不安と戦わずに書き出して、その存在を認めてあげると、不安は大きくなりません。この記事では、そのやり方と理由を書きます。
僕は元々、不安やストレスにめちゃくちゃ弱い人間でした。高校受験では本番でお腹が痛くなりました。高校野球では2軍戦でできることが1軍戦でできず、甲子園ではベンチに入れずにスタンドから応援しました。公認会計士試験では、1科目目で手が震えて論述がうまく書けませんでした。そんな僕が、ジャーナリングに出会ってから少しずつ変わり、ストレスと友達になれました。ジャーナリングは、今も1500日続けています。
この記事は、動画『ジャーナリングで"不安"と"ストレス"を激減させる方法』を記事にしたものです。
書く瞑想とは、
今の気持ちを紙に書き殴ること
書く瞑想(ジャーナリング)とは、紙とペンを使って、今自分が感じていること、考えていることを、ひたすら書き殴ることです。頭の中にある思考や感情を紙の上に出すと、それを客観視できるようになります。
書く瞑想でストレスが減る、という話はよく聞くと思います。でも僕は、それがなぜなのかという本当の理由を知ることが、何よりも大事だと思っています。「ストレスが減ります。やり方はこうです。さあやってみてください」と言われて、実際にやる人は本当に少ないからです。僕自身がそうでした。人が行動に移して続けるのは、自分が納得して、確かにこれをやったら人生が変わりそうだ、と思えたときか、少しやってみて実際にいい効果があったときです。
なので、この記事ではやり方の前に、僕らのストレスや不安がどこから来ているのかを先に書きます。
この記事は動画『【9割が知らない】ジャーナリングで"不安"と"ストレス"を激減させる方法』(5.6万回)をもとに構成しています。全編は15分です。
ストレスには2種類ある。
避けられないストレスAと、戦うと増えるストレスB
書く瞑想で減らせるのは、ストレスそのものではありません。減らせるのは、ストレスと戦うことで増えたストレスのほうです。勉強がつらい、明日の仕事に行きたくない、漠然と将来が不安。こうした慢性的なストレスの大元は、勉強や仕事や未来そのものに見えますが、実は違います。僕らを長い間悩ませているのは、ストレスや不安と戦うことで増幅されたストレスです。
不安やストレスが2種類あると考えると、分かりやすいです。
| ストレスA | ストレスB | |
|---|---|---|
| 正体 | 生きている限り避けられない、不安やストレスそのもの | ストレスAと無駄に戦うことで、新たに生まれるストレス |
| 例 | 長時間の勉強がつらい。10年後が不安。朝から晩まで働く。働きながら朝と夜に副業をする。人間関係 | 不安を抑えつけようとする。見て見ぬふりをする。「こんなことを感じるなんて自分はダメだ」と責める。SNSで見たくもない動画をスクロールし続ける |
| どうするか | 避けようがないので、オッケー | 減らす。ここが問題の根っこ |
たとえば、将来お金を稼げるか不安だな、というネガティブな感情Aが出てきたとします。すると頭の中では、どうしよう、なんでこんなネガティブな気持ちにならなきゃいけないんだ、こんなこと感じるべきじゃない、どうやったらこの感情をなくせるんだ、もっと自信を持たなきゃ、こんなにストレスを感じるなんて自分はやっぱりダメだ、と次々に思考が浮かんできます。
ひどいケースでは、このストレスから逃げるために、夜通し遊んだり、ジャンクフードをたくさん食べたり、恋愛に依存したり、SNSで見たくもない動画をスクロールしまくったりします。破壊的で、短期的な快楽が得られることに時間を使うわけです。言うまでもなく、そのあとには自己嫌悪という新しいストレスが来ます。これも全部ストレスBです。
ストレスBが生まれる出発点は、どうしようもなく湧き上がってくるストレスAを悪者として捉えて、戦ったり逃げようとしたりすることです。でも、ストレスは全部が全部悪いわけではありません。ストレスAは悪者でも敵でもなく、僕らの生活に必要なものです。
それでも僕らは、本能的に、そして反射的にこうしたストレスを避けようとします。これは仕方ありません。一方で、ストレスAと戦うことで生まれたり増えたりしたストレスBは、僕らの生活に必要ありません。自分で勝手に作り出したもので、自分で自分の首を絞めているのと同じです。感情と戦うことで生まれる、二次災害のようなものです。
ストレスBを減らすには、ストレスをいいものとも悪いものとも捉えずに、ただありのままに見つめる。ストレスの存在を認めてあげる。この感覚を身につける必要があります。そのための最高のライフハックが、書く瞑想です。ちなみにこの考え方は、ACT(アクト)と呼ばれる認知行動療法から学んだもので、僕の主観も入っています。
書く瞑想のやり方。
紙に、手を止めずに書き出す
書く瞑想のやり方は、とてもシンプルです。今の自分の気持ちを、包み隠さず紙に書き出すだけです。
- A4くらいの紙とペンを用意する。何でもかまいません
- 誰にも邪魔されない、静かな場所に座る
- 今頭の中にある思考や感情を、そのまま書き殴る。何も浮かばないなら「書くことがない、どうしよう」「記事で読んだから、とりあえず始めている」と書く
- 書いた内容は、いい悪いで判断せずに、「今自分はこういう思考や感情を持っているんだ」という事実として受け入れる
ポイントは3つです。書くことが分からなくても、とりあえず手を止めないこと。殴り書きぐらいの勢いで大丈夫です。頭ではなく、手を動かすつもりで書くこと。そして、自分の心に正直になることです。それでも書けない場合は、無理に書かなくてもかまいません。最初はこれくらいざっくりとしたイメージで始めてください。説明を読むより、やってみることのほうが100倍大事です。
書いてみると、今までモヤモヤしていた、つかみどころのなかった思考が、紙の上にはっきりと現れます。よく言われる、思考や感情を客観視する、ができるようになります。
紙の一番上に書く問いと、3分で区切ってもいい書き方は、ジャーナリングのテンプレートの「感情の書き出し」にまとめています。最近や過去に強く心を揺さぶられた出来事を1つ選んで書く書き方と、そのルールは、ジャーナリングのやり方に書きました。
書き出して認めると、
不安は大きくならない
書く瞑想をすると、湧き上がってくるネガティブな思考や感情と戦わずに、ありのままに見つめられるようになります。頭の中にあると勝手に暴れ出す思考や感情も、紙に書き出してしまえば怖くありません。
紙の上に文章として出てきた思考を見て、「あ、自分は今ネガティブな思考を持っているんだな。なるほどね、分かった分かった、そうなんだね」と認めてあげます。そうすると、不思議なことにネガティブな感情は大きくなりません。
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。ストレスは、こちらが戦う体勢に入ったり、逃げようとしたりすると、大きくなってこちらに向かってきます。でも、客観視して存在を認めてあげる。「ネガティブな感情君、ここにいるんだね。分かった分かった、よしよし」という感じで認めてあげると、大きくならないんです。書き出せば書き出すほど、ネガティブな感情君は小さくなっていきます。僕がいつも動画で言っている、思考や感情を飼いならす、はこのイメージです。
嘘だと思う方は、次に不安な感情に支配されそうになったとき、試してみてください。頭の中で戦わずに、紙に書き出します。どうしよう、不安だ、なんで自分はこうなんだ、という思考が出てくるなら、それをしっかりと認めて、逃げずに書き出します。5分、10分、20分と書き出していくと、次第に心が静まっていきます。
まずは20分、
4〜5日続けてみる
始めるなら、まずは4〜5日、1回20分くらい、自分の感情を書き出すことを続けてみてください。これが僕のおすすめです。
自分の気持ちや出来事を書いたり話したりして打ち明ける実験146本をまとめた研究があります。効果は小さいものの、統計的に意味のあるプラスでした(Frattaroli, 2006)。書けば必ず大きく変わる、というものではありません。
そのうえで僕は、自分自身の経験と、コーチングのクライアントさんに試していただいた経験から、紙に思考を書き出すというシンプルな習慣の効果を実感しています。
参考資料
- Frattaroli, J. (2006). Experimental disclosure and its moderators: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 132(6), 823–865. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.6.823
よくある質問
書く瞑想は、いつやればいいですか。
不安を感じたときや、ストレスがかかる場面でやってみてください。朝のルーティンや夜の習慣に取り入れてもかまいません。朝と夜に何を書くかを決めておきたい方は、ジャーナリングのテンプレートにまとめています。
書いた紙は、取っておいたほうがいいですか。
頭の中を吐き出してすっきりしたいだけで書いたものは、捨ててもかまいません。気づきや、自分を知る材料になりそうなことを書いたものは、残しておくのがおすすめです。
書いていて苦しくなったら、どうすればいいですか。
苦しいときは、無理に書き続けなくて大丈夫です。いったん手を止めてください。つらい出来事やトラウマについて書く場合は、医師やカウンセラーなどの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
まとめ
ストレスには、避けられないストレスAと、Aと戦うことで生まれるストレスBの2種類があります。書く瞑想で減らせるのは、ストレスBです。ストレスAを拒否せず、まるで親友のように隣に居場所を作ってあげる。それを可能にしてくれるのが、書く瞑想です。
書き出すと、頭の中のネガティブな感情が、自分とは切り離された別人の、単なる言葉の並びのように思えてきます。そうなると、頭の中で勝手に大きくなっていたストレスが本来の姿に戻り、僕らの人生に必要な友達になってくれます。これが、ストレスと友達になるということです。一言で言うと、必要な不快感を受け入れることで、不必要な不快感を避けるということです。
僕が言っていることが100%正しいとは思っていません。ただ、原理を理解してから始めるのと、何となく始めるのとでは、効果に大きな差が出ると思っています。納得して取り入れるからこそ、続けやすくなります。まずは今日この記事を読み終えたら、20分、自分の感情を書き出してみてください。