効率化から入ると、
忙しさは消えない
メールの捌き方を最適化する。ブラインドタッチやショートカットを覚える。AIツールを使う。ポモドーロやタイムボクシングで生産性を上げる。時間が足りないとき、僕らはまず効率化から手をつけます。
これらのテクニックはとても大事です。実際、僕も救われてきました。ただ、一度振り返ってみてください。それで問題の根本は、本当に解決しましたか。
いつまで経っても忙しいっていう感覚が消えない。常に時間は足りない。そういう状態が続いているなら、順番のほうが間違っている可能性があります。
先に書いておくと、僕は元々、時間管理が苦手でした。いまでも誘惑に負けたり、朝が弱かったり、詰め込みすぎてキャパオーバーになりそうになったりします。それでも、これから書く4つを順番どおりにやると、使える時間の量が変わりました。
時間とは僕らの人生そのものです。時間の使い方は命の使い方です。元の動画は『毎週+20時間を生み出した4ステップ時間管理法』で、そちらではもう少し詳しく話しています。
この記事は動画『【忙しさから解放】毎週+20時間を生み出した4ステップ時間管理法』をもとに構成しています。全編は20分です。
時間管理は順番で決まる。
4つのステップ
時間管理でやることは4つです。大事なのは中身より順番です。
| 順 | やること | ここで決めるもの |
|---|---|---|
| 1 | やらないことを決める | 何に時間を使わないか |
| 2 | 時間の無駄遣いを減らす | どこで時間が溶けているか |
| 3 | 生活習慣を整える | 1日のどこに何を置くか |
| 4 | やるべきことの効率を高める | 1つの作業をどう速くするか |
冒頭に挙げた効率化は、全部4つ目です。ステップ4に全振りしても意味がないというのが、この記事でいちばん言いたいことです。
やることを減らさないまま作業を速くすると、空いた時間に次の作業が入ります。結果、量は増えて忙しさは変わりません。だから1から順にやります。この記事では、土台になる1と2を詳しく書きます。
ステップ1. やらないことを決める
最初のステップでいちばん大事なのは、技術ではありません。断つ勇気と、やりたいことを捨てる不快感を受け入れることです。ここは時間がないのは、大事なものを捨てられていないからのほうで詳しく書いたので、この記事では捨て方ではなく、捨てたあとに何を残すかと、どこで時間が溶けているかを扱います。
全てをやりたいと願うのは自然な願望です。でも無理です。時間の枠は拡張できないし、生産性はどんなに頑張っても100倍にはなりません。この残酷な真実と向き合って初めて、僕らは時間管理のスタートラインに立てます。
スーパーの詰め放題で考えると分かりやすい
スーパーの詰め放題キャンペーンを想像してみてください。大きな袋を1つ渡されて、好きなだけ商品を詰められます。ただし袋のサイズは固定で、拡張できません。
このとき、たぶん最初にやるのは詰め方の工夫ではなく、袋に入れる商品を選ぶことですよね。売り場の商品を片っ端から全部入れようとするのは、どう考えても不合理です。
僕は子供のころ、チーズが大嫌いでした。6歳の僕に袋を渡したら、スタートラインに美味しそうなチーズがあっても絶対に入れません。どんなにみんなが欲しいと言っていても入れません。僕にとっては入れても無駄で、満足度が上がらないからです。
時間も同じです。袋に詰める商品、つまり仕事や趣味や家族といった時間のうち、何を入れるのかという感覚をまず持たないといけません。枠は決まっているので、全部を無限に積み込むことはできません。
詰め方の工夫に入るのは、そのあとです。ちなみに僕のおばあちゃんは詰め放題のエキスパートで、詰め方はレジェンド級なのですが、そのおばあちゃんも、まず無意識にどの商品を入れるかを選んでいます。
成果を生んでいる2割を先に決める
何を捨てるかを決めるために、先に残すほうを決めます。使うのはパレートの法則という考え方です。重要な20パーセントが、成果の大部分である80パーセントを生み出しているという見方をします。
日々の活動の20パーセントが、成果や満足度の80パーセントを生んでいると考えて、その20パーセントが何かを書き出してみてください。これが自分の時間の黄金の2割です。
そのうえで、非効率な活動も特定します。時間の80パーセントを占めているのに、成果にはそれほど寄与していないもの。これを削るか、やめるかします。
僕の場合で言うと、動画を1本作るのにこだわれる箇所はたくさんあります。企画、台本、サムネイル、タイトル、編集、話し方。台本ひとつ取っても、もっといい言い回しがあるとか、例え話はこっちのほうがいいとか、無限ループに入りそうになります。
そんなときに自分へ投げる質問が1つあります。これって大事な2割かな、それともそれ以外の8割かな。答えが前者なら、とことんこだわります。後者なら見逃します。
この考え方は、公認会計士の受験生時代からずっと使ってきました。僕は周りの半分の時間で受かる必要があったので、重要な部分に絞って、勉強の仕方も根本的に変えました。その工夫の結果として、大学2年生で運よく受かることができました。TOEFLを2ヶ月で30点近く上げて海外の大学に留学が決まったときも同じです。
1つだけ断っておくと、もちろん完全に8対2になるとか、そんな話ではありません。あくまで目安として参考になるかな、というくらいの使い方です。
理想の1週間を、制約を外して書く
2つ目にやるのが、理想の1週間を書き出すことです。
生きていれば、いろんな制約があります。でも紙の上に書き出すのは自由じゃないですか。時間がある人は、1回制約を外して1から書いてみることをおすすめします。
いま持っている予定を動かす前提で考えると、たいてい今と同じものが出てきます。そうではなく、月曜の朝に何をしていたら理想なのかを、白紙から書きます。そこと現実の差が、そのまま1つ目の「やめるもの」の候補になります。
まとまった時間を取って書きたい方は、人生の棚卸しを月2時間のThink Dayでやるの手順をそのまま使えます。
自分がやらなくていいことを人に渡す
やらないことを決めるには、もう1つ方法があります。自分がやらなくてもいいことを人に任せることです。仕事でも日常でも、面倒なことや自分以外でもできるタスクがないか、他の人やツールで代替できないか、いつも以上にアンテナを張ってみてください。
僕はこのチャンネルを開設してから1年以上、運営を全部1人でやっていました。企画も台本はもちろん、編集もサムネイルも、全部自分で作っていました。
動画1本を作るのに、編集だけで10時間。凝ったときは20時間かかることもありました。ちなみに僕は動画編集は元々初心者です。やったことがないところから1年間やっていました。そこに企画とリサーチと台本制作を足すと、1週間のかなりの時間を取られる一大プロジェクトでした。
それだと回らなくなるときが来ました。人には代わってもらえない、自分が絶対にやらないといけないことにもっと時間を使うために、編集者さんを探して動画を編集してもらうことにしたのが前年の秋ごろです。これで僕の時間は本当に増えました。投資してよかったと思っています。
正直に書くと、元々は外注に否定的でした。自分のチャンネルの世界観は自分で作りたかったし、台本を書いているときに浮かぶ「ここはこう編集したい」という部分は渡せないだろうと思っていました。それでも渡したほうがよかったというのが、やってみた結論です。
| 渡すかどうかを決めるとき見たもの | そのときの中身 |
|---|---|
| 編集にかかっていた時間 | 1本10時間、多いときは20時間 |
| 自分にしかできないか | できるが、自分でなくてもいい |
| 渡したあとに残ったもの | 企画と台本に時間を寄せられるようになった |
ステップ2. 時間が溶けている場所を見つける
やることを絞ったら、次は知らず知らずのうちに時間を溶かしている、その事実と向き合うことです。
どんなにやるべきことを絞っても、思いもよらないところで時間を使われていたら意味がありません。だからステップ1の次に、これが来ます。
やり方は単純です。試しに1日、何に時間を使っているのかを10分単位で記録してみてください。自分が気づいていないところで時間を無駄にしている、もっと効率的に使えたのに、という箇所が出てきます。
面倒くさいと思います。でもこの面倒くさいところにこそ本質が詰まってると僕は思います。1日だけでも、かなりいろんなことが分かります。
もう1つ、見積もりのズレを測る方法があります。24時間から睡眠の8時間を引いた16時間でできそうなことを、リストアップしてみてください。それを1日全力でやろうとしても、おそらくできません。その半分の8時間から10時間くらいでできると思ったこと。それがギリギリ達成できるかできないか、というレベルです。
できなかったら、なぜそうなったのか、どこに原因があったのかを紙に書き出します。こうやって時間泥棒を特定して対処することが、時間管理では極めて重要です。
正当化していい時間と、そうでない時間
ここで誤解されたくないことがあります。溶かしている時間には、正当化していいものと、正当化してはいけないものがあります。
僕は、Netflixを見るとか、友達と朝まで飲むとか、そういう生産性オタクが嫌うような行動を一切否定したくありません。なぜなら僕がそういうのが大好きだからです。
友達とオールするって、こんなに楽しくて幸せなことはありません。翌日の生産性は落ちます。でもそれで絆が深まって、一生の思い出になって、後で笑い話になるなら、こんなに価値があることはないと思います。
では何が違うのか。判断基準は1つです。自分がこの時間を意図的に使えてるのかどうか。
| 同じ2時間でも | |
|---|---|
| 正当化していい | 今日はこれを見ると決めて、決めた時間で終える |
| 正当化できない | 気づいたら2時間経っていて、何を見ていたか思い出せない |
納得して、意図して使っているなら、それは削る対象ではありません。10分単位の記録を見返すときも、長さではなく、意図があったかどうかで仕分けてください。
ステップ3とステップ4は、
土台ができてから手をつける
残りの2つにも触れておきます。ただし、ここから先はステップ1と2が終わっていないと空回りします。
ステップ3は生活習慣を整えることです。いつ起きて、いつ集中して、いつ休むか。1日のどこに何を置くかが決まっていないと、せっかく空けた時間がまた埋まります。組み立て方は1日のスケジュールの立て方に書きました。
ステップ4が、冒頭に挙げた効率化です。1つの作業をどれだけ速く終えられるか。ここはフロー状態の入り方と、僕が実践する3つの条件のほうが詳しいです。
順番を守ってください。やることを減らさないまま速くしても、空いたところに次が入るだけです。
よくある質問
10分単位の記録を、3日でやめてしまいました。
3日でやめて大丈夫です。この記録は毎日続けるものではなく、どこで溶けているかを知るための測定です。1日分あれば十分に材料になります。むしろ、記録を続けること自体が新しいタスクになってしまうと本末転倒です。数ヶ月に1回、生活が変わったタイミングで測り直すくらいがちょうどいいと思います。
人に渡したくても、外注する余裕がありません。
お金を使わずに渡す先もあります。家族と分担する、社内で引き受けてもらう、ツールに任せる。この3つで消える作業は意外とあります。順番としては、まず時間のかかっている作業を洗い出して、そのうち自分でなくてもできるものに印をつけるところまでやってください。渡す先は、その後で探せます。
断ると、評価が下がらないでしょうか。
断り方より、断る前の情報の出し方だと思っています。いま抱えているものと、それぞれの締め切りを先に共有したうえで、どれを後ろに回すかを相手に選んでもらう。この形なら、断るのではなく順番を決める相談になります。全部引き受けて全部遅れるほうが、結果として評価は下がります。
ツールは何を使えばいいですか。
この記事の手順は、紙とカレンダーがあれば全部できます。ツールを入れるのはステップ4なので、1と2が終わってからで十分です。先にツールを入れると、ツールを整える作業そのものが新しいタスクになります。いま使っているカレンダーがあるなら、それで始めてください。
家庭や介護で、そもそも削れる時間がありません。
削れないものを無理に削る話ではありません。その場合、ステップ1でやることは「やめるものを探す」より「残す2割を決める」ほうです。動かせない時間を先に置いて、残りの中で何に使うかを決める。枠が小さいほど、2割を決めておく効果は大きくなります。
まとめ
時間管理は、効率化から入らないでください。
- 順番は、やめる、溶けている場所を見つける、生活を整える、速くする
- 残す2割を先に決める。大事な2割か、それ以外の8割かで仕分ける
- 1日だけ10分単位で記録する。面倒くさいところに本質がある
- 意図して使った時間は、削る対象ではない
やめることを決めるのがいちばん難しく、いちばん変わります。実際の判断の仕方は、動画のほうで例を挙げて話しています。