットの話をあまり出してきませんでした。それでも、悪い欲求を持ってはいけない、と受け取れるような発信をしてしまっていたと思います。自分の未熟さでした。

受け入れたあとに、自分へ問いかける

浮かんでくる思考は、どんなものでも自由です。否定せずに、そうなんだね、そういう思考を自分は持っているんだ、と受け止める。嘘偽りのない本当の心の声なんだね、と分かってあげるだけです。

そうすると、不思議と楽になります。すっと肩の荷が降りて、この気持ちは別に持っていていいんだ、と思えるようになります。

そのうえで、自分に問いかけます。

順番やること言葉にすると
1欲求に気づくスマホを見たいと思っているんだな
2持っていていいと認めるそう思うのは、別に悪いことじゃない
3自分に問いかける結局、自分はどっちの選択をしたいんだっけ
4行動を選ぶ今日は、こっちを選ぶ
欲求に気づき、持っていていいと認め、自分に問いかけて行動を選ぶ4段階

一瞬の快楽のあとに長く続く自己嫌悪と一緒に生きるのか。それとも、一瞬の欲望は得られないけれど、長く続く誇りや自信と一緒に生きるのか。選択権は、常に自分の中にあります。

問いかけた結果、いまは目の前の快楽を取るほうが自分の人生にとっていい、と思うなら、それもいい選択です。どちらがいい悪いという話ではなく、自分がどう生きたいかという話だからです。目標のために払う代償のほうを受け入れる話は、モチベーションが続かない人へに書きました。

感情は天邪鬼なので、いていいよと言うと小さくなる

感情は天邪鬼です。著書にも書きましたが、イライラや緊張や不安は、いなくなれと戦ったり目を背けたりするほど、大きくなって帰ってきます。

逆に、いま自分は不安に思っているんだな、ジャンクフードを食べたいと思っているんだな、と認識して、一歩俯瞰した視点から見てあげる。戦うのも逃げるのもやめて、ここにいていいよと言ってあげると、感情は小さくなっていきます。

分かりやすい例があります。いまからバナナのことを考えないでください。絶対に考えないでください。そう言われると、バナナのことを考えてしまうはずです。

欲求と行動は別もの。
責任があるのは行動のほうだけ

大事なところなので、言い方を変えてもう一度書きます。欲求と行動って別ものです。どんな欲求や感情や思考を持っていたとしても、最終的にどういう行動をするか、そこの責任は全部自分にあります。

こういう欲求があるから行動できない、と欲求のせいにしてしまうと、そこはコントロールできません。絶対に湧き上がってくるものに責任を預けている限り、一生変わりません。

けれど、どんな欲求があっても行動はできます。勉強したくないなと思っていても、手と足は動きます。試しに5分だけ始めてみてください。始めることはできます。もちろん100%は無理です。毎回はできません。それでも、責任の所在を欲求のせいにしているうちは変わらない、というのが僕の結論です。小さく始めるやり方はやる気が出ない人へにまとめました。

食べたい気持ちは持ったまま、行動としては食べないほうを選ぶという欲求と行動の違い

誤解のないように書いておくと、欲求が湧いてこない環境を作ることや、悪習慣を断つテクニックは、めっちゃ大事です。僕が普段の動画で話しているのも、ほとんどそちらです。その上にもう1枚、この記事の話を重ねてください。

環境づくりのほうは、別の記事にまとめてあります。我慢するのではなく別の行動に置き換えるやり方と、崩れる場面を先に想定しておくやり方は悪習慣をやめる方法に、勉強する場所の選び方は避ける5つの場所を決めるに書きました。どちらが先かという話ではなくて、両方いります。

負けた日も、同じように受け止める

ここまでの話は、負けた日にもそのまま当てはまります。100%は無理です。毎回はできません。そのうえで、負けた自分を偽物扱いして消そうとすると、僕の場合はまた同じところで崩れていきました。

負けたという事実だけを受け止めて、次の行動をもう一度選び直す。手と足は動きますから、試しに5分だけ始めてみてください。

やり方を1つだけ挙げるなら、欲求の実況中継です

考え方の話だけだと使いにくいと思うので、手を動かす形にしておきます。欲求を感じたら、私はいま○○だと思っている、という公式に当てはめて、欲求の実況中継をしてください。これは1つ目の補助で、本体ではありません。

「それがまず自分の欲求を客観視して受け入れる練習になります」という字幕が出ている場面
図3. 欲求の実況中継が、自分の欲求を客観視して受け入れる練習になると話している場面(動画『誘惑に負けてしまう人へ。たった1つの解決策』より)

私はいま、ショート動画を見たいと思っている。私はいま、明日でいいやと思っている。それだけです。自分の欲求を客観視して、受け入れる練習になります。

ただ、公式を真似するだけでは変わらないと思っています。本質は、不完全な自分を受け入れることのほうです。

よくある質問

受け入れるのと、開き直るのは何が違いますか。

受け入れるのは気持ちのほうだけで、行動まで許可する話ではありません。開き直りは、気持ちを認めたところで止まってしまう状態です。認めたあとに何をするかで分かれます。

受け入れる感覚が、どうしてもつかめません。

感覚を待つより、書くほうが早いと思います。1日の終わりに、その日に湧いた欲求を3つだけ紙に書き出してください。評価も反省も書かず、思ったことだけを書きます。消そうとしなかった記録が残るだけでも、扱いが変わってきます。

人に話したほうがいいですか。

やめると宣言するのはおすすめしません。宣言した瞬間から、湧いてくる欲求が隠すべきものになるからです。伝えるなら、やめることではなく、やることのほうを伝えてください。

実況中継は、声に出すのですか。

どちらでも構いません。1人のときは声に出すほうがやりやすいと思いますし、人がいる場所なら頭の中で言うだけで足ります。場所で使い分けてください。

つらくて動けない日が続いています。

この記事は、日常の範囲で自分の欲求と付き合いたい方に向けて書いています。眠れない、食べられない、何をしても気力が戻らないという状態が続いているときは、考え方を変える前に専門の方に相談してください。ここに書いたことは、その代わりになるものではありません。

まとめ

この記事で言いたかったことを、最後に並べます。

  • 誘惑に負けるのは、自分の側だけの問題ではない。世界が豊かすぎることのほうが大きい
  • 欲求を消そうとすると、我慢した分だけ大きくなって戻ってくる
  • 理想に向かう自分も、そうでない自分も、どっちも本当の自分
  • 欲求と行動は別もの。責任があるのは行動のほうだけ

次に誘惑が来たら、順番はこうです。気づく、持っていていいと認める、どっちを選ぶか自分に聞く、行動を選ぶ。0か100かで考えるのをやめて、背伸びしない。本質は、不完全な自分を受け入れること。それだけです。

同じ話を、目標のために払う代償のほうから書いたのがモチベーションが続かない人へ、仕組みの側から書いたのが自己管理ができない人へです。20分の動画では、ハンバーガーを目の前に置いたまま話しています。

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