習慣・自己管理

先延ばし癖を4段階に分ける|治す方法と「あえて諦める」裏技

2026年9月13日更新 約11分で読めます 文・福井龍介(Ryu)/POTEX株式会社 代表取締役

計画を立てたときはワクワクしていたのに、気づけば携帯へ逃げ、締め切り前に焦っている。僕も、この流れを何度も経験してきました。

先延ばしを4つの段階に分けると、パニックになる前に軌道修正できる場所が見えてきます。この記事では、動画『僕が「先延ばし癖」を治した方法を全てお話しします。』に沿って、着手する方法と「あえて諦める」裏技まで解説します。

先延ばし癖を4つの段階に分けて考える

僕が動画で整理したのは、先延ばしをする人が一度は通ったことのある4つの段階です。多少の違いはあっても、自分がどこにいるか分かれば、パニックになる前に軌道修正できる場所が見えてきます。

この記事は、僕のYouTube動画『僕が「先延ばし癖」を治した方法を全てお話しします。』を記事にしたものです。動画で分解した順番のまま書いていきます。

先に言っておくと、僕は元々自己管理ができる人間ではありません。経歴だけ見て、元々できる人だと勘違いされることが増えたのですが、実際は真逆です。自己管理能力が低くて悩んでいたから、ああでもないこうでもないと色々試して知識をつける必要がありました。その試行錯誤がたまってチャンネルになっています。

先に結論を出します。4つの段階は、ワクワク余裕ぶっこき期、鬼の再計画期、現実逃避、パニックです。どれかに心当たりがあるはずなので、自分はどこに当てはまるかという気持ちで読んでください。

この記事は動画『僕が「先延ばし癖」を治した方法を全てお話しします。』(14.9万回再生)をもとに構成しています。全編は28分です。

先延ばし癖を、ワクワク余裕ぶっこき期、鬼の再計画期、現実逃避、パニックの順に並べた4段階の図解

動画では、4つの段階を図で並べながら話しています。記事では、その順番を保ったまま、後半の対策まで読み返せる形にしました。

1 ワクワク余裕ぶっこき期。計画を立て、4つの罠にはまる

最初は計画です。1年後のゴールから逆算してやるべきことリストを作る。明日からの学習計画を立てる。朝から夜までの理想のスケジュールを立てる。運動、瞑想、読書と、新しく身につけたい習慣の目標を立てる。

このとき僕らはワクワクしています。なんだか全部できる気がするんです。もう仕組みを作ったから勝ちだな、さすがに明日からできるわ、という気持ちになります。

ただ、計画どおりに行くわけもありません。まだ時間があるとなると、僕らは余裕をぶっこきます。そしてそのときは、必ず頭の中で言い訳をしています。言い訳のパターンは4つです。

  1. まだ大丈夫の罠 計画どおりに進まなくてもなんとかなるぞ、まだ大丈夫だ
  2. 土台を完璧にしようの罠 今日は頭が冴えていない、環境が整っていない、まとまった時間が取れないからやめておこう
  3. どうせならここもの罠 せっかくならここもやろう、もっといいものが作れそうだ、完璧じゃないと意味がない
  4. やった感の罠 フォーマットだけ作ろう、流し見だけしよう。メール返信や部屋の片付けで進んだ感を演出する

新年に立てた目標はまだチャレンジしなくていいや。2週間後の締め切りはまだ着手しなくていいや。3ヶ月後の試験はまだ挽回できるから今日ぐらいだらけてもいいや。どんな先延ばしにも、完璧主義と言い訳と自己正当化と、手軽な達成感を得たい欲求が絡んでいます。

実際には、ただ単にコツコツ取り組むことが面倒くさいだけです。そこから逃げたいけれど、逃げている自分は見たくない。だから都合の良さそうな理由で自分を可愛がってあげるわけです。

2 鬼の再計画期。前より厳しい計画で巻き返そうとする

余裕ぶっこきにも終わりが来ます。先延ばしにした自分に罪悪感を覚えて、なんとか取り返そうという気持ちが働きます。そこで多くの人が落ちるのが鬼の再計画期です。

崩れた計画を取り戻そうとするあまり、今までの自分にはできなかった、しかし次こそできそうな気がする計画をもう1回立てます。明日から毎日早起きして朝活で巻き返すぞ。どうせなら前よりハードにして自分を追い込むんだ。ここでワクワク期が戻ってきます。

もちろん、また計画倒れが起こります。前にできなかったことができるわけがないのに、取り返そうとしてハードなスケジュールを立てているからです。渦中にいると必死なので分かりませんが、あとから冷静になると結果は分かりきっています。

3 現実逃避。焦るほど進まず、携帯へ逃げる

頑張ろうと燃えていても思うように進まず、迫る期限に焦りが出てきます。ここが厄介で、焦るとパフォーマンスが下がるので進みが悪くなり、さらに焦ってもっと下がる、というループに入ります。そうなると人は逃げ始めます。やらないとまずいと分かっているのに、なぜか携帯をいじってしまう。現実を直視したくないので、手軽に快楽を感じられるものに逃げるわけです。

4 パニック。質より完了を優先して一気に進める

最後がパニックです。最初の完璧主義ははるか彼方に消えて、質などどうでもいいからとりあえず終わらせるぞという気持ちで、雑にこなしていきます。危機感からアドレナリンが出ているので、本人は集中できたように感じます。食事や睡眠を忘れて没頭する人も多い。締め切り間際にならないと出てこない特殊能力のように見えますが、実際には気づかないうちにミスが増えています。

そして終わったあとは、大きな達成感でパニック期のことをすっかり忘れるか、心身のダメージで体調を崩すか、結局終わらずに自己嫌悪とともに生きるかです。振り返りも改善策も立てないので、次も同じサイクルを繰り返すことになります。

先延ばしを計画の段階で止める3つの方法

ここから対策です。まず変えられるのは、ワクワクして計画を立てるところ。高い理想を持つこと自体は悪くありません。問題は、計画しただけで満足してしまうことと、やることを盛り込みすぎることです。

最悪なのは、どうせできない量の課題を自分に課していることに気づかないまま、また自分はできなかったと落ち込んで、さらにやる気を失うパターンです。対策は3つあります。

1 ToDoリストではなく、ノットToDoリストを作る

計画の段階で先延ばしを止める、ノットToDoリスト、締め切りの前倒し、最初の48時間で進捗を見せる約束の3つ

やることを詰め込みすぎているので、計画の時点で本当にこれは必要かと見返す必要があります。やらなくてもいいことが、意外と多く見つかります。

動画では、全部を平等に扱わないための例えとしてパレートの法則を出しました。8割の成果は2割の重要な要素から生まれる、という考え方です。割合は3割と8割かもしれないし、1.5割と9割かもしれません。大事なのは、すべての行動が同じだけのインパクトを結果に与えているわけではないということです。

この中で2割しかできないとしたら何をするか。この問いを自分にぶつけるだけでも、大事じゃないことをやろうとしていたと気づけます。2割が難しかったら3割でもかまいません。とにかく絞って、やらないことを先に決めるのがノットToDoリストです。

2 締め切りを前倒ししたと決める

9月30日までにやらなければいけないことは、9月20日までだと決めてスケジュールを組みます。10日のバッファーができるので、締め切りギリギリになりにくくなります。人に宣言してしまうのも有効です。

3 誰かに見せると先に約束する

何よりも効果的なのがこれです。最初の48時間で進捗を必ず見せます、と先に約束してしまう。強制力が働くので、行動が変わりやすくなります。

先延ばしを止めるには、まず手をつける

余裕ぶっこき期がいちばん厄介ですが、ここには多くの人が効果を感じる方法があります。とにかく始める、着手する癖をつけることです。聞いたことがある、その着手ができないんだ、という声も聞こえてきますが、結局ここに尽きます。

具体的には、大きいタスクは必ず分解します。ジムに行く、プレゼン資料を作る、勉強する。先延ばしする人にとっては、タスクが大きすぎるんです。手触り感がないから、何から始めていいか分からない。それで先延ばししやすくなります。

僕がやっていちばん良かったのは、とりあえず紙に書き出すことでした。資料を作るなら、まずリサーチをして、次にこれをやって、これをやって、と並べる。あとは上から順にやるだけの形にします。それが難しければ、最初に着手すべきタスクだけを書いておくのでもかまいません。

ToDoリストの書き方も変えます。「資料を作成する」「完了させる」ではなく、「資料に手をつけ始める」「最初のリサーチをする」「とりあえずファイルを開く」にする。完了するタスクではなく、着手するタスクとして載せるだけで、手はつけやすくなります。

最初の1割だけやって、過去の自分は超える

手をつけてしまえば、意外と続きます。ランニングしようと思って着替えて外に出て、30メートルだけ走って家に帰ってくる人はほぼいません。30メートル走ったら、もうちょっと走ってもいいかなとなります。

この「着替えて30メートル走る」は、5キロ走ろうという目標の人にとって最初の1割ぐらいの労力です。ここまではやってもいいはずなのに、やらない。本当にきつかったら帰ってくればいいだけです。30メートルだけ走って帰ってきても、先延ばしにするよりは前に進んでいます。

あわせて僕がやってよかったのは、1割でやめてもいいけれど過去の自分は超えると決めることです。昨日30メートル走ったなら、次は最低35メートル走る。この成功体験を何回か積むと、自分でコントロールできる感覚が生まれます。とりあえず着手さえすれば自分はできるタイプなんだ、というセルフイメージができると、先延ばしは面白いように減っていきます。

きついことを先にやる。セルフトークに反論する

やる気がないとき、僕はその場でジャンピングスクワットを10回か20回やります。心拍数が上がって気分が高まり、行動しやすくなります。オフィスなら階段を早歩きで上がるのでもかまいません。できそうならで大丈夫です。

もう1つ、頭の中で流れるセルフトークを使う手があります。まだ大丈夫でしょう、今日は最高の日ではない、どうせならここも完璧に仕上げたい。自分がよく陥るパターンを認識しておいて、このセルフトークが聞こえてきたらまず着手する、とルールに決めてしまう。もっとちゃんとやりたい人は、その思考は本当に合理的かと紙の上で反論してみてください。

鬼の再計画期と現実逃避では、対策を変える

鬼の再計画期は、計画を立てる時間を30分にする

鬼の再計画期の対策も、基本的にはここまでと同じです。1つ特別にあるとすれば、取り返すために前よりハードな計画を立てないことです。計画タイムは30分だけに限定して、とにかく次の1点に着手します。計画を立てて満足する時間に、それ以上を使わないようにしてください。

現実逃避は、焦りと悪習慣を分けて対策する

現実逃避で対策するのは2つです。焦って進みが遅くなり、さらに焦るループを避けること。携帯などへ逃げる悪習慣を個別に断つことです。動画では、セルフトークを書き換えるABCDEモデルを含め、3本の関連動画で対策するよう話しました。ABCDE日記の書き方は、悪習慣をやめる方法の記事で読めます。

先延ばし癖を治す魔法を探す旅をやめる

そもそも先延ばしがなかなか治らないのは、僕らの気質に原因があるからかもしれません。動画では、今もらえる2万円と半年後にもらえる2万2000円なら、今すぐ2万円を選びたくなる、という例を出しました。目の前の報酬を大きく評価し、未来の報酬を小さく評価する現在バイアスは、先延ばしとも関係します。O'DonoghueとRabinの1999年の論文は、現在に偏る選好と先延ばしを扱っています。

僕が色々試して多くの相談に乗って出したシンプルな結論は2つです。1つは、1日でも早く、手軽に自分を変えてくれる魔法を探す旅をやめること。もう1つは、できることを積み重ねれば着実に自己管理ができるようになるということです。どこかに先延ばし癖を完璧に直す方法が1つあるんじゃないか。僕もずっとそれをやっていました。

先延ばし癖を治すのを諦める裏技

最後に、逆転の発想の裏技を1つ置いておきます。先延ばし癖を直すのを諦めても、うまくいっている人がいます。あえて先延ばしにして、その期間は何も考えずに忘れて過ごす。僕も、この方法に救われたことがあります。

締め切り前の必要な日数だけを最後にまとめて置き、それまでは課題を忘れて過ごすスケジュールの図
図3. あえて先延ばしにする裏技のスケジュール(動画『僕が「先延ばし癖」を治した方法を全てお話しします。』より)

締め切りが9月15日で、今が9月1日だとします。3ステップです。

  1. 本気で取り組んだらどれくらいの期間で終わるのかを判断する(仮に3日間とする)
  2. 1日だけ余裕を持たせる(3+1で4日間で終わらせると決める)
  3. その期間を最後の最後にスケジュールして、それまでは一切忘れて過ごす(12日から15日でやると決め、1日から11日は他のことに集中する)

結局最後にドタバタするだけで根本解決になっていない、と思うかもしれません。ただ、大きなメリットが1つあります。9月1日から11日を、圧倒的に有意義に過ごせることです。

この裏技を使わなかった場合、1日に計画を立て、2日から8日は余裕をぶっこいて計画が倒れ、しかし頭の片隅には常に締め切りがあるので他のことにも集中しきれずストレスが溜まり、9日にさすがにまずいと再計画し、また倒れて携帯に逃げ、13日から15日で一気に詰め込む。他のタスクも全然進んでいない。この悪循環に陥ります。

補足

この裏技には使いどころがあります。第一に、タスクにかかる時間を正確に見積もれる場合に限ります。第二に、だからこそ最悪のケースを想定して、最後の期間にゆとりを持たせてください。第三に、本気でやったらを計算するときは、睡眠を削らずにできるスケジュールで組みます。第四に、完成度は結局下がるので、クオリティではなく完了を優先したいときに使ってください。

よくある質問

4つの段階のうち、どこから対策すればいいですか

まずは、自分に当てはまる段階から見てください。動画では、パニックに至る前に変えられるところがたくさんあると話しています。計画中ならやらないことを決め、余裕をぶっこいているなら最初の1割だけ着手します。

進捗を見せる約束は、いつにすればいいですか

動画では、最初の48時間で進捗を必ず見せる、と宣言する例を出しています。完成品ではなく進捗を見せる約束なので、着手を先送りしにくくなります。

最初の1割でやめてもいいですか

本当にきつければ、1割でやめてもかまいません。30メートル走って帰ってきても、先延ばしするより前に進んでいます。次に取り組むときは、昨日30メートルなら最低35メートルというように、過去の自分は超えることをすすめています。

あえて先延ばしにする裏技は、どんなタスクでも使えますか

どんなタスクにも使える方法ではありません。かかる時間を正確に見積もれ、最後に余裕を持たせても睡眠を削らずに終えられる場合に限ります。完成度が下がるため、クオリティより完了を優先したいタスクで使ってください。

まとめ

先延ばし癖を4つの段階に分け、動画で話した順番のまま対策を見てきました。要点は4つです。

  • 先延ばしを、ワクワク余裕ぶっこき期、鬼の再計画期、現実逃避、パニックの4段階に分け、自分の現在地を見る
  • 計画の段階では、ノットToDoリストで絞り、締め切りを前倒しにして、誰かに見せる約束を置く
  • 結局は着手すること。タスクを分解し、ToDoを完了ではなく着手の形で書き、最初の1割だけやって過去の自分は超える
  • 魔法を探す旅をやめる。裏技を使うなら、時間を正確に見積もれ、完了を優先したいタスクに限る

偉そうに語る僕も、まだまだ期限ギリギリの仕事をしています。この動画も、分かりやすい解説を心がけて改めてリサーチしていたら緊急タスクが飛び込んできて、予定より遅れて締め切りになんとか間に合ったという感じです。一緒に頑張りましょう。

出典

  1. O'Donoghue, T., & Rabin, M. (1999). Doing It Now or Later. American Economic Review. https://doi.org/10.1257/aer.89.1.103
  2. Frederick, S., Loewenstein, G., & O'Donoghue, T. (2002). Time Discounting and Time Preference: A Critical Review. Journal of Economic Literature. https://doi.org/10.1257/002205102320161311

動画で見る

僕が「先延ばし癖」を治した方法を全てお話しします。

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