マーカーを引く、語呂合わせで覚える、テキストを要約する、何度も読み返す、自分に合った勉強法で勉強する。1つでも当てはまるなら、その努力は成果につながりにくいかもしれません。この記事は、YouTube『Ryuの自己管理室』で公開した動画(13.8万回再生)を読みものにしたものです。5つを順に見ていくと、正しい勉強法に共通する1つの法則が見えてきます。代わりにやることのいちばん具体的なやり方は、3つ目の要約と4つ目の読み返しの章に書きました。
やってはいけない勉強法5つと、
代わりにやること
結論から言うと、やってはいけない勉強法は次の5つです。どれも、誰もが一度はやったことのある勉強法です。そして、代わりにやることはほぼ1つにまとまります。
| やってはいけない勉強法 | 何が起きるか | 代わりにやること |
|---|---|---|
| 1. マーカーを使う | 引いただけで脳が満足してしまう | 見やすさを保つ程度まで減らす |
| 2. 語呂合わせを使う | 覚えられても、周りの知識とつながらない | 試験を突破するための戦術としてだけ使う |
| 3. テキストを要約する | 見ながら作るまとめノートは、時間のわりに残りにくい | テキストを閉じて、自分の言葉で要約する |
| 4. テキストを何度も読み返す | 何回読んでも受け身のまま | 目次を見て中身を言ってから、答え合わせで読む |
| 5. 自分に合った学習法にこだわる | 合わせても成績は上がらなかったという研究がある | 想起と再言語化を全員の基本にする |
僕自身、勉強を始めたころは、とにかく結果を出したいと毎日思っていました。勉強法を独学で研究し始めたのは2019年、大学1年生のときです。大学2年生のときに公認会計士試験に合格し、その後、純ジャパから2ヶ月の勉強で交換留学生に選ばれました。
5つの出どころは、僕が受験生時代にバイブルにしていた本、メンタリストDaiGoさんの『超効率勉強法』です。この本が冒頭で全否定している7つの勉強法から、5つを選びました。
本の主張だけに頼らず、公開されている研究でも確かめておきます。10種類の学習法の効果を比べたレビュー論文があります。そこでは、マーカー(ハイライト)、要約、読み返し、語呂合わせに近い記憶術(キーワード法)が、どれも「有用性が低い」と評価されています(Dunlosky et al., 2013)。
同じ論文で「有用性が高い」とされたのは、自分でテストする練習と、間隔を空けた復習でした。
記事では5つを一覧にして、研究の原典を付けました。動画では、4つ目で紹介する独り言を、僕が実際に声に出してやっています。
この記事は動画『【9割が勘違い】"努力が無駄"になる5つの勉強法と"たった1つ"の対策』(13.8万回)をもとに構成しています。全編は20分です。
やってはいけない勉強法1。
マーカーを使う
マーカーやアンダーラインは、引いた時点で脳が満足してしまい、肝心の内容を覚える努力が抜け落ちます。本の言い方を借りると、ハイライトやアンダーラインはただの気休めにすぎない、ということです。
最初に読んだとき、僕はこう思いました。重要なところにマーカーがなかったら、どこが大事なのか分からなくなる。周りの優秀な友達もみんなやっている。でも読み進めたら、完全に論破されてしまいました。
分かりやすいのは写真の例です。僕も役に立つ動画を見ていて、ここはいいなと思うとスクリーンショットを撮ることがあります。大学の授業やセミナーで、大事だと思ったところをスマホで撮った経験がある方も多いと思います。記録しないと忘れるので、撮ること自体は大事です。
でも、思い出してみてください。撮った情報ほど、頭に残っていないことが多くないでしょうか。写真を撮った時点で、重要な情報を手に入れたと安心してしまうからです。逆に撮影が禁止されていたら、その場で必死に覚えようとしますよね。
マーカーでも同じことが起きていて、アンダーラインを引くことで、脳が勉強した気になってしまうのが落とし穴だと言われています。
もう1つの問題は、使える知識が身につきにくいと言われていることです。マーカーを引いた単語や文章には目が行きます。そのぶん、単語の背景にある知識や、他の論点とのつながりといった全体像を見失いやすくなります。本当に勉強ができる人は、いろいろな知識をつなげて全体像を理解している人です。
僕は、これを読んでフルボッコにされ、「分かりました、アンダーラインはやめます」となりました。とはいえ、右ストレートを顔面に思いっきり食らっても、マーカーを一切引かないのは不便じゃないか、と思いますよね。
そこで僕なりの折衷案は、アンダーラインの使用頻度を、今よりグッと下げることです。マーカーを使わずに勉強できればそれが理想ですが、いきなり全部やめるのはきついと思います。
大事なのは、引くか引かないかの2択で考えることではありません。引くとどんなデメリットが生じて、それにどう対処するかです。見やすさを失わない程度にだけ使い、無駄なマーカーは引かない。引いただけで満足しない。背景の知識まで押さえる。この意識を持って勉強してみてください。
やってはいけない勉強法2。
語呂合わせを使う
語呂合わせは記憶術として優れているだけで、勉強法として優れているわけではありません。覚えることはできます。むしろ忘れるのが難しいくらいで、僕はいまだに「水兵リーベ」を歌えます。
でも、それだけなんです。周期表の縦の列と横の列にはどういう意味があるのか、1族の元素にはどんな特徴があるのか。こう聞かれたら、語呂合わせでは太刀打ちできません。本では、周辺の知識は必ずセットで押さえる必要がある、と言われています。
これは資格試験で特に言えることだと思っています。たとえば弁護士や会計士の試験で、規制の内容を語呂合わせで覚えて短答式を突破した。でも、その後の論文式で詳しい理解を問われて、何も書けずに落ちた。こういうことにもなりかねません。難易度が高く、競争が激しい試験ほど、語呂合わせのような対処法では潰しがききません。
ただ、語呂合わせについては、僕はボコられませんでした。ここからは僕個人の意見なので、正しいかどうかは皆さん自身で判断してください。受験で語呂合わせが一切いらないかと言われたら、場合によってはありだと思っています。
試験勉強では、社会で使う知識だけでなく、試験を突破するためだけに覚えなければいけないことが実際にあります。そこまで全部理解しようとすると、細かすぎるところに時間を使ってしまう。限られた時間の中で試験を突破するという、最初に達成しなければいけないことが達成できなくなります。
だから、語呂合わせが本質ではないと理解したうえで、あくまでも試験を突破するための戦術として使いましょう。
やってはいけない勉強法3。
テキストを要約する
テキストを見ながら要約してまとめノートを作るのは、時間がかかるわりに、頭に残りづらい勉強法です。日本の教育を受けてきた人なら、まとめノートを作ったことがあると思います。重要な論点を自分でノートにまとめると、めちゃくちゃやった気になるんですよね。
中学生のころの僕も、いつも作っていました。できあがったノートを友達に誇らしげに見せたりして、それが正義だと思っていました。
本では、要約は一定の場合を除いてNGだと言い切っています。理由は、上手な要約は難易度が高すぎて、成功率が低いからです。情報の全体の流れを理解し、重要なところを拾い、短い情報に組み立て直す。これができる人は、そもそも最初から情報が正しく頭に入っている人です。
実際、まとめノートを作るのはめちゃくちゃ時間がかかります。正しく要約できたとしても、それが合っているかをチェックしてくれる人もいません。コスパや効率の面から見ると、確かに悪いのかもしれません。
ただ、本では、ある条件を満たせば、要約も効率的な勉強法になると言われています。僕はこれを実践して、成績が跳ね上がりました。その条件が、クイズ化と組み合わせることです。
要約は、何も見ずに自分の言葉でやる
クイズ化とは、要約にクイズやテストの要素を入れることです。まとめノートを作るなら、次の順番でやります。
- テキストの内容を一度確認する
- テキストを閉じて、頭に残っている情報を引っ張り出し、ノートに要約する
- テキストに戻って、自分の要約が合っているかを確かめる
何も見ずに自分の言葉で要約する。動画では、ここを一番おいしいところだと言って、2回くり返しました。
正しい勉強法に共通する1つの法則は、
想起と再言語化
正しい勉強法に共通する1つの法則は、受け身の勉強をやめて、想起と再言語化を入れることです。テキストをただ見る、見ながら要約するといった受け身の勉強は、頭に残りづらい。一方で、一度覚えた内容を思い出す、自分の言葉で言い直すといった能動的なアウトプット学習は、不思議なぐらい脳に定着する、と本では説明されています。
これはアクティブラーニングと呼ばれ、本が強く推している勉強法です。具体的には、思い出すこと(想起)と、自分の言葉で言い直すこと(再言語化)が何よりも大事だとされています。今日このあと勉強するときは、自分の勉強が受け身になっていないか、想起と再言語化の2つを組み込めているかを意識してみてください。
勉強法に関心がある人なら、アクティブラーニングなんて聞いたことがある、常識じゃないかと思ったかもしれません。でも、本当に普段の勉強に取り入れられているでしょうか。行動で体現できているでしょうか。残りの2つは、それを毎日の勉強にどう取り込むかの話です。
やってはいけない勉強法4。
テキストを何度も読み返す
テキストを何度も読み返すのは、受け身の勉強の代表です。テキストを繰り返し読めば成績が上がる、点数が上がらないのは反復が足りないからだ。これが、頑張っても成果が出ない人の典型的な考え方です。
もちろん、テキストの反復に効果がまったくないわけではありません。やる気が出ないからといってゲームに逃げるよりは、全然ましです。
ただ、時間がない、短い期間で成果を出したい、息抜きの時間もしっかり確保したい。そういう人が無駄な時間を減らして成果までまっすぐ向かうなら、何度も読み返すのは最高の勉強法とは呼べません。読み返すだけで終わらせず、自分なりにクイズの要素を取り入れてみてください。
目次だけ見て、
中身を独り言で言ってみる
僕がよくやっていた例を挙げます。まずテキストの目次を見ます。たとえば経営学の第1章が「ファイナンスの基礎」というタイトルなら、僕は家で独り言を始めます。
この章は、ファイナンスとは何かを解説する章だったな。企業のファイナンスには大きく3つのフェーズがあったな。1つ目は、投資家から資金を調達してくる。2つ目は、調達した資金を投資して運用する。3つ目は、運用から得た利益を投資家に分配する。各フェーズのポイントはこれとこれ。
ここまでを、まず自分だけでひたすらやってみる。そのあとに、答え合わせとしてテキストを見ます。最初は大変ですが、長い目で見るとめちゃくちゃ効率がいいです。
何よりテストで無双できます。特に応用問題が来たら、こっちのものです。基礎の理解と、重要な部分の長期記憶が定着していて、使える知識が身についているからです。
声に出して説明する練習には、前の晩に覚えた論点を朝に歩きながら口に出すやり方や、人形に向かって説明するやり方もあります。こちらは簿記ゼロから会計士試験に受かった、癖のある勉強法8選にまとめました。
クイズにすると、復習のつらさが軽くなる
ここからは僕が実践したうえで感じた感想なので、気軽に聞いてください。クイズの要素を取り入れると、シンプルに勉強が楽しくなります。
テキストの反復は勉強の基本ですが、同じ内容を繰り返すのが大好きという人は多くないと思います。多くの人が受験をつらいものと感じるのは、勉強そのものがつらいからではなく、同じ論点を反復するのがつらいからだと思うんです。
新しい論点を学んで、そうなんだと好奇心が刺激されたときは、勉強も楽しいかもしれないと思えますよね。
一方で、復習はつらい。内容はもう知っているので、あとはひたすら細かいところまで詰めていくだけ。少しでも覚えていないところがあると、ここもまた忘れてる、ここも覚えてない、全然頭に入ってないじゃん、と減点方式で考えてしまう。これがつらいんです。
クイズ化を取り入れると、このつらさは軽くなります。もちろん、完全になくなるとは言いません。そんな魔法みたいなテクニックには、今のところ出会ったことがありません。
それでも、ただ読むより、クイズにして自分の実力を測ったり、ゲームの要素を入れたりするほうが、単調な作業にスパイスが加わります。ちゃんとやっていれば、ここ忘れてた、というところがどんどん減っていき、自分の成長を毎回実感できるようになります。こうなったらもう勝ちです。
やってはいけない勉強法5。
自分に合った学習法にこだわる
5つ目は、自分に合った学習法にこだわることです。いつも「勉強に正解はない、自分なりの勉強法を見つけろ」と言っているじゃないか、と思われたかもしれません。
部屋で勉強するよりカフェのほうが好きで、コーヒーがないとやっていられない。その気持ちは分かります。僕はカフェよりも家派でしたが、人それぞれ違いがあるのは確かです。
ただ、本が追いかけているのは、科学的に正しい勉強法です。本当に効果のある勉強法には個人差がなく、成績のいい学生には共通して使っている勉強法がある、と言い切っています。
インディアナ大学で、解剖学の授業を受けた大学生426人を調べた研究があります。多くの学生は、自分の学習スタイルに合った勉強法をとっていませんでした。そして、学習スタイルに勉強法を合わせていても、授業の成績とは相関がなかったと報告されています(Husmann & O'Loughlin, 2019)。
では、成績のいい学生に共通している勉強法は何か。ここまで読んでくださった方なら、もう迷わず答えられると思います。想起と再言語化は、ほとんど全ての人に当てはまる王道の勉強法です。例外はほぼありません。勉強する場所の選び方は、勉強で集中できる場所を探す前に知っておきたい、避けたい5つの環境に書きました。
よくある質問
仕事の合間しか時間がありません。5つのうち、どれから直せばいいですか。
毎日いちばん長く時間を使っているものから直すのがおすすめです。たとえばテキストを読み返す時間がいちばん長いなら、その時間を「目次を見て中身を言ってから、テキストで確かめる」時間に替えてみてください。
電車やカフェでは、独り言が言えません。どうすればいいですか。
声に出さなくても、思い出す練習はできます。目次の見出しごとに、頭の中で中身を並べてみて、そのあとテキストを開いて答え合わせをする形がおすすめです。外で声に出す工夫は、癖のある勉強法8選の記事にイヤホンを使うやり方を書きました。
クイズ化は、本を読むときにも使えますか。
使えます。動画でも、勉強だけでなく読書にも使える方法として話しました。やったことがない方は、ぜひ一度試してみてください。
問題集や過去問を解くのも、読み返しと同じで受け身ですか。
違います。問題を解くのは、答えを自分の頭から引き出す作業なので、それ自体が想起です。ただ、解いたあとに解説を読むだけで終わると、そこは読み返しと同じになります。間違えた問題は、解説を閉じてから、なぜその答えになるのかを自分の言葉で説明し直してみてください。
まとめ
- マーカーは見やすさを保つ程度まで減らし、引いただけで満足しない
- 語呂合わせは、本質ではないと分かったうえで、試験を突破するための戦術として使う
- 要約は、テキストを閉じて自分の言葉でやり、あとで答え合わせをする
- 読み返すだけで終わらせず、目次を見て中身を独り言で言ってから読む
- 学習法の好みより先に、想起と再言語化を勉強の芯にする
テキストや授業をただ見るだけで済ませるのも、語呂合わせやマーカーといった小手先のテクニックに頼るのも、もうやめましょう。素直になって勉強法を見直し、やるべきことを愚直にこなす。そのために、これを機に勉強法の勉強をしてみてください。
僕はこの本がきっかけで、ほかにもいろいろな本や文献、動画を見て、勉強法の勉強を続けました。18歳のときは英語がまったく話せず、特に地頭がいいわけでもなく、会計ももちろん分からない。野球ばかりやっていました。
そんな僕が三大国家資格と海外の名門大学への留学を目指したとき、親切な大人や友達から「そんなのきついよ、できなかったときのことを考えたほうがいいよ」と言われたのを覚えています。でも、できました。大学2年生でGPAを維持しながら公認会計士試験に受かり、その後の2ヶ月間での留学準備とTOEFLも、うまくいきました。
それは、今回紹介した勉強法のほか、管理法や生活習慣にも徹底的にこだわって、凡人でも結果が出ざるを得ない環境を作ったからに過ぎません。勉強法を変えたあと、1回の勉強の集中を深めたいときは、フロー状態の入り方と、僕が実践する3つの条件も読んでみてください。
出典
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
- Husmann, P. R., & O'Loughlin, V. D. (2019). Another Nail in the Coffin for Learning Styles? Disparities among Undergraduate Anatomy Students' Study Strategies, Class Performance, and Reported VARK Learning Styles. Anatomical Sciences Education, 12(1), 6–19(オンライン先行公開は2018年3月). https://doi.org/10.1002/ase.1777